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変動金利の5年ルールと125%ルールとは?金利上昇局面の注意点も解説

変動金利と金利上昇をイメージした住宅と上昇グラフ

 

変動金利は今も主流、でも「金利上昇局面」に入った

住宅ローンの金利タイプでは、いまも変動金利を選ぶ人が多数派です。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2026年1月調査)によると、利用した金利タイプは変動型が75.0%と最も多く、固定期間選択型14.9%・全期間固定型10.1%となっています(時点により割合は変動します)。

金利タイプ別の利用割合を示す棒グラフ(変動型が最多)
変動型が75.0%と最多

ただし、状況は以前と大きく変わりました。日本銀行は2024年にマイナス金利を解除し、その後も追加利上げを進め、2026年6月には政策金利を1.0%程度へ引き上げています(約31年ぶりの水準)。これを受けて、多くの銀行で秋にかけて変動金利が引き上げられる見込みで、「変動金利=これから上がりうる金利」という前提で備える局面に入っています(引き上げの時期・幅は各金融機関の公式サイトでご確認ください)。

この記事では、金利が上がったときに毎月の返済額や総返済額がどうなるかを左右する、変動金利の「5年ルール」と「125%ルール」を解説します。金利が上がる可能性が現実味を帯びたいまこそ、正しく理解しておきましょう。

変動金利の住宅ローンのメリットとデメリット(リスク)

2つのルールを理解するには、まず変動金利のメリットとデメリットを押さえておく必要があります。

変動金利のメリット

金利が低い(ので利息の支払いが少なく、元本の返済ペースが早い)。

変動金利のデメリット

金利が上昇する可能性がある(ので将来、返済額が増えてしまう可能性がある)。

メリット・デメリットはシンプルですが、本当に金利が上昇したとき、毎月の返済額や総返済額はどうなるのかを正しく理解するには、「5年ルール」と「125%ルール」を知っておく必要があります。なお、この2つのルールを採用していない住宅ローンもありますので、変動金利を検討している人は事前にチェックしておきましょう(採用・非採用の銀行は記事後半で紹介します)。

住宅ローンの5年ルールとは?

住宅ローンの5年ルールとは「金利は変わっても、毎月の返済額はすぐには変わらない(最大5年間)」というルールです。

変動金利は基本的に半年ごと(年2回)に見直されます。5年ルールを採用している住宅ローンなら、半年ごとの見直しで金利が引き上げになっても、最大5年間は毎月の返済額が変わりません

ここで「金利が変わったのに返済額が変わらない」とはどういう状態かを理解することがポイントです。毎月の返済額は「元本の返済」と「利息の返済」に分かれています。たとえば毎月8万円を返済していても、借入元本が毎月8万円減るわけではありません。内訳が「元本返済5万円・利息返済3万円」なら、元本は毎月5万円ずつ減っている計算です。

金利が上がれば、本来支払うべき利息は増えます。それでも返済額を変えないため、返済額の内訳が調整されます。総額8万円は変えずに「元本返済4.5万円・利息返済3.5万円」のようにするわけです。すると、これまで5万円ずつ減っていた元本が4.5万円ずつになり、元本の返済スピードが遅くなります

つまり5年ルールは「金利は上がったが、急な返済額増は困るだろうから5年間は据え置く。ただし利息は増えているので利息を優先して払ってね」という仕組みで、元本返済が遅れたぶんは据え置き期間の後にカバーするため、5年後以降の負担は増えます。

5年ルールのメリット

金利が上昇してから実際に毎月の返済額が増えるまで最大5年の猶予があるため、増加に備える時間ができる(変動金利のデメリットの衝撃を和らげる)。

5年ルールのデメリット

その代わり、毎月の元本の返済ペースが強制的に遅くなる(遅れたぶんを5年経過後にカバーしなければならない)。

住宅ローンの125%ルールとは?

125%ルールとは、5年ルールの中で行われる「5年ごとの返済額の見直しで、新しい返済額はこれまでの返済額×125%を上限にする」というルールです。

先ほどの例なら、毎月8万円を返済していた人の5年後の返済額は「8万円×125%=10万円」が上限で、これを超えて増えることはありません。多少の金利上昇なら発動しませんが、大きく金利が上昇した場合にこの上限で制限されます。

この場合も利息の返済が優先されるため、返済額が10万円に増えても「元本返済4万円・利息返済6万円」のように、返済額が増えているのに元本の返済ペースはむしろ遅くなるという状況が起こり得ます。

125%ルールのメリット

5年ごとの見直し時の返済額増加に上限があるため、計画が立てやすい。

125%ルールのデメリット

毎月の返済額という点では安心感があるが、本来返すべき元本を返していないだけで問題を先送りしている。5年後の見直し後に元本の返済遅れをカバーしていく必要がある。

【重要】金利上昇局面で高まる「未払利息」のリスク

金利上昇が現実味を帯びたいま、あわせて知っておきたいのが「未払利息」です。金利が大きく上がり、本来支払うべき利息が、上限に制限された毎月の返済額を上回ってしまうと、支払いきれなかった利息(未払利息)が発生します。

