転職時・転職直後の住宅ローン審査と借り換えの注意点

この特集ページでは住宅ローンと転職をテーマに解説しています。
金融機関は貸したお金を長期間に渡って計画通りに返済してもらえるのかを確認して住宅ローン申込者を審査しています。過去の統計に「転職したばかりの人」は「相対的にその会社を早く辞めてしまう可能性が高い」というデータがあり、転職直後の申込みは厳しく審査されやすいという特徴があります。理由は単純で、長くその会社に勤めた人の方が収入を維持する確率が高いという過去の実績を銀行が重視しているためです。
そのため、一般的に転職して2年以上経っていないと住宅ローン審査で不利と言われていますし、自営業・個人事業主への転職(起業)であれば、2年~3年以上の事業実績が必要とされるなど更に厳しく審査されることになります。
目次
勤続年数を重視する住宅ローンの審査基準は、「終身雇用」という言葉が当たり前だった時代にできたモノで、今の日本は終身雇用が当たり前の時代ではないので、転職経験ありの人は増える一方です。それでも、全体の傾向として「勤続年数が長い人の方が安定的に返済してくれる確率が高い」ということもあり、「長く同じ会社で働いている」ということは住宅ローンの審査上ではプラスに働きます。
ただし、社会の変化に住宅ローンの審査基準も追いついてきていますので、転職した直後でも利用しやすい住宅ローンも増えてきています。また、返済不能のリスクが少ないと判断してもらえさえすれば転職した直後でも住宅ローンの審査に通る可能性は十分にあると思っておいて全く問題ありません。
ただ、勤続年数を重視して厳しく審査している金融機関も多数ありますので、申し込み先や申し込みタイミングは転職時期とセットにして計画的に考えておくことが重要です。
転職直後でも利用しやすい住宅ローンもある
最初に、転職直後でも申し込みやすい審査基準を公表している住宅ローンを紹介したいと思います。
SBI新生銀行の住宅ローンには「連続した就業2年以上」という条件があるのですが、1つの会社で2年以上働いた実績が必要なわけではありません。複数の会社をまたいで2年以上連続して働いていれば、その基準を満たすことができますので、転職直後でも利用しやすい審査基準になっています(このほか、申込時の年齢が20歳以上65歳以下・完済時年齢80歳未満、前年度税込年収300万円以上の正社員または契約社員であること、などの条件があります。2026年7月時点・最新の条件は公式サイトでご確認ください)。
SBI新生銀行の場合、ネット専業の銀行とは違って、店舗やオンラインで住宅ローンの専門スタッフに相談できるので、転職に至った事情を専門スタッフにしっかりと伝えることができます。転職したばかりであればSBI新生銀行を候補に入れると良いでしょう。
そのSBI新生銀行ですが、保証料0円・一般団信の保険料0円・一部繰上返済手数料0円と諸費用がわかりやすく、総返済額・総費用で比較するとネット銀行と十分に競える水準で、転職前後での住宅ローンを考えている人はもちろん、全ての人にとって選択肢に加えておいて損はない住宅ローンです。
今となっては、終身雇用も過去の言葉で、現代の働き方に合わせて徐々に転職に関する審査も緩和されてきています。特に、ネット銀行の住宅ローンのような比較的新しい住宅ローンを中心に、勤続年数の制限が短かったり、年収制限が低めの住宅ローンも増えてきています。
転職が住宅ローンの審査で有利に働くことは多くはありませんが、同一業界でのキャリアアップを伴う転職や大手企業への転職など、転職の内容や状況によっては不利にならないこともあるので、ご自身の状況を踏まえながら、申込みタイミングと申込先を検討するようにしましょう。
各金融機関の勤続年数・年収に関する審査基準
では、主要な金融機関の勤続年数と年収に関する審査条件を確認しておきましょう。
| 金融機関 | 年収 | 勤続年数 | 職業 | 借り換え可能額(担保評価額) | 詳細・申込み |
|---|---|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 基準なし | 規定なし(会社経営者・自営業は3年以上) | 自営業や契約社員・会社経営者でも可 | - | 詳細を見る |
| みずほ銀行 | 基準なし | 規定なし(会社経営者・自営業は2年以上) | 自営業や契約社員・会社経営者でも可 | - | 詳細を見る |
![]() (フラット35) | 100万円程度でも可 | 規定なし(転職直後でも可) | 自営業・個人事業主・契約社員・派遣社員・会社経営者・会社役員・パート・アルバイトも可 | 200% | 詳細を見る |
![]() (フラット35) | 詳細を見る |
||||
