預金連動型住宅ローンとは?仕組み・条件とデメリット【2026年8月】

預金連動型住宅ローンとは?
預金連動型住宅ローンとは、文字どおり預け入れている預金額に連動して、利息のかかるローン残高が変わる住宅ローンのことです。日本国内では東京スター銀行が2003年2月に「スターワン住宅ローン」として初めて商品化しました。同行は住宅ローンの金利引き下げ競争のなかで一時販売を停止していましたが、金利上昇局面に入ったことを受けて2025年1月6日に販売を再開しています。このほか、いくつかの地方銀行・信用金庫などでも預金連動型(利息キャッシュバック型を含む)の取り扱いがあります。
金利が上がる局面ほど「借りている側」は不利になりますが、預金連動型は預金が増えるほど利息のかかる部分が減るため、金利上昇の影響を受けにくいという特徴があります。借り換えでの検討価値が見直されているのは、この構造によるものです。

預金連動型住宅ローンのメリットとは?
預金連動型住宅ローンの魅力は、住宅ローン残高から預金残高を差し引いた部分にだけ金利がかかること、そしてローン残高を減らさずに利息だけを軽くできることの2点です。
預金残高を積むと「繰上返済と同じ利息軽減効果」が得られる一方、ローン残高そのものは減りません。通常の住宅ローンで繰上返済をすると残高が減り、その分だけ住宅ローン控除も小さくなりますが、預金連動型ならその目減りが起きません(住宅ローン控除の詳しい条件は後述します)。
さらに、連動させるのは普通預金などですのでいつでも引き出せます。繰上返済と違って手元資金(流動性)を確保したまま利息を軽くできるため、教育費や事業資金など「使う可能性のあるお金」を抱えたまま返済負担を抑えたい人に向いています。

東京スター銀行のスターワン住宅ローンの仕組み(2026年8月時点)
預金連動型で代表的な東京スター銀行のスターワン住宅ローンを例に、仕組みを確認しましょう。
預金連動対象預金の残高と同額の住宅ローン残高には、基本金利がかかりません。預金を増やしていくことで、預金連動後のローン金利を実質年0%まで引き下げることができます(預金連動対象預金の残高が借入額を上回っており、かつ団体信用生命保険に加入しない場合。別途手数料がかかります)。
連動対象は「スターワン円普通預金」「スターワン積立円定期」「スターワン外貨普通預金」「外国為替レート参照型オフセット定期預金〈仕組み預金〉」「外国為替レート参照型円定期預金〈仕組み預金〉『円活』」の5種類です。基本金利(変動金利)は年1.650%〜年3.250%(2026年8月3日現在)で、給与を受け取ればその日からローンの利息を節約でき、預金はいつでも引き出せます。
なお、円普通預金はローン残高と同額までの部分には利息が付きません(連動で相殺されるため)。一方でスターワン外貨普通預金には利息が付き、ローン利用者には特別金利が適用されます。ただし外貨預金には為替変動リスクがあり、預金保険の対象外である点は必ず理解しておいてください。
【重要】使える人は限られる ── 年収と借入額の条件
ここが本記事でいちばんお伝えしたい点です。預金連動型は仕組みが魅力的な一方、そもそも申し込める人の条件が絞られています。東京スター銀行のスターワン住宅ローンの場合は次のとおりです(2026年8月時点・公式)。
| 項目 | 条件 | 借り換えで見るポイント |
|---|---|---|
| 年収 | 税込年収1,000万円以上(年収合算する場合は各自500万円以上かつ合算1,000万円以上) | ここで多くの人がふるいにかかる |
| 勤続年数 | 1年以上(会社役員・自営業は2年以上の安定収入を公的書類で確認できること) | 転職直後は不可 |
| 融資金額 | 3,000万円以上3億円以内(10万円単位) | 残債が3,000万円未満だと借り換えできない |
| 融資期間 | 1年以上35年以内 | 借り換えは原則、現在の住宅ローンの残期間の範囲内 |
借り換えで検討する場合、「残債3,000万円以上」と「年収1,000万円以上」の2つが実質的な入口になります。返済が進んで残債が3,000万円を切っている方は対象外です。逆に言えば、借入額が大きく、それと同等かそれ以上の預金を用意できる人に向けて設計された商品だということです。
※年齢・担保評価額など、ほかにも条件があります。詳細は必ず公式の商品説明書でご確認ください。
団信は「任意加入」──ただし加入しないと連帯保証人が必要
スターワン住宅ローンの特徴のひとつが、団体信用生命保険が任意加入である点です。加入する場合は基本金利とは別に、保障内容に応じた特約金利を負担します(2026年8月時点)。
| 団信のプラン | 特約金利 | 加入できる方(実行時の年齢) |
|---|---|---|
