フラット35からフラット35へ借り換え|同じ銀行も可・条件と損益分岐

結論:フラット35からフラット35への借り換えは、いま借りている金融機関をそのまま借換先に選ぶことができます。民間の住宅ローンでは同じ銀行への借り換えができないのが原則ですが、フラット35は住宅金融支援機構の制度として「現在【フラット35】を利用している方も、【フラット35】から【フラット35】借換融資への借換えが可能」と明記されています。ただし同じ金融機関でも事務手数料や登記費用は新しく発生し、割引はありません。しかも2026年9月の借換金利は返済期間21年以上35年以下で年3.460%と上昇局面にあるため、判断は金利差ではなく諸費用を含めた総返済額で行う必要があります。
- 同じ金融機関でも借り換えできる理由と、それでも比較が必要な理由
- 2026年9月の借換金利と、申込1年ルール・借入期間の上限などの条件
- 残債2,000万円・残り20年で損益分岐がどう出るかの実例
フラット35なら同じ金融機関への借り換えもできる
民間の銀行が提供するプロパー住宅ローンは、同じ銀行のなかで借り換えることが原則できません。これに対してフラット35は、いま借りている金融機関を借換先の候補に残したまま検討できるという特徴があります。取扱金融機関が変わっても商品そのものは住宅金融支援機構の制度なので、「他行に移らなければ借り換えられない」という制約がないためです。
気を付けなければならないのは、同じ金融機関のなかでフラット35を借り換える場合でも、事務手数料・登記費用などの借り換え費用は新規の借り換えとまったく同じで、特段おトクになるわけではないという点です。手続きの窓口が1つで済むぶん心理的な負担は軽くなりますが、「同じ金融機関であること」を最優先で決めてしまうと、手数料・金利・サービスの面で最善の借り換えを逃す可能性があります。
フラット35からフラット35への借り換えでは、いま借りている金融機関も「候補の1つ」として横並びで比べられる——この程度に受け止めておくのがちょうどよいでしょう。
2026年9月のフラット35借換金利は年3.460%(返済期間21年以上35年以下)
借り換えの損得は、まず現在の水準を知るところから始まります。住宅金融支援機構が公表している【フラット35】の金利情報によると、2026年9月の借換融資の最頻金利は次のとおりです。
| 返済期間 | 最頻金利(2026年9月) | 金利の範囲 |
|---|---|---|
| 1年~20年 | 年3.140% | 年3.140%~年5.370% |
| 21年~35年 | 年3.460% | 年3.460%~年5.690% |
| 36年~50年(フラット50) | 年3.700% | 年3.700%~年5.620% |
※住宅金融支援機構の金利情報(2026年9月現在・新機構団信付き)。最頻金利とは、取扱金融機関が提示する金利のうち最も多いものです。

読み取っておきたいポイントは3つあります。
1つ目は、借換融資では融資率9割以下の金利が適用されることです(機構の借換融資のご利用条件に明記されています)。新規借入れのように「9割超」の高い金利が適用される心配はありません。
2つ目は、適用されるのは申込時ではなく資金受取時の金利で、金利は毎月見直される点です。申込から実行までの間に金利が動けば、試算した効果もそのぶん変わります。
3つ目は、返済期間を20年以下にすると金利が一段低くなることです。2026年9月なら年3.460%と年3.140%で0.320%の差があり、残りの返済期間が20年前後の人にとっては見逃せない差になります。
なお、当編集部が毎月フラット35の金利情報を確認・記録しているところ、返済期間21年以上35年以下の最頻金利は2026年7月が年3.140%、8月が年3.290%、9月が年3.460%と、3か月続けて上昇しています(住宅金融支援機構の金利情報より当編集部調べ)。金利が上がっている局面では、「様子を見る」こと自体がコスト増につながる場合があることも意識しておきたいところです。
掲載金利は団信込み。加入しない場合と特約付きの上乗せ幅
フラット35は2017年10月から新機構団体信用生命保険(新機構団信)の制度に切り替わり、公表されている金利は団信の保障が含まれた金利になっています。それ以前は住宅ローンの返済とは別に、毎年、特約料を支払う仕組みでした。
