フラット35からフラット35への借り換えは得?損益分岐と条件を解説

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が協力して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。返済額が最後まで確定しているのが最大の特徴で、利用者も非常に多い商品です。
その利用者にあまり知られていないのが、フラット35からフラット35への借り換えができること、そして今使っている金融機関にそのまま借り換えを申し込めること(新しく別の銀行と取引を始めなくてもよいこと)です。
ただし、2026年に入ってからの金利上昇局面では「フラット35→フラット35の借り換え」で得をする人は限られます。本ページでは、フラット35同士の借り換えの条件・落とし穴・損益分岐を、2026年7月時点の金利で具体的に確認します。
【重要】2026年のフラット35は「金利上昇局面」。借り換えの前提が変わっています
かつてフラット35の金利は右肩下がりで、「昔の高い金利のまま放置している人は借り換えれば必ず得」という時代がありました。しかし現在は前提が逆転しています。
2026年7月のフラット35(買取型)の最頻金利は、借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・団信ありで年3.140%(前月比−0.070%)、20年以下で年2.820%です。長期金利の上昇を受けて、2026年6月には現行制度(2017年10月)以降で初めて3%を超えました。
つまり、2010年代の低金利期(1%台)に借りた方が、いまフラット35に借り換えても金利は上がります。フラット35同士の借り換えを検討すべきなのは、次のようなケースに絞られます。
- 現在の適用金利が3%台後半以上で借りている(2000年代前半までに借り入れた等)
- 残りの返済期間を20年以下に設定できる(フラット35は20年以下のほうが金利が低い=年2.820%)
- フラット35(保証型)の借り換え専用商品(例:スーパーフラット借換)で、通常のフラット35より低い金利が使える
※フラット35の金利は毎月改定されます。最新の適用金利は必ず住宅金融支援機構および各取扱金融機関の公式サイトでご確認ください。
フラット35は当初、借り換えに対応していなかった
フラット35は当初、フラット35からの借り換えを受け付けていませんでしたが、2009年6月に制度が変わり、フラット35からフラット35への借り換えが可能になりました。住宅ローンは借りた後は家賃のように淡々と払い続けてしまう人も多く、いまだにフラット35同士の借り換えができること自体を知らない人が少なくありません。
フラット35からフラット35への借り換え条件
住宅金融支援機構が定める借換融資の主な条件は次のとおりです(2026年7月時点)。
- 住宅取得時に借り入れた住宅ローンの借入日(金銭消費貸借契約締結日)から借換融資の申込日まで1年以上経過していること
- 借換融資の申込日の前日までの1年間、正常に返済していること(返済の遅延がないこと)
- 申込本人が所有し、本人またはその親族が居住する住宅のための住宅ローンの借り換えであること
すでにフラット35を利用中であれば、住宅の技術基準などの要件はクリアしているはずです。
注意点として、借換融資では【フラット35】Sなどの金利引下げメニューは利用できません(新規借り入れ向けの制度のため)。また、借換融資には融資率9割以下の金利が適用されます。
団信への加入を希望する場合は、借り換えのタイミングで告知書の記入と引受可否の審査があります。健康上の理由で団信に加入できない場合でも、フラット35は団信が任意のため借り換え自体は可能です(団信に加入しない場合は借入金利が引き下げられます)。

フラット35からフラット35に借り換えるメリット
いま使っているフラット35から、民間銀行の変動金利や10年固定へ乗り換える選択肢も当然あります。ただし金利タイプを変えると、将来の金利変動リスクを背負い直すことになります。とくに2026年は変動金利が上昇局面(8月に短期プライムレートが引き上げられ、多くの銀行では秋以降の見直しで返済額に反映される見込み)にあり、「変動が安いから」だけで動くのは危険です。
その点、フラット35からフラット35への借り換えは「返済額が確定しているもの同士」の比較なので、判断がきわめてシンプルです。違いは金利と諸費用だけ。借り続けた場合と借り換えた場合の総返済額を並べれば、いくら得か(損か)が数字で確定します。
フラット35からフラット35への借り換えの落とし穴
フラット35は民間ローンのような保証料がない代わりに、融資事務手数料が必要です。ここに落とし穴が2つあります。
①事務手数料は返ってこない:民間ローンの保証料は借り換え(繰上完済)時に未経過分が返金されますが、フラット35の事務手数料に返金の仕組みはありません。借り換え時には、新たに諸費用を用意する必要があります。
②事務手数料は金融機関ごとに大きく違う:同じフラット35でも、事務手数料の設定は取扱金融機関によってまったく異なります。金利が横並びでも、手数料の差だけで数十万円の違いが出ます。
| 金融機関 | フラット35 借り換え時の融資事務手数料 | 残債2,500万円なら |
|---|---|---|
| 楽天銀行 | 借入額×0.99%(税込) | 247,500円(税込) |
| SBIアルヒ | 借入額×2.20%(税込・最低220,000円〔税込〕) | 550,000円(税込) |
| ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)(買取型) | 借入額×2.20%(税込・最低110,000円〔税込〕) | 550,000円(税込) |
この差は約30万円。金利が同じなら、事務手数料の安い金融機関を選ぶだけで借り換えメリットがそのまま増えます。ここに登記費用・印紙代なども加わるため、諸費用は総額でいくらかかるかを必ず見積もってください。
※各行の手数料・取り扱い条件は変更されることがあります。最新の内容は各金融機関の公式サイトでご確認ください。
フラット35からフラット35への借り換えシミュレーション
2026年7月の金利(フラット35借換:20年以下 年2.820%/21年以上 年3.140%)で、2つのケースを比べます(元利均等・ボーナス返済なし・団信ありの概算)。
ケースA:高い金利で借りている人 → 借り換えメリットあり
残債2,500万円/残期間20年/現在の金利 年3.500%の場合。