| ワイド団信(引受条件緩和型) | 年0.204% | 満65歳以下(完済時 満84歳以下) |
| 連生団信(夫婦連帯債務者向け) | 年0.408% | 満65歳以下(完済時 満84歳以下) |
| がん団信 | 年0.504% | 満58歳以下(完済時 満84歳以下) |
| 団信に加入しない | なし(0%) | 法定相続人1名(完済時 満84歳以下)を連帯保証人にする必要あり |
特約金利は預金連動しません。つまり預金を積んで基本金利部分を実質0%にしても、団信に加入していれば特約金利分の負担は残ります。「実質金利年0%」という表現は団信に加入しない場合の話である点を取り違えないでください。
また、団信に加入しない選択をすると、法定相続人1名を連帯保証人に立てる必要があります。生命保険で十分に備えがある方には合理的な選択肢ですが、「保障をどう確保するか」を決めずに金利だけで選ぶ商品ではありません。ワイド団信が用意されているため、健康上の理由で他行の団信に通らなかった方の借り換え先として検討できるのは、この商品の見落とされがちな長所です。
住宅ローン控除との組み合わせ(借り換え時の注意)
預金連動型のメリットを最大化するうえで欠かせないのが住宅ローン控除(住宅ローン減税)です。預金連動型はローン残高が減らないため、残高に応じた控除を受けやすいという相性の良さがあります。
ただし借り換えの場合は注意が必要です。住宅ローン控除の対象になるのは「住宅の取得等のために直接必要な借入金」であり、借り換えによる新しいローンは原則として対象外です。次の要件を満たす場合に限り、引き続き控除を受けられます(国税庁)。
| 借り換え後も控除を受けるための要件 | 借り換えで気をつける点 |
|---|---|
| 新しい住宅ローンが、当初の住宅ローンの返済のためのものであることが明らかであること | 諸費用や他の借入をまとめると要件を満たさなくなる可能性がある |
| 新しい住宅ローンの償還期間が10年以上であるなど、控除の対象となる要件に当てはまること | 残期間が10年未満になる借り換えでは控除が受けられない |
さらに、控除を受けられる年数は「居住の用に供した年」から一定期間であり、借り換えによって延長されることはありません。また、借り換え後の借入額が当初のローン残高を上回る場合は、控除対象となる年末残高が按分計算になります。
スターワン住宅ローンは借り換えの場合、原則として現在のローンの残期間の範囲内でしか組めません。残期間が10年を切っている場合は、そもそも住宅ローン控除の要件(償還期間10年以上)を満たせなくなります。「控除をフルに使うために預金連動型へ」という発想は、残期間が10年以上あることが前提だと覚えておいてください。
控除率・借入限度額・控除期間は入居年や住宅の種類(認定長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅など)によって異なり、税制改正でも変わります。ご自身のケースの控除額は必ず国税庁の公式情報でご確認ください。

預金連動型住宅ローンのデメリットと注意点
メリットを十分に享受できるのは、あくまで預金残高が借入額と同等かそれ以上ある場合である点に注意が必要です。預金残高が借入額の半分程度しかなければ、利息軽減効果もおおむね半分にとどまります。
整理すると、注意点は次の5つです。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| ①基本金利が割高になりやすい | 一般的な変動金利の住宅ローンより高めの設定。預金が少ないと「ただ金利の高いローン」になる |
| ②預金を引き出すと効果が減る | 流動性は強みだが、引き出した分だけ利息のかかる残高が増える |
| ③長期固定の選択肢が乏しい | 変動金利中心のため、金利上昇局面では預金でカバーできる範囲を超えるリスクがある |
| ④「5年ルール」「125%ルール」の有無 | 銀行によって適用されない場合がある。返済額の見直しタイミングは事前確認を |
| ⑤団信・保証の設計が独特 | 特約金利は預金連動しない。団信に加入しないなら連帯保証人が必要 |
これらを踏まえると、預金連動型住宅ローンはまとまった現預金があり、かつそれを返済期間中も維持できる人に向いた商品です。逆に、預金が借入額に対して少ない人は、素直に金利の低い一般的な住宅ローンへ借り換えたほうが有利になりやすいと考えてください。
借り換えの損得はこう考える(損益分岐の整理)
預金連動型への借り換えを検討するときは、次の順番で考えると判断を誤りにくくなります。
- 入口の条件を満たすかを先に確認する(残債3,000万円以上・年収1,000万円以上・残期間など)
- 連動させ続けられる預金額を現実的に見積もる(使う予定のあるお金は連動額から除いて考える)
