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住宅ローン借り換えの登記費用|登録免許税と司法書士報酬の相場

住宅ローン借り換えの登記手続きと費用のイメージ

住宅ローンの借り換えでは金利差ばかりに目が向きがちですが、実際に「いくら得か」を決めるのは諸費用を差し引いたあとの金額です。その諸費用のうち、事務手数料と並んで金額が大きいのが登記費用(登録免許税+司法書士報酬)です。

そして借り換えには、新規購入のときには気づきにくい落とし穴があります。新築・購入時に使える登録免許税の軽減税率(0.1%)は、借り換えの抵当権設定登記には使えません。同じ「抵当権を設定する」手続きでも、借り換えでは税額が4倍になるということです。

このページでは、借り換え時に必要な登記の中身、登録免許税の正しい税率、司法書士報酬の相場(日本司法書士会連合会の最新アンケート)、そして3,000万円を借り換えた場合の登記費用の目安までを整理します。

 

 

借り換えの登記は「抹消」と「設定」の2本立て

登記とは、土地・建物などの権利関係を国(法務局)が管理するための制度です。住宅ローンは土地と建物を担保にお金を借りる商品なので、金融機関はその物件に抵当権を設定します。

 

ここが新規借り入れと借り換えで大きく違うところです。借り換えでは、次の2つの登記が同時に発生します。

 

  • 抵当権抹消登記…借り換え前の金融機関が設定していた抵当権を消す手続き(旧ローンを完済するため)
  • 抵当権設定登記…借り換え先の金融機関が新たに抵当権を設定する手続き

 

新規購入時は所有権の保存・移転登記と抵当権設定登記が中心ですが、借り換えでは「消して、付け直す」ぶんの費用が二重にかかると考えてください。なお、借り換えのタイミングで住所や氏名が変わっている場合は、登記名義人住所(氏名)変更登記も追加で必要になります。

 

司法書士とは|自分で登記できるが、借り換えでは現実的でない

司法書士は司法書士法にもとづく国家資格で、不動産や法人の登記手続きを代理で行える専門家です。

 

登記手続き自体は法務局が定める書式の書類を作成して提出するもので、制度上は自分で申請することもできます。実際、完済後の抵当権抹消登記だけであれば、法務局が個人向けの記載例と手引きを公開しており、自分で申請する人もいます。

 

ただし借り換えは事情が異なります。旧ローンの完済・抹消と新ローンの実行・設定を同じ日に、確実に済ませる必要があり、金融機関は担保の管理上ここを他人任せにできません。そのため借り換えでは司法書士への依頼が実質的に必須と考えておくのが現実的です。

 

登録免許税|借り換えの抵当権設定は0.4%(軽減の0.1%は使えない)

抵当権設定登記には登録免許税という税金がかかります。本則の税率は債権額×0.4%です。

 

これに対し、租税特別措置法第75条による0.1%への軽減措置があり、適用期限は2027年(令和9年)3月31日までです。ただしこの軽減を受けるには、登記申請書に市区町村長の証明書(床面積50㎡以上であること等の証明)を添付したうえで、住宅用家屋の新築または取得後1年以内に登記を受ける必要があります(国税庁)。

 

借り換えは「住宅を取得するための資金の貸付け」ではなく、既存ローンを返済するための借り入れです。取得から1年以内という要件も通常は満たしません。したがって借り換えに伴う抵当権設定登記は、原則として軽減の対象外=本則の0.4%が適用されます。

 

この差は小さくありません。3,000万円を借りる場合、新築・購入時に軽減が使えれば3万円で済むところ、借り換えでは12万円かかります。

 

新築・購入時は3万円、借り換えは12万円となる抵当権設定登記の登録免許税の比較棒グラフ
借り換えの抵当権設定登記は軽減税率の対象外のため、同じ3,000万円でも登録免許税は4倍になります。

 

登記の種類税率・税額3,000万円・土地1筆+建物1棟の場合
抵当権設定登記(新築・購入時/軽減あり)債権額×0.1%
※2027年3月31日まで・要件あり
30,000円
抵当権設定登記(借り換え)債権額×0.4%(本則)120,000円
抵当権抹消登記不動産1個につき1,000円
※同一申請で20個以上は20,000円
2,000円

