東京オリンピックが住宅ローン金利に与える影響を予想!
東京オリンピックが開催されることが決まったのは2013年。新型コロナウイルスの影響で1年延期になった2回目の東京オリンピックは2021年夏に開催されました。
直前まで「実施できるのか」「観客は会場に入れるのか」というような議論がありましたが、結局は「無観客で開催」されたTOKYO2020。新型コロナウイルスの感染が拡大するまでは、日本の各所で様々なイベントが催され盛り上がっていました。無人バス巡回のテスト運転やホテル不足を一時的に補うための船上ホテル(豪華客船)やテントの設営プランなど、様々な取り組みが推進されていました。結局は外国からの観光客も呼べず、日本国内からも観客を呼べず、当初計画していた経済効果とは大きく乖離することになりました。
なんとか開催にこぎつけた東京オリンピックですが、2013年に思い描いていた「お・も・て・な・し」とは全くこと形での開催となりました。
この記事では、東京オリンピックが住宅ローンの金利にどのような影響を与える可能性があるのかを解説しています。
この記事を最初に書いたのは2015年ぐらいでした。当時は東京オリンピックが決まったことで発生する様々な経済活動が住宅ローン金利にどう影響するのかを予想していました。”無事に開催できた”とは言えませんが、東京オリンピックは開催されましたので、ここで、東京オリンピック後の住宅ローン金利について解説していきたいと思います。
2017年や2018年ごろネット上のニュースサイトや週刊誌・スポーツ誌のWEBサイトでオリンピックが開催される2020年までに長期金利は3%を超える可能性もあり、住宅ローンの金利が急上昇するというような内容の記事がたくさんありました。その結果は・・・・最新の住宅ローンの金利を確認すればわかる通り、大外れです。
特に、当時の報道で特にひどいな・・と感じたニュースを解説した記事(2020年に長期金利が3.4%になる?住宅ローン金利も急上昇する?)記事もありますので、気になる人や金利上昇を煽るネット記事を見て不安を感じている人は併せてお読みいただければと思います。
変動金利タイプの住宅ローン金利は短期金利、固定金利タイプの住宅ローン金利は長期金利に連動します。また、一般的な金利上昇の順番は「先に長期金利が上昇して、追いかけるように変動金利が上昇していく」です。
将来の住宅ローン金利の動向を予想するということは、「長期金利」の金利動向を予想するのとほとんど同じというわけです。
歴史的な低水準で推移する長期金利ですが、少し変動しただけで「急上昇」というキーワードを使いたがるマスコミが多く、アクセス数だけ稼げれば良いという風潮があります。もし金利上昇報道が過熱気味になったとしても冷静に判断するようにしましょう。
それでは、まず、東京オリンピックとその開催準備(設備投資・インフラ整備)が日本経済にどう影響し、それが住宅ローンの金利にどう影響するのかについて解説していきます。
東京オリンピックが住宅ローン金利に与える影響は少ない
・東京オリンピックが今後の住宅ローン金利に大きな影響を与えることはなさそう
・オリンピックによる経済効果よりも、首都・東京の人口もついに減少してしまう未曽有の人口減少時代に突入することの影響の方が大きい
・「日銀」の金融政策には注意が必要。いつかは金融緩和は終わるし、終わらせなければならない。(金融緩和の出口に向かって言ったら金利は上昇する可能性が高い)
・新型コロナウイルスによる傷は大きく、好景気と金利上昇時代は遠い
結論としては、「東京オリンピック」というイベントが住宅ローンの金利に与える影響は軽微です。また、オリンピックの開催有無を問わず、日本は金利が急上昇していくような環境にありません。
当サイトは「低金利が続くうちにできるだけ低い金利で借りて、低い金利を活かしてできるだけ早く返済を進めるという考えで変動金利を選ぶ」のがやはり有力な選択肢だと思っていますし、実際60%以上の人が変動金利で借りていて、大多数の人たちの判断は間違っていないと考えています。
東京オリンピック開催による経済効果の試算
2015年3月にみずほ総合研究所が発表した東京オリンピック・パラリンピックの経済効果の試算は2015年~2020年までの”5年間で約30兆円”となっていました。また、2017年3月に東京都が発表した経済効果は2013年から2030年までの”18年間で32兆円”と見積もられていました。
同じ30兆円前後の経済効果になっていますが、経済効果を試算している期間が全く違っているように、自治体やコンサル会社が予想する大規模イベントの経済効果の試算はあまり参考にならないことがわかります。
しかも、無観客開催で外国から観光客を呼び込めなかったのですから、この試算はまったく参考にならなくなりました。
ただし、インフラ整備などが推進されたのは確かなので一定規模の経済効果はありました。ただ、東京オリンピック開催が日本経済に与える影響は、経済の専門家や東京都も正確に試算できていなかったどころか、今となってはもはや誰も理解できていない状況です。
ということで、「オリンピックの経済効果の正確な効果はわからないけど、オリンピックが自国で開催されるのは何十年かに1度のビッグイベントで、経済・雇用・不動産産業・インフラ産業・旅行産業などを中心に比較的大きな影響がある。ただし、無観客開催・外国観光客無しで経済効果が大きく減少し、投資したツケが残ってしまった」というような感覚を持っておくと良いでしょう。
東京オリンピックまでの住宅ローン金利はどうなる?
