全宅住宅ローンのフラット35の評判・審査・団信について
目次
全宅住宅ローン株式会社とは?
全宅住宅ローン株式会社は2004年に「全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)」が主体となって立ち上げたフラット35を取り扱う住宅ローン専門の金融機関です。
全宅住宅ローンの母体である全宅連は、北海道から九州の主要な都市に店舗があります。実は「全宅連は日本にある10万社以上あると言われている不動産事業者の約8割が加入しているような大規模な業界団体」です。
その為、住宅の売買に住宅連が関与することも多いですし、全宅連に加入している不動産会社から全宅住宅ローンを紹介されることも多くありますので、マイホームの購入を検討している人や、不動産会社に相談したことがある人であれば、全宅住宅ローンという名前を聞いたことがある人もいるかもしれません。
特に工務店やハウスメーカーに発注して、マイホームを新築(注文住宅)しようとするときに紹介されることが多いでしょう。今回は、そんな全宅住宅ローン株式会社が提供するフラット35の評判・審査基準・団信などについて特集したいと思います。
全宅住宅ローンのフラット35は、一言で言えば普通のフラット35です。金利や手数料が平均的な金融機関より抜けてオトクなわけでもなければ、逆に特別条件が悪いわけでもありません。
時期によっては事務手数料の割引キャンペーンを実施していることもありますが、ARUHIスーパーフラットのような独自性のある低金利のフラット35を提供しているわけでもありません。
これだけ規模が大きい業界団体を母体とする全宅住宅ローンですが、全宅住宅ローンの何倍もフラット35を貸し出している実績があるフラット35取り扱い最大手の金融機関がARUHIです。ARUHIでは独自のARUHIスーパーフラットを取り扱いしていて、高い人気を集めています。
2023年11月も全宅住宅ローンのフラット35より低い金利で借り入れ可能となっているわけですが、この商品は通常のフラット35よりも低い金利となっているのが特徴です。
全宅住宅ローンではこうした独自のフラットの取り扱いがないため、ARUHIスーパーフラットを選んだ方が金利が大幅に安くなる可能性がありますので、一度のホームページを確認するようにしてください。
このように全宅住宅ローンは、フラット35の手数料や金利のような商品性で勝負しているというより、母体の全宅連から紹介してもらえるという強い営業力で勝負している側面が強いと言えるでしょう。全宅住宅ローンのフラット35のメリットは不動産会社経由で比較的スムーズに手続きが進んでいくことです。
住宅ローンの手続きがとにかく面倒と思う人であれば、不動産会社から紹介された全宅住宅ローンのフラット35をそのまま利用していくことで良いかもしれません。
ただ、「手数料を少しでも安くしたい」とか「金利を少しでも安くしたい」という人は、全宅住宅ローンのフラット35を不動産会社から紹介されたからといってそのままフラット35を申し込んでしまわないように注意する必要があります。(不動産会社からの紹介を断るのが気まずくてそのまま借りてしまう人が多いと思いますが、気まずさは一瞬です。数十万円単位のお金を捨てるだけの価値はありませんので、しっかりと自分で探すことを
全宅住宅ローンのフラット35は非常に魅力的な水準の金利でフラット35を提供していますが、そもそもフラット35は大半の金融機関が最低水準で横並びです。
今、フラット35の申込先を選ぶときに重要なのは手数料とオプションサービスです。まず、全宅住宅ローンのフラット35の手数料は2.20%。4,000万円のフラット35を2.20%の手数料で申し込んだら80万円以上支払うことになります。
例えば、ARUHIのスーパーフラットやARUHIフラット35であれば金利や手数料がより有利に利用でき、4000万円の借り入れであれば数十万円単位で総支払額を削減できる可能性もあります。数十万円を無駄に払っても良いと思える人は別ですが、少し手続きを頑張るだけで数十万円も節約できる可能性があるわけですから、間違いなくフラット35は金利や手数料の低い金融機関に申し込むべきです。
なお、住宅建築・住宅購入の都合で不動産会社が紹介する住宅ローンを申し込む人が大半ですが、その住宅ローンを最終的に選ばなければならないわけではありません。また、その住宅ローンを選ばないからといって不動産会社の対応が悪くなることはありません。(そんなことで対応が悪くなる不動産会社とは付き合うべきではありませんし)