未払利息は消えてなくなるわけではなく、返済期間の終盤や完済時にまとめて精算することになります。5年ルール・125%ルールは毎月の返済額の急増を抑えてくれる一方で、大幅な金利上昇時には元本の返済が滞り、未払利息が積み上がるリスクがあるのです。返済額が抑えられているからと安心せず、金利上昇時は「元本がきちんと減っているか」も意識することが大切です。

5年ルールと125%ルールのまとめ

5年ルールと125%ルールは、変動金利の「毎月の返済額」の急増をやわらげるための仕組みです。ありがたいルールに見えますが、金利自体は半年ごとに見直されることは変わらず、総返済額が減るわけではありません。むしろ元本返済を先送りするぶん、総返済額は増える方向に働き、大幅な金利上昇時には前述の未払利息のリスクもあります。

金利上昇局面に入ったいまは、「自分のローンにこのルールがあるか/ないか」を把握しておくことがより重要になっています。ルールがあれば返済額の急増は当面抑えられますが、そのぶん後で負担が来ます。ルールがなければ金利上昇が返済額にすぐ反映される代わりに、元本は着実に減り未払利息は生じません。どちらにも一長一短があるため、ルールの有無に関わらず、変動金利を選ぶなら将来の金利上昇を前提に備えておく必要があります。

5年ルール・125%ルールを採用していない住宅ローンは?

日本の住宅ローンの多くはこの2つのルールを採用していますが、一部の銀行は採用していません。ルールの有無は「各金融機関の商品説明書」や「約款・規約」に記載されているので確認しておきましょう。

【5年ルール・125%ルールを採用していない主な銀行】

SBI新生銀行

・ソニー銀行

PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)

これらの銀行では、金利が変わると新しい基準金利の適用月から返済額が変わります(返済額の据え置きがない代わりに、元本の返済が滞らず未払利息も生じません)。

一方、住信SBIネット銀行auじぶん銀行楽天銀行や、メガバンク・地方銀行などの一般的な変動金利型住宅ローンでは、この2つのルールを採用しています(楽天銀行は公式で採用を明記)。両者の違いを整理すると次のとおりです。

比較の観点ルールあり(多くの銀行)ルールなし(ソニー・SBI新生・PayPay 等)
金利上昇時の毎月返済額最大5年間は据え置き。見直し後も前回の1.25倍まで新しい基準金利の適用月からすぐ反映
元本の減り方返済額が抑えられるぶん、元本返済が遅れる金利どおりに返済するため、元本が滞らない
未払利息のリスク大幅上昇時に発生し得る原則発生しない
向いている人返済額の急変を避け、家計の見通しを安定させたい人負担を先送りせず、元本を着実に減らしたい人

※取扱い・仕様は変わることがあるため、最新の適用ルールは必ず各金融機関の公式サイト・商品説明書でご確認ください。

金利上昇が不安なら?借り換え・固定も検討を

5年ルール・125%ルールは、あくまで返済額の急増を先送りする仕組みで、金利上昇そのものへの対策にはなりません。金利上昇が不安なら、次のような手も検討しましょう。

  • 繰上返済の資金を準備しておく:金利が上がっても、元本を前倒しで減らせば利息負担を抑えられます。5年ルールで返済額が据え置かれている間に資金を貯めておくのも一手です。
  • より低い金利・固定金利への借り換えを検討する:金利差が大きいなら、変動から固定(または低い変動)へ借り換えて金利を確定・低下させる選択肢があります。借り換えには事務手数料・登記費用などの諸費用がかかるため、「諸費用 < 借り換えで減る利息」になるか(損益分岐)を試算して判断しましょう。

とくに「これから金利が上がるかもしれない」局面では、5年ルールで痛みが遅れて見えにくくなる点に注意し、返済額だけでなく総返済額・元本の減り方でも判断することが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. 5年ルール・125%ルールがあれば、金利が上がっても安心ですか?
A. 毎月の返済額の急増は抑えられますが、総返済額が減るわけではありません。むしろ元本返済が遅れるぶん総返済額は増える方向で、大幅な上昇時には未払利息が発生するリスクもあります。「安心」ではなく「猶予」と考えましょう。

Q. 自分のローンにこのルールがあるか調べるには?
A. 「商品説明書」「約款・規約」や各金融機関の公式サイトで確認できます。ソニー銀行・SBI新生銀行・PayPay銀行の変動金利は採用しておらず、多くの銀行は採用しています。

Q. 金利上昇が不安です。どうすればよいですか?
A. 繰上返済の資金を準備する、より低い金利や固定金利への借り換えを検討する、といった対策があります。借り換えは諸費用と利息の削減額を比べ、損益分岐を試算したうえで判断しましょう。

 

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