離婚したら住宅ローンはどうなる?名義変更・借り換え・売却の進め方

目次
離婚した夫婦は年間およそ18万組
厚生労働省の人口動態統計(2024年・確定数)によると、2024年に離婚した夫婦は18万5,904組でした。同じ年の婚姻件数は48万5,092組です。離婚件数は前年(18万3,814組)からほぼ横ばいで推移しています。
年間の離婚件数がもっとも多かったのは2002年の約28万9,000組で、近年はそのピークよりは少ない水準が続いています。
ネットニュースや記事で、日本人の夫婦の30%以上が離婚すると言われたりすることがありますが、この計算式にはカラクリがあります。
2024年に離婚した件数(=結婚した年を問わない)を、その年に結婚した件数(48万5,092組)で割ると約38%になります。
この計算式で“日本人夫婦の3組に1組が離婚している!”と報道されるため、正しくない認識が独り歩きしています。その年に結婚した人と、別の年に結婚して離婚した人の割合を比べても、実際の「離婚しやすさ」を表す数字にはなりません。
さて、それでも毎年たくさんの夫婦が離婚を決断しているので、その中には離婚時に住宅ローンを抱えている夫婦もたくさん存在しています。
そういったケースでは、離婚後の「マイホームの所有者」と「そのマイホームに住む人」と「住宅ローンの返済義務者」の関係性がややこしくなるため、住宅ローンが残っている場合、マイホームをさっさと売却して現金にしてから離婚する方が手続きは簡単です。
すべての離婚のケースでマイホームをすんなり売却して、住宅ローンを上手に整理できるわけではありませんので、この特集ページでは、マイホームを夫婦のどちらかが維持しつつ離婚後の生活に利用する方法についても解説したいと思います。
名義人・居住者・住宅ローン契約者はできるだけ同一人物に
離婚することになったら、財産分与・養育費・慰謝料などの様々な経済的な条件について話し合いが必要になります。
それら交渉の中で取り扱いに困るのが「住宅ローンが残っているマイホーム」の扱いです。
ペアローンや夫婦で連帯債務(収入合算)を利用して住宅ローンを借りていると特に混乱します。住宅ローン付のマイホームを残す場合は、「マイホーム(土地を含む)の名義人」「マイホームに住む人」「住宅ローンの契約者」を同一の人物(つまり、夫婦のどちらか)に統一することが、混乱やもめごとを未然に防ぐ鉄則ですが、権利と義務が複雑化しているペアローンは処理に困ります。
まず、ペアローンは「夫」と「妻」それぞれの名義で住宅ローンを契約し、互いに連帯保証人となっているのが一般的です。離婚した後にそのマイホームに住む場合、マイホームの名義を変更すると同時に住宅ローンもマイホームの名義に合わせる必要があります。そうしておかないと、「住まない方」が住宅ローンの返済をやめてしまった場合、金融機関から差し押さえになる可能性があるためです。
そもそもペアローンは「夫」一人では住宅ローンを十分借りることができないときに利用されることが多いので、「夫婦でこうしよう」と話し合っても金融機関から認めてもらえないケースが多くあります。そうなると離婚時の交渉はさらに複雑になります。
住宅ローンの名義変更は困難
夫単独名義でマイホームを持ち、住宅ローンも契約している場合であれば、比較的シンプルです。財産分与する中で「マイホームをどちらのものにするのか」ということを決めて、住宅ローンも「マイホームを持つ人」に変更すれば良いだけです。
ただ、妻の収入で住宅ローンを賄えない場合、住宅ローンの名義変更を金融機関が認めてくれない可能性があります。よく「元夫が養育費代わりに住宅ローンの返済を続けて、そこに元妻+子供が住み続ける」という形式をとれることがありますが、いつの間にか元夫が返済をやめてしまったり、数年たってから売却したくなったりして、マイホームから退去しなければならなくなったりしますので、住む人と返済者はできるだけ同じ人にしておくべきです。
一般的には、住宅ローンが残っているマイホームは売却して、住宅ローンを完済する方がその後のトラブルもなくおすすめです。世の中には賃貸物件はたくさんありますので。
離婚は住宅ローンの借り換えの1つのきっかけ
住宅ローンの契約形態としては、①安定的収入のある夫婦のいずれかの単独名義、②夫婦連帯債務、③夫婦ペアローンのいずれかの形式で契約していることが多いわけですが、名義・住宅ローン契約のどちらも単独名義でその名義人が1人で住み続ける場合を除けば、住宅ローンの整理が必要です。