現在の上乗せ・引き下げの関係は次のとおりです。
| 団信の選び方 | 金利 | ポイント |
|---|---|---|
| 新機構団信(加入) | 掲載金利のまま | 公表されている年3.460%などがこれにあたる |
| デュエット(夫婦連生団信) | 掲載金利+0.180% | どちらか一方に万一のことがあった場合に債務が完済される |
| 3大疾病付機構団信 | 掲載金利+0.240% | 死亡・所定の高度障害に加えて3大疾病を保障 |
| 団信に加入しない場合 | 掲載金利-0.200% | 健康上の理由などで加入できない場合も利用可。ただし保障は残らない |
借り換えで見落としやすいのが、いま加入している団信の保障は、借り換えによって終了するという点です。新しいフラット35で団信に入りたい場合は、あらためて加入の申し込みが必要になります。健康状態によっては加入できないこともあるため、「金利は下がったが保障がなくなった」という事態を避けるには、団信に入り直せるかを早い段階で確認しておくことが大切です。団信の選び方はフラット35の団信を比較した記事でも整理しています。
2017年9月以前に借りた人は「金利+特約料」で比べる
平成29年(2017年)9月30日以前にフラット35を借りた人は、機構団体信用生命保険特約制度を使っていれば金利とは別に特約料を毎年支払っているはずです。この場合、いまの負担は表面の金利だけでは表せません。年間の特約料を含めた実質的な負担で、借換後の金利と比べる必要があります。
特約料の額は残高と経過年数で変わるため、住宅金融支援機構の機構団信特約料シミュレーションで自分の条件に当てはめて確認しておくと、比較の土台がそろいます。
また、この制度を利用中の人が借り換えによる完済で特約制度から脱退する場合、支払済みの特約料のうち未経過分に相当する額が返戻される取り扱いがあります(脱退時期などによっては返戻できない場合があります)。借り換えのコストを見積もるときは、この返戻分も忘れずに数えてください。
金利より先に確認したいフラット35借換融資の条件
金利を比べる前に、そもそも申し込めるかどうかを確認しておくと無駄がありません。主な条件は次のとおりです。
| 項目 | 条件 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 申込できる人 | 原則、借換対象の住宅ローンの債務者本人(連帯債務者を含め2名まで追加可) | 債務者を追加すると住宅ローン控除の扱いが変わることがある |
| 経過期間 | 住宅取得時の借入日から借換融資の申込日まで1年以上経過し、直近1年間を正常に返済していること | 借りた直後は借り換えできない(1年ルール) |
| 年齢 | 申込時に満70歳未満(親子リレー返済なら70歳以上も可) | 年齢が借入期間の上限にも効いてくる |
| 総返済負担率 | 年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下 | 自動車ローン・カードローン・リボ払いも合算される |
| 資金使途 | 本人が所有し、本人または親族が住む住宅のための住宅ローンの借換え | 投資用・多目的ローン、リフォームのみのローンは対象外 |
| 対象住宅 | 機構の技術基準に適合。床面積は一戸建て等50㎡以上、マンション30㎡以上 | 適合証明のための物件検査手数料が別途かかる |
| 借入額 | 100万円以上1億2,000万円以下で、「借換対象ローンの残高」か「機構の担保評価額の200%」の低いほうまで | 諸費用を借入額に含められる |
| 保証料・繰上返済手数料 | 不要(保証人も不要) | 一部繰上返済はネットなら10万円以上、窓口は100万円以上から |
担保についても注意が必要です。フラット35からフラット35への借り換えであっても、借換後のローンのために抵当権をあらためて設定します。抵当権の抹消・設定にかかる登録免許税や司法書士報酬は自己負担になるため、諸費用の見積もりから外さないでください。
借入期間の上限は3つの計算のうち「いちばん短い年数」