| 借り換えせず(年3.500%) | フラット35 借換・20年以下(年2.820%) | |
|---|---|---|
| 月々の返済額 | 約144,990円 | 約136,408円 |
| 総返済額(A) | 約3,480万円 | 約3,274万円 |
| 事務手数料(B) | なし | 約25万〜55万円(金融機関により差) |
| 登記費用など(C) | なし | 約20万円 |
| 差引きの効果 | 約126万〜161万円の削減 |
金利差0.680%で総返済額は約206万円減り、諸費用(45万〜80万円程度)を差し引いても100万円以上が手元に残る計算です。
ケースB:低い金利で借りている人 → 借り換えると損
残債3,000万円/残期間20年/現在の金利 年2.690%の場合、フラット35借換(20年以下・年2.820%)に乗り換えると総返済額は約3,882万円 → 約3,929万円と約46万円増えます。ここに事務手数料・登記費用まで加わるため、借り換えは明確に不利です。
いま2%台前半以下の固定金利で借りているなら、「動かない」ことが最善の選択になります。
返済期間20年以上ならフラット35(保証型)も比較する
フラット35の取り扱い実績16年連続1位のSBIアルヒ(旧ARUHI)公式サイトは、国内では取り扱いの少ないフラット35(保証型)の借り換え専用商品「スーパーフラット借換」を扱っています。2026年7月実行金利は年2.990%(金利引き下げ期間終了後)で、通常のフラット35借換(21年以上・年3.140%)より0.150%低い水準です。
ただし返済期間20年以下ならフラット35(借換)の年2.820%のほうが低くなります。フラット35同士の借り換えでは、残期間を20年以下にできるかどうかで最適な商品・金融機関が変わるため、必ず両方を試算してください。
フラット35同士の借り換えでよくある質問
Q. 今のフラット35を借りている金融機関に、そのまま借り換えを申し込めますか?
A. 申し込むこと自体は可能です。ただしフラット35の金利・事務手数料は取扱金融機関ごとに異なるため、同じ金融機関で続けるのが最も有利とは限りません。金利と事務手数料の両方を他社と比べてから決めましょう。
Q. 借り換えでも【フラット35】Sの金利引き下げは使えますか?
A. 使えません。【フラット35】Sをはじめとする金利引下げメニューは新規借り入れ向けの制度で、借換融資では利用できません。したがって、借り換え後の金利は「引き下げのない通常の金利」で比較してください。
Q. 旧制度で団信特約料を別に払っています。借り換えるとどうなりますか?
A. 2017年10月以降のフラット35は、団信の費用が借入金利に含まれる方式になっています。平成29年(2017年)9月30日以前に申し込み、機構団体信用生命保険特約制度を利用中の方が借り換えなどで脱退する場合、支払済み特約料のうち未経過分に相当する金額が返戻される場合があります(脱退時期などによっては返戻されないこともあります)。旧制度の方は、この返戻分も含めて損得を計算してください。
Q. 借り換えでフラット35の金利が上がるなら、変動金利にすべきですか?
A. 一概には言えません。2026年8月に短期プライムレートが引き上げられ、変動金利は秋以降に上昇が反映される見込みです。「今の変動金利の低さ」だけで固定を手放すと、上昇局面でリスクを取り直すことになります。返済期間が長く残っている方ほど、固定のまま据え置く判断も十分に合理的です。
Q. 借り換えの損益分岐はどう見ればいいですか?
A. 「金利差で減る利息」>「事務手数料+登記費用・印紙代」ならプラスです。目安として、金利差0.5%以上・残債1,000万円以上・残期間10年以上のいずれも満たす場合はメリットが出やすい一方、残期間が短いと定率の事務手数料が重くのしかかり元が取れません。
まとめ
フラット35からフラット35への借り換えは、返済額が確定した商品同士の比較なので損得が数字で見えるのが強みです。しかし2026年は金利上昇局面で、フラット35借換の金利は年2.820%(20年以下)/年3.140%(21年以上)。低金利期に借りた方は「借り換えない」のが正解になります。
一方で、3%台後半以上の金利で借り続けている方や、残期間を20年以下にできる方は、いまでも100万円単位の削減余地があります。金利だけでなく、返金されない事務手数料の差(0.99%〜2.20%)まで含めて総額で比較してください。
なお、固定にこだわらず当面の返済額を抑えたいのであれば、保証料0円・一部繰上返済手数料0円で一般団信の上乗せもないSBI新生銀行のような銀行系ローンも、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応する選択肢の一つとして比較する価値があります。
※最新の取り扱い状況・適用金利は必ず各金融機関および住宅金融支援機構の公式サイトをご確認ください。
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