※出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(令和8年4月1日現在法令等)、国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」(令和8年4月)、法務局「住宅ローン等を完済した方へ」。なお土地の売買による所有権移転登記の軽減(1.5%)は2029年3月31日まで延長されています。

 

登録免許税は税金なので、どの金融機関で借り換えても金額は同じです。ここは金融機関選びで削れる費用ではありません。

 

司法書士報酬の相場|2024年アンケートの平均は設定4.2万円・抹消1.7万円

登録免許税とは別に、手続きを代理してもらう司法書士への報酬が必要です。司法書士報酬は各事務所が自由に定めるため、依頼先によって金額が変わります。

 

目安として役立つのが、日本司法書士会連合会が実施している「報酬に関するアンケート」です。最新版は2024年(令和6年)3月実施で、代表的な設例ごとの平均報酬が公表されています。

 

設例(土地1筆+建物1棟)平均報酬有効回答数
抵当権設定登記(債権額1,000万円)42,699円1,038件
抵当権設定登記(本人確認情報の作成を伴う場合)76,383円946件
抵当権抹消登記17,470円1,090件
所有権登記名義人住所変更登記13,913円1,094件

※出典:日本司法書士会連合会「報酬に関するアンケート」(2024年〈令和6年〉3月実施)。上記は全国の平均値で、回答には幅があります。抵当権設定登記では1万円台〜3万円台に回答が集中する一方、10万円を超える回答も一定数あります。

 

注意点として、この設例は債権額1,000万円を前提にしています。借入額が大きくなるほど報酬も上がる傾向があるため、3,000万円規模の借り換えでは設定登記の報酬が8万円前後になることも珍しくありません(SBI新生銀行が自社の住宅ローンシミュレーションで示した試算例では、3,000万円の借り入れで司法書士報酬80,000円・登録免許税120,000円)。土地が数筆にわたる場合も報酬は上がります。

 

司法書士は銀行が指定するのが一般的

住宅ローンの登記では、大半の金融機関が自行の指定する司法書士を利用する取扱いにしています。抵当権の設定は金融機関にとって担保の要であり、確実に登記を完了させる必要があるためです。

 

したがって、借り手が「報酬の安い司法書士」を自分で探して費用を下げることは、実務上ほとんどできません。この点を知らずに「相見積もりを取れば安くなる」と期待すると、資金計画が狂います。

 

金融機関登記費用(司法書士報酬)の確認方法
SBI新生銀行公式に「担保の管理上、当行が指定する司法書士をご利用いただいています」と明記。事務手数料は借入金額の2.20%(税込)、保証料0円で、登記費用を含む諸費用を借入金額に含めて申し込むこともできる
楽天銀行 公式サイトの手数料・諸費用ページ、および契約前に交付される費用明細で確認
auじぶん銀行 同上
住信SBIネット銀行 (現・ドコモの銀行)同上
三菱UFJ銀行同上
三井住友銀行同上
イオン銀行 同上

※司法書士報酬は物件の筆数・借入額・契約内容によって変わるため、金融機関が一律の金額を公表しているとは限りません。正確な金額は、契約前に交付される諸費用の明細(費用の内訳)で必ず確認してください

 

3,000万円を借り換えた場合の登記費用シミュレーション

ここまでの数字を使って、残債3,000万円・土地1筆+建物1棟を借り換える場合の登記費用を組み立ててみます。

 

項目金額の目安根拠
抵当権抹消の登録免許税2,000円不動産1個1,000円×2個
抵当権抹消の司法書士報酬約2万円2024年アンケートの平均17,470円
抵当権設定の登録免許税120,000円3,000万円×0.4%(軽減なし)
抵当権設定の司法書士報酬約8万円借入額3,000万円規模の試算例
登記費用の合計約22万円

 

そして借り換えの諸費用は、これで終わりではありません。定率型(税込2.20%)の事務手数料を採用する金融機関なら、3,000万円で66万円が別途かかります。印紙税は契約金額1,000万円超5,000万円以下で2万円(電子契約なら不要。ただし電子契約利用手数料がかかる場合があります)。金融機関によっては保証料も加わります。

 