![]() (金利選択型) | 400万円以上 | 規定なし(転職直後でも可) | 自営業や契約社員・会社経営者でも可 | - | 詳細を見る |
![]() | 100万円以上 | 半年(会社経営者・自営業は3年以上) | 自営業や契約社員・派遣社員・会社経営者でも可 | - | 詳細を見る |
![]() | 200万円以上 | 1年 | 正社員・契約社員のみ | - | 詳細を見る |
![]() | 基準なし | 規定なし(会社経営者・自営業は3年以上) | 自営業や契約社員・派遣社員・会社経営者でも可 | 200% | 詳細を見る |
![]() | 300万円以上 | 転職していても連続して2年以上働いていればOK | 自営業や契約社員・会社経営者でも可 | 100% | 詳細を見る |
![]() | 400万円以上 | 規定なし(会社経営者・自営業は3年以上) | 正社員(自営業も可) | - | 詳細を見る |
まず、サラリーマンへの転職であれば勤続年数で明示的に足切りしている金融機関はほとんどありません。
自営業・個人事業主などは2年~3年の実績が必要と足切りされてしまう状況ですが、住宅ローンは総合的に審査されるので勤続年数だけでは判断しないようになってきています。(ただし、実態としては大手銀行の住宅ローンでは2年~3年以上の勤続実績が望ましいとされています。)
また、近年は一部の金融機関で住宅ローンの審査の一部にAI(人工知能)を使う動きも進んでいます。審査基準や審査に落ちた理由がブラックボックスでわかりにくくなる面はありますが、逆に、勤続年数のような単一の項目だけでなく、他の審査項目との組み合わせで総合的に判断されることで、転職直後でも審査に通る可能性が広がってきていると考えることもできます。
結局、住宅ローン審査に勤続年数は影響する?
結論としては影響します。ただし、勤続年数だけで判断されることはありません。
例えば、「中小企業から東証プライム上場の同業他社に転職した人」と「業種が異なる中小企業に転職した人」では同じ評価にはなりません。SBI新生銀行のように「会社が変わっていても2年間連続して就業していればよい」と明確に定めている金融機関もあります。
転職が住宅ローンの審査に不利と言われているのは、「安定した返済能力が無いかもしれない」と金融機関に判断されてしまう可能性が高まるためです。逆に言えば、「同一業界での転職で年収が増えている」、「転職先が大企業で財務体質も健全である」、「士業や専門職の資格を取って転職している」と言ったケースであれば、転職直後でも問題なく審査に通過できる可能性は高いわけです。
ただし、チャレンジの要素が強い転職、例えば「知人が立ち上げたばかりの会社に参画する」とか「長年勤めた会社の安定性や高収入を捨てて好きな業界に挑戦する」・「企業勤めをやめて父親が立ち上げた会社に戻る」といった転職の場合は、転職前に住宅ローンを契約するようにしておいた方が良い結果を得られる可能性は高いでしょう。
住宅ローン審査中の転職
上記に関連して、住宅ローン審査中に転職した場合は審査結果に影響するでしょうか?結論としては転職先などの情報が確定しない場合には不利な審査結果となる可能性があります。また、銀行によっては転職後の勤務期間を定めているケースもあり、基本的には住宅ローン審査が終わり、融資実行が行われてから、転職を行うほうが無難だと思われます。
転職と「借り換え」のタイミングにも注意
すでに住宅ローンを返済中で借り換えを検討している人にとっても、転職のタイミングは重要です。借り換えも新規借り入れと同じように審査が行われるため、転職直後は借り換え審査でも不利になったり、提出書類(職歴書など)が増えたりします。
転職の予定があるなら、収入が安定している転職前に借り換えを済ませておくのが定石です。金利差・残債・残期間から見て借り換えメリットがあるのに「転職後に落ち着いてから」と先送りすると、転職直後の1~2年は審査面で動きにくくなり、その間の利息負担も積み上がります。逆に転職してしまった後であれば、勤続年数の要件が緩やかな金融機関(連続就業でカウントするSBI新生銀行や、職歴書の提出で対応できるauじぶん銀行など)を借り換え先の候補にすると良いでしょう。
雇用形態が変わる転職は住宅ローン審査に不利になることも
転職に伴い、
正社員⇒契約社員
契約社員⇒自営業
契約社員⇒正社員
のように雇用形態が変わる際には注意が必要です。
契約社員から正社員になる場合には住宅ローン審査にプラスになりますが、それ以外のケースの場合にはマイナスに働くと考えたほうがよいでしょう。
働き方が変わり住宅ローン審査に不利になる場合には、勤続年数や雇用形態による申込制限のないフラット35への申し込みも行ったほうがよいでしょう。
転職で年収が増減した場合は?