全宅住宅ローンと各社のフラット35を比較
早速ですが、全宅住宅ローンのフラット35の金利と手数料を主なフラット35取り扱い金融機関と比較してみましょう。(2023年11月時点)
事務手数料 (税込) |
フラット20 (借入期間:20年以内) |
フラット35 (借入期間:35年以内) |
|
全宅住宅ローン(Aタイプ) | 融資金額×2.20% | 1.480% | 1.960% |
全宅住宅ローン(Bタイプ) | 110,000円 | 1.680% | 2.160% |
アルヒ(店舗相談) | 融資金額×2.20% | 1.480% | 1.960% |
アルヒ(WEB申込・借換限定) | 融資金額×1.100% | 1.480% | 1.960% |
Aタイプの場合、金利水準はフラット35業界最低金利水準で、フラット35最大手のアルヒと同じ水準です。Bタイプは事務手数料を低く抑える代わりに金利が高くなるタイプです。
BタイプはAタイプと比べて金利が0.2%高くなるので、総合的には割高になってしまいます。初期費用を準備する費用がありますが基本的にはAタイプを選んだ方がよいでしょう。融資事務手数料を住宅ローンの一部として借りることができるので0.2%金利が抑えられる方を選んだ方が得策といえます。
なお、Aタイプの事務手数料は融資金額×2.20%(税込)ですが、アルヒの専用WEBページ申込で1.100%(税込)などと比較すると2倍かかります。4,000万円の借り入れだと40万円も違ってきます。また、ARUHIスーパーフラットシリーズのような低い金利の独自商品の用意は無いようです。
フラット35は住宅ローンの商品性や基本的な審査基準は変わりませんので、全宅住宅ローンのフラット35にこだわる必要はありません。不動産会社も住宅を販売することがメインで遠慮する必要は全くありませんので、しっかりと自分で探した手数料や金利が低いお得な金融機関に申し込むことをおすすめします。
全宅住宅ローンのフラット35の申し込み方法
全宅住宅ローンのフラット35は宅建協会所属の不動産会社などを経由して本人居住用住宅(購入・建築)・親族居住用住宅・セカンドハウスで利用する住宅ローンとして利用・申込みできます。左のマークが目印で店頭に貼ってあります。
全宅住宅ローンのフラット35の評判
基本的に全国にある宅地建物取引業協会に加入している不動産会社を経由して申し込むことになりますので、住宅購入と住宅ローンの窓口が一本化されてやり取りがカンタンと言うメリットがあります。
逆に不動産会社が住宅ローンの窓口も兼ねるので、全宅住宅ローンの担当者と直接やり取りすることは少なく、全宅住宅ローンの住宅ローンであることを意識せずに利用することになることが多いでしょう。
なお、不動産会社も住宅ローンを紹介することで収益があがるということもあり、提携している不動産会社であれば、積極的におすすめしてくるケースは多く、また、住宅購入の手続きを進める場合どこかの住宅ローンの仮審査に通過しておかなければならないことが多いので、そういった時に「とりあえず審査だけは必要なので」と審査手続きが進めていくケースも多くあります。
そのためか、全宅住宅ローンのフラット35は、「住宅ローンの審査がスムーズだった」「窓口が1つだけだったので楽だった」といった手続きに関する良い評判を目にします。一方で「手数料が安い」とか「金利が低い」という評判はほとんど目にしません。これは、全宅住宅ローンを利用した人は、住宅購入の一連の流れの中で住宅ローンを契約した人が多く、住宅ローンの金利や手数料を比較して選んだ人が選んでいないからかもしれません。
また、便利な付帯サービスやオプションサービスがほとんどないという点もデメリットの1つです。
全宅住宅ローンのホームページを見みるとわかりますが「借りた後のサービス」に関する情報がほとんどありません。「ご利用中のお客さま」というような利用している人向けの情報がないのです。貸したあとはしりません、と言うつもりではないと思いますが、アフターフォローや借り入れ後の相談がしやすい金融機関とは言いにくいですね。
不動産を売ってなんぼの業界を母体としているとこうなるのかな・・・という考えが頭をよぎってしまうのは否定できません。
全宅住宅ローンのフラット35の審査基準