借り換えでもっとも誤解が多いのが借入期間です。フラット35借換融資の上限は、次の3つのうち最も短い年数(1年単位)になります。
- ①「80歳」-「借換融資の申込時の年齢(1年未満切上げ)」
- ②「40年」-「住宅取得時に借りた住宅ローンの経過期間(1年未満切上げ)」
- ③「35年」(長期優良住宅、予備認定マンションまたは管理計画認定マンションは50年)
たとえば45歳・住宅取得から12年経過している人なら、①は35年、②は28年、③は35年なので、上限は28年です。「借り換えで期間を延ばして毎月の返済額を下げる」という発想は、②の40年ルールがある以上どこまでも通用するわけではありません。
また、20年以下の借入期間を選ぶと、原則として返済途中で21年以上に変更できません。金利が一段低くなるのは魅力ですが、毎月の返済額は上がります。教育費のピークや収入の変化を見込んだうえで選んでください。
期間の設計は、いま金融行政からも注目されている論点です。共同通信は2026年9月4日、金融庁が返済期間40年・50年といった超長期の住宅ローンを扱う銀行の審査体制について、監視を強化する方針を固めたと報じています(大手銀行・地方銀行・ネット銀行が対象で、早ければ今秋にも実態把握に乗り出すとされます)。金利上昇で総返済額が膨らむなか、返済能力を超えた融資が行われていないかを点検する狙いと伝えられています。規制や禁止が決まったわけではなく、監視・対話の強化という段階ですが、「借りられる額」と「返せる額」は別もので、期間を延ばせば毎月の負担は下がっても総支払額と完済年齢は増える——という原則は、借り換えでもそのまま当てはまります(金融庁による正式な公表は本稿執筆時点で確認できておらず、報道にもとづく内容です)。
いくら得になる?残債2,000万円・残り20年の損益分岐
ここからは実際の数字で確かめます。残債2,000万円・残りの返済期間20年の人が、現在の適用金利年4.000%から2026年9月のフラット35借換融資(返済期間20年以下の最頻金利=年3.140%)へ借り換えたと想定した当編集部の試算です。
| 項目 | 借り換えしない場合 | 借り換えた場合 |
|---|---|---|
| 残債/残り期間 | 2,000万円/20年 | 2,000万円/20年 |
| 金利 | 年4.000% | 年3.140% |
| 毎月の返済額 | 121,196円 | 112,326円 |
| 総返済額 | 29,087,040円 | 26,958,240円 |
| 事務手数料(2.20%・税込の場合) | ― | 440,000円 |
| 登記費用など(概算) | ― | 200,000円 |
| 諸費用を含めた合計 | 約2,908万円 | 約2,760万円 |
| 借り換えメリット | ― | 約148万円 |

※元利均等・ボーナス返済なしで計算した当編集部の試算です。団信は掲載金利に含まれる前提とし、火災保険料・物件検査手数料は含んでいません。事務手数料は取扱金融機関によって異なり、登記費用は物件や地域で変わります。
なお、フラット35借換融資では次の諸費用を借入額に含めることができます。手元資金に余裕がなくても借り換えに踏み切りやすい仕組みです(そのぶん借入額が増え、利息も増える点は理解しておきましょう)。
- 金銭消費貸借契約書に貼付する印紙代(印紙税)
- フラット35借換融資を利用する際の融資手数料
- 抵当権の設定・抹消のための費用(登録免許税)と司法書士報酬
- 適合証明検査費用(物件検査手数料)
- 借換前の住宅ローンを完済する際の繰上返済手数料および経過利息
- 火災保険料(積立型を除く)・地震保険料(借換えの際に新規で契約する場合)
借換先を選ぶときは「事務手数料」で差がつく
フラット35は住宅金融支援機構の制度商品なので、フラット35に力を入れている金融機関どうしなら金利はほぼ横並びになります。そこで差がつくのが事務手数料です。定率型で借入金額の2.20%(税込)なら2,000万円の借り換えで44万円、これが定額型なら数万円で済むケースもあります。金利が同じなら、事務手数料の差はそのまま損得の差です。
当サイトではフラット35の借り換え事務手数料を比較したコンテンツも用意しています。
フラット35の借り換え手数料を徹底比較/安い金融機関はドコ?