ケースとして多いのが「妻と子供がマイホームに住み続けて、夫が退去するというパターン」ですが、その場合は妻が住宅ローンを契約する(妻名義で借り換える)のが理想的ということになります。
| 現状の契約 | 離婚後の名義・居住・住宅ローン契約 | 住宅ローンの借り換え |
| 単独名義 | 現状通り(現状の名義人が住む) | △(このタイミングである必要はない) |
| 変更する | 〇 | |
| 夫婦連帯債務 | どちらかに統一 | 〇 |
| 夫婦ペアローン | どちらかに統一 | 〇 |
※夫が単独名義でも妻が連帯保証人になっている場合は契約を見直す必要あり
離婚を機に住宅ローンを「住み続ける人」の単独名義へ借り換えると、相手が返済をやめるリスクや、連帯保証から抜けられないリスクを断ち切れます。借り換えの際は、金利差で総返済額がどれだけ変わるかも同時にチェックしておくと、離婚後の家計の見通しが立てやすくなります。金利の高い時期に組んだローンであれば、名義の整理とあわせて返済負担そのものを軽くできる可能性があります。
オーバーローン状態の場合は売却・ローン完済が難しい
例えば残りの住宅ローンの残高が3000万円あって、マイホームの売値が2500万円だった場合、マイホームを売却しても500万円のローン返済が残ってしまいます(オーバーローン)。現金を持っていてそれで処理できれば良いのですが、マイホームを売却することで現金を減らすのは勇気がいる行動です。
このような場合は、住み替えローンや任意売却など、専門家(弁護士・不動産会社・金融機関)に早めに相談して、残債の整理方法を検討する必要があります。
離婚時の住宅ローンには対応したくない銀行が多い
離婚して新しい生活を歩みだすと、今までは同一の家計だったものが2つにわかれ、居住費・光熱費が増えます。離婚することで収入が増えることはあまりありません。家計の状況が変わり住宅ローンの返済が難しくなるケースもありますので、金融機関は離婚後の住宅ローンの整理の相談に前向きではないところが多いのが実情です。
事情が複雑なケースでは、対面で相談しにくいネット銀行だけで進めるのは難しいことがあります。店舗で相談できるSBI新生銀行やSBIアルヒ(旧ARUHI)のように、対面とオンラインの両方に対応している金融機関に相談しながら借り換えを検討すると、書類や手続きの不安を解消しやすくなります。
共働き家庭だった場合、あっさりと単独名義で借り換えできるかもしれませんが、専業主婦(夫)の期間が長いと大きなハードルになることもありますので、複数の金融機関に相談するようにしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 連帯保証人や連帯債務から外れることはできますか?
A. 自動では外れません。金融機関の承諾が必要で、多くの場合「住み続ける人の単独名義への借り換え」か「別の保証人・担保の差し入れ」が条件になります。返済を続けられる収入があるかが審査されるため、収入が少ない側が名義を引き継ぐ場合はハードルが高くなります。離婚協議書に「相手が返済する」と書いても、金融機関に対する返済義務はなくならない点に注意してください。
Q. 養育費代わりに元配偶者が住宅ローンを払い続けるのは安全ですか?
A. リスクがあります。返済が滞れば、住んでいる側が退去を求められる恐れがあります。可能であれば、住み続ける人の名義に借り換えて返済義務と居住を一致させるのが安全です。難しい場合は、公正証書で取り決めるなど、専門家に相談して備えておきましょう。
Q. 離婚を機に借り換えると、どんなメリットがありますか?
A. ①名義・返済義務を整理して将来のトラブルを防げる、②金利の高い時期に組んだローンなら金利を下げて総返済額を減らせる可能性がある、という2つのメリットがあります。借り換えには事務手数料・登記費用などの諸費用がかかるため、金利差・残高・残期間と諸費用を並べて損得を試算してから判断しましょう。
※本文の制度・各社のサービス内容は2026年6月時点の情報です。離婚にともなう住宅ローンの整理は個別事情で取り扱いが大きく変わるため、最終的には金融機関・弁護士など専門家に確認してください。
住宅ローン借り換え.jpのおすすめ特集
借り換えにおすすめの住宅ローンを徹底比較
住宅ローンの金利動向予想記事