今から5年前の2013年の9月。2020年の東京オリンピックが決定した直後はオリンピック開催による経済効果によりGDPは引き上げられて好景気に突入する可能性があると報道され、その結果住宅ローンの金利が上昇すると予想するいう意見を発信する専門家や報道機関が多くありました。
ところが・・・・新型コロナウイルスのパンデミックという異例の出来事があったにせよ、住宅ローンの金利が上昇することはありませんでした。
2013年~2015年ごろ、少なくとも筆者の記憶では「住宅ローン金利があがるかも!?」と言っていた専門家はたくさんいましたが、「住宅ローン金利が下がる!」と宣言していた人はいませんでした。
ところが2013年から2017年にかけて住宅ローン金利は大幅に下がっています。当時話題になったオリンピック景気で金利が上昇して住宅ローン金利も上昇する!というニュースは大ハズレだったわけです。当時の記事を何とか探し出して読んでみると、悲しいぐらいはずれています。
<参考:住宅ローン金利の指標:10年もの国債利回り(長期金利)>
2016年に日銀がマイナス金利政策を導入したり、長短金利をコントロールする政策を打ち出したり、誰も予想もできなかった経済イベントの影響で住宅ローン金利が低下しているわけなので、当時の予想を強く批判するつもりはありませんが、結果的に住宅ローン業界にとって東京オリンピック開催は数多くある経済イベントの中の1つ、それも影響力が小さい経済イベントと言えることがわかります。
つまり、「東京オリンピックの経済効果は決して小さくないし、どちらかと言えば金利上昇圧力につながるイベントだが、今の日本の住宅ローン金利に大きな影響を与えるか、というとそうでもなさそうだ」程度に思っていた方が良さそうと言うことですね。
これは過去4年間を振り返った結果ですが、オリンピック開催後もその傾向に違いはないと言えるでしょう。
東京オリンピック開催で地価があがり、開催後に地価が下がる?
ということで、住宅ローンの金利に与える影響についてはそれほど気にしなくて良さそうな東京オリンピックの経済波及効果ですが、地価は急上昇しています。右肩上がりで上昇していて、特に東京都の地価が非常に強い値を示しています。
実際、渋谷では東急グループが中心となって大規模再開発が進んでいます。東京駅前には日本最大のビルが建設されます。また、品川と田町の間には山手線の新駅が登場しています。
他にも大規模なインフラ整備が数多く進んでいることもあり、商業施設の地価を中心に引き続き上昇基調が続く可能性は高いと言えるでしょう。インフラ整備によりこれまでより利便性や利用価値が高まるエリアが誕生しますので、少なくとも東京都・東京都近辺においてその傾向が強いのも間違い無さそうです。一方で、地方都市などの地方部においては地価の下落目立ってきており、二極化はさらに進む可能性があります。
住宅ローンの借り換えを検討している人はすでにマイホームを保有しているわけなので、大半の人は地価はそれほど興味がない(売却しようとしていたり、固定資産税を気にされている場合は別ですが)と思いますが、住宅ローンの新規購入を考えている人は、マイホームの購入タイミングを慎重に考える必要はあるかもしれませんね。
東京オリンピック終了後の住宅ローン金利はどうなる?
では、東京オリンピックが終了したあとの住宅ローン金利はどのなるのでしょうか?
まず、東京オリンピックが終了した後に日本を待ち受けているのは未曽有の人口減少時代です。統計データによる予測では、2020年が東京都の人口のピークになると言われています。
地方部ではすでに人口減少が進み、市区町村の統廃合や学校の統廃合、事業の縮小化が始まっていますが、いよいよ人口減少の波が首都である東京都に押し寄せるのが東京オリンピックの終了後と言われています。
首都の人口も減少するという日本の長い歴史の中でも経験したことの無い人口減少の本格化が始まります。今でも新築マンションが次々と建設されていますが、人口が減るのに住むところだけ増えて、空き家問題は深刻化していきます。すでに空き家が増えているのに建築ラッシュが続いているのは不思議なことですが、日本人は新築住宅が大好きなので、今後もその傾向が続きそうです。
東京オリンピックが終了したから金利が下がるとは考えませんが、2020年をピークに首都である東京の人口が減少に転じることは日本経済の転機になる可能性があると思っています。
ということで、なにもしなければ(一部地域などを除いて)不動産・住宅ローン市場は悪化しやすいと考えるのが自然ですし、好景気になって住宅ローン金利がどんどん上昇するという時代になるのはちょっと想像しにくいですね。
まとめ
これまでの経緯や状況を振り返る限り、今後の住宅ローン金利を予想するうえで、東京オリンピックを重視する必要はありません。どちらかというと2020年をピークに東京都も人口が減ってしまう程の少子高齢化、人口減少の方が大きく影響すると思っていた方が良いでしょう。
住宅ローンに限らず、金利はお金の「供給」と「需要」のバランスにより決定されます。人口が減り、若者(お金が必要な人)が減り、黙っていれば「需要」が減っていく中で、急激な金利上昇が起こると予想するのはなかなか無理があります。
一方で、「日銀」の政策に関しては別です。いつかは日銀の金融緩和政策は転換期を迎えます。このままでは2020年には日本国債の6割を日銀が保有する異常な状態になることが確実です。人口減少に歯止めをかけるのは何十年単位の時間が必要ですが、そこまで今の金融緩和を続けられるかどうかは不透明です。
どうにもこうにも金利上昇時代が来ると予想できない今後の日本経済ですが、日銀の政策が大きく成功したり、政策転換すると一時的に・強制的に金利が上昇するリスクは排除できません(可能性は低いと思っていますが)。今の低金利を生かして住宅ローンを少しでも低い金利で借り入れておくことや、10年固定金利などに借り換えて、改めて低い金利に借り換えて低金利で固定できる期間を延長しておくというのは有効な備えの1つなのは間違いではないでしょう。
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