取扱金融機関としては、【フラット35】の実行件数で16年連続No.1のSBIアルヒ(旧ARUHI)のように、独自商品「スーパーフラット」も含めて借り換えの選択肢を用意している会社もあります。※2010年度-2025年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2026年3月末現在、SBIアルヒ調べ)
また、全期間固定にこだわらないのであれば、民間の住宅ローンも同じ土俵で比べる価値があります。たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、保証料と一部繰上返済手数料がかからず、一般団信も金利の上乗せなしで付けられるため、諸費用まで含めた総額で見たときに検討に値する選択肢の一つです。全期間固定の安心を取るのか、金利水準と諸費用の軽さを取るのか——比べる軸を「金利」から「総返済額+保障」に広げると判断がぶれにくくなります。フラット35へ移ることの弱点はフラット35への借り換えのデメリットをまとめた記事もあわせて確認してください。
フラット35がなぜ「借り換えの見直し」を必要とするのか
フラット35は住宅金融支援機構と民間の金融機関が協力して提供する長期固定型住宅ローンの定番商品です。完済までの金利が確定するため返済計画を立てやすい一方で、金利が高い時期に固定していると、その高い水準を借入全期間にわたって抱え続けることになるという裏返しの性質があります。

フラット35の金利は、2008年~2009年には3%台でしたが、2012年ごろに2%程度、2016年には日銀のマイナス金利政策の影響を受けて1%台まで低下しました。ところが2024年以降は金融政策の転換で長期金利が上昇し、フラット35の金利も上昇に転じています。
つまり2026年9月時点は、誰でも「借り換えれば金利が下がる」局面ではありません。かつて3%を大きく超える金利で借りた人や、旧制度で団信特約料を別払いしている人には依然として見直しの余地がありますが、2010年代後半に1%台で借りた人がいまフラット35へ借り換えても総返済額は増えます。いま必要なのは「借り換えるかどうか」ではなく、「自分の適用金利がいくらで、現在の水準とどれだけ差があるか」を数字で確かめることです。
フラット35Sの引き下げ期間が終わるタイミングも見直し時
省エネルギー性や耐震性に優れた住宅に適用されるフラット35Sには、5年または10年の金利引き下げ期間があります。この期間が終わると返済額が上がるため、終了前後に借り換えを検討する人は少なくありません。
判断の材料は単純で、引き下げ終了後の金利と、借換後の金利+諸費用を比べて総返済額が減るかどうかです。なお、フラット35借換融資で使える金利引き下げメニューは【フラット35】子育てプラスのみで、新規借入れで使えるほかの引き下げメニューは利用できません。「借り換えても引き下げが続く」と考えていると試算がずれるので注意してください。
まとめ
フラット35からフラット35への借り換えは、いま借りている金融機関も候補に含めて比較できるという点で、民間の住宅ローンにはない自由度があります。ただし同じ金融機関でも費用は変わらず、2026年9月の金利水準は上昇局面です。
実務としては、①返済予定表で適用金利・残債・残り期間を確認する、②借入期間の上限(80歳ルール・40年ルール)を確認する、③事務手数料まで含めた総返済額で損益分岐を出す、④団信に入り直せるかを確認する——この4段階で進めるのが確実です。金利差が0.3%程度なら諸費用で消えるということを最初に押さえておけば、判断は難しくありません。
フラット35からフラット35への借り換え よくある質問
Q. 同じ金融機関のフラット35に借り換えれば手数料は安くなりますか?
A. いいえ。同じ金融機関でも事務手数料などの借り換え費用は新規の借り換えと同じで、特別に安くなるわけではありません。窓口が1つで済む手軽さだけで決めず、金利・事務手数料・団信の条件で比較してください。
Q. フラット35を借りてすぐに借り換えることはできますか?
A. できません。住宅取得時に借り入れた住宅ローンの借入日から借換融資の申込日まで1年以上経過し、かつ申込日前日までの1年間を正常に返済していることが条件です。
Q. 借り換えで返済期間を延ばして毎月の負担を減らせますか?
A. 上限があります。借入期間は「80歳-申込時の年齢」「40年-住宅取得時のローンの経過期間」「35年(長期優良住宅等は50年)」のうち最も短い年数までです。取得から年数が経っているほど選べる期間は短くなります。
Q. 2026年のいま、フラット35からフラット35への借り換えにメリットはありますか?
A. 金利が上昇しているため、金利を下げる目的の借り換えが成立するのはかつて3%を大きく超える金利で借りた人などに限られます。一方、2017年9月以前に借りて団信特約料を別払いしている人は、金利+特約料の実質負担で比べ直す価値があります。
Q. いま加入している団信は借り換え後も続きますか?
A. 続きません。借換対象のローンで加入していた団信の保障は借り換えによって終了するため、新しいフラット35であらためて加入を申し込む必要があります。健康状態によっては加入できない場合があります。
※本記事の金利・条件は、2026年9月9日に住宅金融支援機構の公式サイトで確認した内容にもとづいています。金利は毎月見直され、事務手数料は取扱金融機関によって異なるため、最新の適用条件は各金融機関の公式サイトでご確認ください。
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