住宅ローンの審査では「前年の源泉徴収票」を提出します。また、転職直後だと「転職先の年収見込証明書(採用通知書など)」の提出を追加で求められることもあるので金融機関に転職前後の収入の違いを開示する必要があります。
年収が増えていれば審査上はプラスに働きますが、年収が少なくなっていると厳しい目で見られる可能性があります。(「収入が減る転職をした人の塊」と「収入が増えた転職をした人の塊」の統計情報を比較して返済が滞る人が発生する率を比べられている、と考えるとわかりやすいと思います)
ただし、年収は「年間返済負担率の計算」と「いくらまで貸せるのかを計算する」ために利用されるので、「審査に落ちる」というよりも「借りられる金額が少なくなる」と言う結果になることが多いと思います。
キャリアアップ、年収アップが伴う転職
同一業界内での転職で年収が増加している場合や、資格を取得して資格を生かした転職などは、住宅ローン審査には不利になりにくい側面があります。
金融機関から転職の理由を聞かれることもありますので、転職直後で住宅ローンを申し込む場合は転職の経緯や今後のキャリアプランを説明できるようにしておくと良いでしょう。
ネット銀行の住宅ローンなど、金融機関との口頭でのコミュニケーションが少ない住宅ローンを利用する場合は、申し込み後に金融機関に連絡して「転職したばかりなので不安なんだけれども、〇〇〇のような事情があって転職した」と説明しておくと効果がある場合があります。(結果的に審査に落ちたとしても、金融機関に事情が伝わったうえでの結果なので納得感も得られやすく、次のアクションを起こしやすいという効果も期待できます)
結局は、「気に入った住宅ローンがあれば申し込んでみる」とか「”人”に相談しやすい住宅ローンに申し込んでみる」しかないのですが、住宅ローンの審査申込には手間と時間がかかるので10社・20社に申し込むわけにはいきませんし、審査結果がでるまで1か月ぐらいかかることもあるので1社ずつ申し込んでいると時間だけが過ぎてしまいます。ある程度の作戦(考え方)と計画性を持つことが重要になってきます。
職務経歴書(職歴書)の提出を求められることも
auじぶん銀行の住宅ローンは勤続年数に関して厳格な基準はありませんが、転職(転籍を含む)後1年未満の場合は、本審査時に「職歴書」の提出を求められます(学校卒業後のすべての職歴と転職理由を記入します。2026年7月時点・auじぶん銀行公式FAQより)。「職歴書の提出なんてめんどくさい」と思いがちですが、「職歴書も見ないで審査に落とされる」よりはよっぽど良いですよね。
auじぶん銀行が「転職したばかり」という表面的な情報だけで判断せずに、しっかりとその人の経歴を見て判断しようとしていることの表れと言えます。職務経歴の内容に自信が無い場合は別ですが、キャリアアップを伴う転職の人や職務の経歴にご自身で問題があると思わない人は、auじぶん銀行の住宅ローンを選択肢の1つに加えておくと良いでしょう。(仮審査申込みのタイミングでは職歴書の提出は不要なので、仮審査だけでも通過しておいて動きやすいようにしておくのがおすすめです)
転職まで時間がない!という時は・・・
一般的な銀行では住宅ローン借り換えの仮審査(仮申し込み)から契約・融資実行まで1ヶ月程度の時間がかかりますが、最近は住宅ローン審査にかかる時間を短縮している金融機関も登場してきています。
例えば、ネット銀行のauじぶん銀行は審査スピードが早いと評判ですし、SBI新生銀行は原則として事前審査(仮審査)を行わず本審査のみで完結するため、手続きの往復が少なく済みます(必要書類は本審査時に一式必要です)。店舗で相談しながら進めたい場合はSBIアルヒのフラット35なども有力候補です。
住宅ローンを組んだ後、返済中の転職は金融機関に報告・連絡が必要?
転職したことを理由に住宅ローンの一括返済を求められることはありませんし、借入金利が変わることもありません。この点は安心してください。
ただし、多くの住宅ローン契約では、氏名・住所・勤務先などの届出事項に変更があった場合は金融機関へ届け出ることになっています。転職した場合は、借入先の会員ページや窓口で勤務先変更の手続きをしておきましょう(手続きをしても審査がやり直されるわけではありません)。
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