全宅住宅ローンで取り扱うフラット35は「最終的な住宅ローン審査」は住宅金融支援機構により実施されます。
一方で、事前審査は全宅住宅ローンが行いますが、基本的には本審査に通過できるかがポイントです。フラット35自体は民間の住宅ローンよりも審査が通りやすいと言われています。それは全宅住宅ローンを経由しても他の300を超える金融機関を経由してもかわりません。
全宅住宅ローンのフラット35の事前審査と本審査
全宅住宅ローンで取り扱うフラット35は2段階で審査が行われます。まず、事前審査です。これは簡易的な審査でしかないのですぐに回答がありますが、事前審査に通っても本審査に落ちる可能性は十分にあります。
フラット35であればどの金融機関を経由しても審査結果は変わらないと思っておかなければなりませんが、できればフラット35以外の住宅ローンにも同時申込しておくと良いでしょう。
全宅住宅ローンのフラット35の団信
独自の団信を提供しているわけではありませんので、住宅金融支援機構が提供する「機構団信」に加入することになります。フラット35は団信加入が任意ではありますが、将来への備えを考えて団信に加入できる人であれば基本的に加入するようにしましょう。
機構団信は2017年10月にリニューアルして、「保険料を金利に含んで支払う」という民間住宅ローンに近い形になりました。このリニューアルにより団信の保険料を別途支払う必要がなくなり利用しやすくなったと共に、団信の保険料負担分、金利が高くなっています。
全宅住宅ローンのフラット35のつなぎ融資
全宅住宅ローンはつなぎ融資にも対応しています。2022年10月の全宅住宅ローンのつなぎ融資の金利は年2.900%、事務手数料は110,000円(税込)です。つなぎ融資について解説したコラムでも紹介していますが、主要フラット35提供金融機関のつなぎ融資の金利と比較した場合、手数料・金利ともに高くもなく、安くもないという水準です。
事務手数料(税込) | 金利 | |
全宅住宅ローン | 110,000円 | 年2.900% |
アルヒ(フラットつなぎAタイプ) | 110,000円 | 年3.475% |
住信SBIネット銀行(アプラスブリッジローン)※ | 110,000円 | 年2.675% |
SBI新生銀行(アプラスブリッジローン)※ | 110,000円 | 年2.675% |
みずほ銀行 | なし | 年3.675% |
※住信SBIネット銀行とSBI新生銀行の公式サイトにアプラスブリッジローンの掲載があります。両銀行経由でこの商品を申し込むことはできませんが、住宅ローンの申し込み後に、ブリッジローンの申込すれよいだけです。「ネット銀行の住宅ローンはつなぎ融資に対応していない」とか「注文住宅の場合フラット35のつなぎ融資が良い」と一人歩きしていますが、このような商品を利用することで注文住宅でも問題なくネット銀行の住宅ローンを利用できます。
全宅住宅ローンのフラット35の借り換え
フラット35からフラット35への借り換えは問題なく行えますので、全宅住宅ローンのフラット35を利用している人もフラット35への借り換えることができます。他社のフラット35から全宅住宅ローンのフラット35への借り換えももちろん可能です。全宅住宅ローンは借り換えの場合の事務手数料が半額に設定されていますので、フラット35の借り換え先としては候補になり得るでしょう。
まとめ
全宅住宅ローン株式会社は「全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)」が母体となっているという特徴がありますが、フラット35に関しては、普通の条件で提示している程度と考えておきましょう。
決して悪い条件を提示しているわけではありませんが、特筆すべきメリットも残念ながらありません。本当にお金を貸してくれるだけ、商品に色がないと言うと失礼な表現になってしまいますが、住宅ローンを利用している最中のサービスなどもありません。
全宅住宅ローンは手続き自体は楽です。ですので、手続きが面倒だと考える人は、不動産会社を介して契約をすすめていくことで良いでしょうし、つなぎ融資の金利やフラット35の手数料・金利をもっともお得な水準にしたいと考える人は、楽天銀行やアルヒのフラット35を利用すると良いでしょう。(同じフラット35なのでどこを経由しても審査基準はほとんど変わりません)
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