フラット35の制度改正について【2019年4月・2019年10月版】
この記事では2019年度のフラット35の制度改正について詳しく解説したいと思います。2019年のフラット35は4月と10月の2回に分けて改正されます。(4月分は改正済み)。
すでに実施された2019年4月の制度改正と、2019年10月に予定されている制度改正にわけて解説していきたいと思います。それではフラット35の制度改正の内容を確認していきましょう。
目次
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フラット35の制度改正(2019年4月改正)
借入対象費用の拡充
2019年4月以降にフラット35を契約する場合、以下のような住宅ローンに関わる諸費用をフラット35として借り入れ可能になりました。4月に追加されたのは、「住宅を建設する場合にかかる各種申請費用」と「マンションを購入する場合の入居時に支払うマンション修繕積立金・マンション管理費」です。
各種申請費用には浄化槽の設置や農地転用などの申請手続きにかかる費用が含まれています。また、マンション修繕積立金・管理費は入居時に支払うものだけです。入居後に支払う費用は含まれていません。詳しくは以下の「借入対象費用の拡充について」をクリックして確認してください。(住宅金融支援機構が用意したPDFが確認できます)
なお、今年度の拡充範囲は大きくありませんが、フラット35はこれまでに何度か借入対象費用の拡充を行ってきていますので、数年前のフラット35と比べるとかなり拡充されていますのでざっと確認しておくと良いでしょう。
事前確認手続きの省略が可能に
2019年4月の制度改正の2つ目は、手続きが少し簡単になったというものです。
フラット35という制度は、「優良な物件を日本国内に浸透させること」という目的を担った制度なので、一定の基準を満たす物件でなければ利用できません。これから建てられる物件や建築間もない物件であれば基本的に問題ないですし、注文住宅でもよほど変わった注文をしなければその基準を満たせるのですが、中古物件の場合話は別です。
特にフラット35という制度が誕生する前に建てられた物件などは、フラット35利用要件を満たさない中古物件が存在しています。それらの中古物件でフラット35を利用するための対策に、中古物件の購入とともにその物件をリフォームして要件を満たしたうえでフラット35に申し込むという方法があるのですが、色々なケースに対応できる制度にするために手続きが煩雑な面がありました。
中古物件のリフォームはフラット35の利用条件を満たすことだけに行われるとは限りません。今回の制度改正により「新築時にフラット35の検査を受けた実績のある物件」などは、事前確認手続きを省略できるので、今までよりも手続きが簡単になっています。無駄(効率が悪い)な手続きがスキップできるようになった、ということになります。
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フラット35の制度改正(2019年10月改正)
フラット35の地域活性化型に防災対策・地方移住支援が新設
フラット35には、一定の条件を満たすケースに金利が優遇されるという制度があります。「子育て支援型」や「地域活性型」といった名称の金利優遇制度です。今回の改正で拡充されるのは「地域活性型」の制度で、「地域活性型」の中に「防災対策」と「地方移住支援」の2つの条件が追加になります。
そもそもフラット35・地域活性型には以下のような金利優遇制度があります。
- UIJターン・・・他の地域から住宅金融支援機構と提携している地域に移住する(5年間・0.25%の金利優遇)
- コンパクトシティ・・・同じ自治体の中の居住誘導地域内に居住誘導地域外から住み替える(5年間・0.25%の金利優遇)
- 空き家対策・・・空き家バンクに登録されている物件を購入する(5年間・0.25%の金利優遇)
いずれも住宅金融機構と地方公共団体が提携していることが条件になります。
今回の制度改正で追加されるのは「防災対策」と「地方移住支援」の2つです。「防災対策」は比較的わかりやすくて、例えば「豪雪地帯で雪に強い住宅を購入したり建築する」、「豪雨による浸水被害がおこりやすい地域では浸水被害に強い住宅を購入したり建築する」といった際に金利を優遇する制度です。
もう1つの「地方移住支援」は、UIJターンの対象になるものの中から、条件を限定しつつ金利優遇を強化したような制度で「東京・埼玉・神奈川・千葉」から地方に移住するという条件を満たした場合に金利優遇期間・金利優遇幅が拡大されるといった制度です。
詳しくはこちらの資料に記載されている情報を参考にしてください。
融資率90%以上の金利が大幅に低下
フラット35はもともと住宅価格の90%までしか融資しないという制度からスタートしています。その後、住宅価格の100%まで融資できるように制度が変わったのですが、融資率90%未満と比べて0.44%も金利が高くなるという弱点があります。
この金利差が2019年10月から0.18%引き下げられて+0.26%になります。
0.44%の金利引き上げは影響範囲が大きすぎるので、フラット35取扱い金融機関ではフラット35パッケージローンと言う「自己資金の不足分」を補うための専用の商品を用意していますので、0.44%の上乗せ金利で借りている人はそれほど多くはありません。このの制度改正でフラット35パッケージローンを利用するのと同じぐらいの総返済額になるケースが増えそうです。
その他の制度改正
上記以外ではフラット50の借入金額の上限が6,000万円から8,000万円に引き上げられたり、フラット35を利用できる物件の上限が撤廃(これまでは1億円未満の物件だけが利用可能。ただし、融資上限金額は8,000万円のままです)される、などの制度改正も2019年10月に予定されています。
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