- 実質金利=基本金利×(1−預金残高÷ローン残高)+特約金利、で今のローンの金利と比べる
- 諸費用(事務手数料・登記費用・印紙税・現在の借入先に払う全額繰上返済手数料)を足し上げる
- ③で減る利息の累計が④を上回れば借り換えの効果あり。下回るなら見送り
とくに②が肝心です。「今ある預金額」ではなく「返済期間を通じて置いておける預金額」で計算してください。数年後に教育費や住み替えで引き出す予定のあるお金を前提に試算すると、実際の効果は見積もりを大きく下回ります。
なお、預金連動型に限らず、借り換えでは今の金融機関に払う全額繰上返済手数料を見落としがちです。固定金利特約期間中は手数料がかかる金融機関もあるため、実行前に必ず現在の借入先へ確認してください。
預金連動型住宅ローンを取り扱う主な銀行
預金連動型(利息キャッシュバック型を含む)の住宅ローンを取り扱っている主な金融機関は次のとおりです。
- 東京スター銀行(預金連動型スターワン住宅ローン/2025年1月に販売再開)
- 愛媛銀行(新・愛のチカラ)
- 山陰合同銀行(預金連動型住宅ローン/利息キャッシュバック型)
- 琉球銀行(キャッシュバックローン)
- 関西みらい銀行
- 北日本銀行
- 荘内銀行
- JAバンク
- 西武信用金庫
※取り扱い状況・商品内容(連動の仕組み・金利・対象エリア・申込条件など)は変わることがあります。最新の取り扱い状況は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。地域金融機関の商品は営業エリアの制限があることも多く、勤務先や物件の所在地によっては申し込めない場合があります。
なお、大手行やネット銀行の多くは預金連動型を扱っていません。これらの金融機関で借り換えを検討する場合は、通常の変動金利・固定金利の住宅ローンから選ぶことになります。取り扱いの有無は変わり得るため、気になる金融機関があれば公式サイトの商品ラインアップで確認してください。
預金連動型の条件に当てはまらない場合の借り換え先としては、保証料0円・一部繰上返済手数料0円・一般団信の上乗せ0円で、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しているSBI新生銀行のように、諸費用の内訳が分かりやすい商品を含めて比較すると総額の見通しを立てやすくなります。
借り換えで預金連動型を検討するときのFAQ
Q. 借り換えで預金連動型に乗り換えると得ですか?
A. まとまった預金があり、その残高を返済期間中も維持できる人ほどメリットが出ます。判断のポイントは、預金連動で軽くなる利息と、割高になりやすい基本金利・特約金利・借り換えの諸費用の損益分岐です。預金が借入額に対して少ない場合は、通常の低金利ローンへの借り換えのほうが有利なこともあります。
Q. 残債が2,000万円ですが借り換えできますか?
A. スターワン住宅ローンの融資金額は3,000万円以上のため、対象外です。ほかの金融機関の預金連動型(利息キャッシュバック型)にも独自の下限額や営業エリアの条件があるので、各行の公式サイトでご確認ください。
Q. 残期間が8年です。預金連動型に借り換えれば控除を使えますか?
A. 住宅ローン控除は償還期間10年以上が要件です。残期間が10年未満の借り換えでは控除の対象になりません。また控除期間は居住年から数えるもので、借り換えで延長されることもありません。
Q. 預金は使ってしまっても大丈夫ですか?
A. 連動対象の預金を引き出すと、その分だけ金利のかかる残高が増えます。いつでも引き出せる流動性が強みではありますが、引き出すと利息軽減効果はその分小さくなります。
Q. 外貨預金で連動させるほうが得ですか?
A. 円普通預金はローン残高と同額までの部分に利息が付かないのに対し、外貨普通預金には利息が付きます。ただし外貨預金には為替変動リスクがあり、預金保険の対象外です。為替が円高に動けば円換算の元本を割り込むこともあるため、利息軽減の効果と為替リスクを分けて考えてください。
Q. 健康状態に不安がありますが借り換えできますか?
A. スターワン住宅ローンの団信は任意加入で、引受条件を緩和したワイド団信(特約金利 年0.204%)も用意されています。加入には保険会社の引受審査があり、すべての方が加入できるわけではありません。団信に加入しない場合は法定相続人1名を連帯保証人にする必要があります。
※金利・特約金利・手数料・申込条件は変更されることがあります。最新の内容は必ず各金融機関の公式サイト、および国税庁の公式情報でご確認ください。
住宅ローン借り換え.jpのおすすめ特集
借り換えにおすすめの住宅ローンを徹底比較
住宅ローンの金利動向予想記事