つまり3,000万円の借り換えなら、諸費用の総額が90万円前後に届くことも珍しくないということです。登記費用だけを見て判断しないでください。

 

登記費用を含めた「損益分岐」の考え方

借り換えで得をするかどうかは、次の引き算で決まります。

 

借り換えメリット = (借り換えによる利息の減少額)-(諸費用の総額)

 

登記費用は諸費用側に入る、いわば最初に必ず払う固定コストです。ここを過小に見積もると、「金利は下がったのに手元は減った」という結果になりかねません。判断の順序は次のように進めるとブレません。

 

  1. 借り換え先の金利で総返済額の差額を試算する(残債・残期間を正確に入力する)
  2. 諸費用を登記費用・事務手数料・印紙税・保証料に分けて積み上げる
  3. 差額が諸費用を上回るか、上回るなら何年で回収できるかを確認する

 

諸費用をまとめて用意できない場合は、諸費用も含めて借り入れできる金融機関を選ぶ方法があります。ただし借入額が増えるぶん返済負担も増えるため、金利差が小さいケースでは効果が薄れる点に注意してください。事務手数料が定率型の場合、諸費用を借入額に含めると手数料そのものも増えます。

 

諸費用を抑える観点では、保証料が不要なタイプの住宅ローンも選択肢になります。たとえばSBI新生銀行は保証会社を利用しない仕組みのため保証料が0円で、一部繰上返済手数料もかからないなど、費用の内訳が把握しやすい設計です。金利だけでなく、諸費用まで含めた総額で比べることが借り換え成功の近道になります。

 

借り換えの登記費用に関するよくある質問

 

Q. 借り換えでも抵当権設定の登録免許税は0.1%になりませんか?
A. 原則としてなりません。0.1%の軽減(租税特別措置法第75条)は「住宅用家屋を新築または取得するための資金の貸付け」に係る抵当権設定登記が対象で、新築または取得後1年以内の登記であることが要件です。既存ローンの返済を目的とする借り換えは、通常この要件を満たしません。個別の判断は法務局・司法書士にご確認ください。

 

Q. 抵当権抹消の登録免許税はいくらですか?
A. 不動産1個につき1,000円です。土地1筆と建物1棟なら2,000円。同一の申請書で20個以上の不動産をまとめて抹消する場合は20,000円が上限です(法務局)。

 

Q. 抵当権抹消だけ自分でやれば安くなりますか?
A. 完済後の抹消登記を自分で申請することは制度上可能で、法務局が申請書の記載例を公開しています。ただし借り換えでは抹消と設定を同じ日に処理する必要があり、金融機関の指定司法書士がまとめて行うのが一般的です。抹消だけ切り離せるかは、借り換え先・借り換え元の双方に事前確認が必要です。

 

Q. 借り換え時に引っ越していると追加の登記が必要ですか?
A. 登記簿上の住所と現住所が違う場合、登記名義人住所変更登記が必要になります。2024年アンケートの平均報酬は13,913円で、これに登録免許税が加わります。当初の家から住み替えたケースなどで見落としやすい費用です。

 

Q. 登記費用はどの段階で支払いますか?
A. 一般的には借り換えの実行日(決済日)に、融資金から精算するかたちで支払います。事前に司法書士から見積書が交付されるので、金額の内訳(登録免許税・報酬・実費)を必ず確認しておきましょう。

 

まとめ

借り換えの登記費用について、押さえるべき点は次の3つです。

 

  • 借り換えの抵当権設定登記に0.1%の軽減は使えない。本則の0.4%で計算する(3,000万円なら12万円)
  • 借り換えは抹消+設定の2本立て。住所が変わっていれば住所変更登記も加わる
  • 司法書士は金融機関の指定が一般的で、報酬を自分で下げるのは難しい。削れるのは事務手数料・保証料など金融機関ごとに差がつく費用

 

登記費用は「借り換えるなら必ず発生する固定コスト」です。だからこそ金利差だけで判断せず、諸費用を積み上げてから損益分岐を確認する手順を崩さないでください。

 

なお、税制の軽減措置には期限が定められており、司法書士報酬も事務所や案件によって異なります。2026年8月時点の情報をもとに整理していますが、最新の取り扱いは国税庁・法務局および各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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