ネット銀行の住宅ローンのつなぎ融資対応状況と裏技
新たに購入した土地や保有している土地に家を建てるいわゆる”注文住宅”でマイホームを建てる場合、つなぎ融資の問題でネット銀行などの低金利の住宅ローンを利用できなかったりしますす。たしかに多くのネット銀行がつなぎ融資に対応していないのですが、最近は徐々にネット銀行の住宅ローンのつなぎ融資への対応が拡大しています。
この記事ではネット銀行の住宅ローンを注文住宅で利用したいと考えている人のために、ネット銀行の住宅ローンのつなぎ融資の対応状況やつなぎ融資について解説しています。
目次
つなぎ融資とは?
住宅ローンは、基本的に完成している住宅と土地を担保にしてお金を貸すローン商品なので、建物が完成していない状態、例えば、注文住宅で土地を先行して購入するケースや、家を建てるための工務店に支払う着手金・中間金の支払にあてることができません。(分割融資に対応している一部の住宅ローンを除く)
家を建てるには、土地が必要になるのはあたりまえです。また、住宅工務店としても1円もお金をもらえないのに家を建てる工事を始めるわけにもいきません。それらのお金を確保してスムーズに注文住宅を建築できるようにするのがつなぎ融資・つなぎローンです。
つなぎ融資は住宅が完成して住宅ローンの契約が無事完了したタイミングで住宅ローンで借りたお金をもとに一括で返済してその役割を終えることになります。
つなぎ融資に対応したおすすめの住宅ローン
2019年までは対応していなかったのですが、2019年12月にSBIマネープラザが「SBIマネープラザ住宅つなぎ融資」というつなぎ融資商品の取り扱いを開始したためです。使い方は簡単で、このつなぎ融資で注文住宅の建築費用をいったん賄って、最終的に住信SBIネット銀行のミスター住宅ローンREALを借り入れるだけです。
ミスター住宅ローンREALは金利水準・商品性もかなり優れていますので、つなぎ融資に対応する低金利住宅ローンを探している人の有力候補の住宅ローンと言えます。
SBIマネープラザでの相談はもちろん無料ですし、主要都市を中心に全国展開しています。SBIマネープラザの店舗が近くにある人は気軽に相談してみると良いでしょう。
ネット銀行ですので、低金利の住宅ローンを日本全国で利用できるのが大きなメリットといえます。
ネット銀行でつなぎ融資が可能な銀行は?
メガバンクや地方銀行の住宅ローンはつなぎ融資に対応していることが多いのですが、以下の通り、ネット銀行はつなぎ融資にあまり対応していません。
つなぎ融資対応状況 | |
auじぶん銀行の住宅ローン | なし |
新生銀行の住宅ローン | なし(ただしアプラスのつなぎ融資を活用可能) |
住信SBIネット銀行の住宅ローン | なし |
アルヒのフラット35 | 対応 |
ソニー銀行 | なし(ただしアプラスのつなぎ融資を活用可能) |
SBIマネープラザ | 対応 |
みずほ銀行 | 対応 |
三井住友銀行 | 対応(フラット35のみ) |
つなぎローンの金利・手数料を比較
つなぎローンに対応しているかを確認したら次に気を付けたいのがつなぎ融資の金利と手数料です。
手数料 | 金利 | |
アルヒのフラット35 | 110,000円(税込) | 年3.475% |
アプラスの住宅つなぎローン(ソニー銀行・新生銀行) | 110,000円(税込) | 年2.675% |
みずほ銀行 | 33,000円(税込) | 年3.675% |
三井住友銀行(フラット35のみ) | 33,000円(税込) | 年2.475% |
※2021年1月。当サイト調べ。
つなぎローンの金利と手数料が優れているのは三井住友銀行のフラット35ですが、三井住友銀行はフラット35そのものの条件があまりよくありません。
つなぎ融資の手数料と金利の両面でアプラスのつなぎ融資の条件がやや魅力的です。フラット35はつなぎ融資に対応できるケースが多く注文住宅で利用されるケースが多い住宅ローンですが、つなぎローンの金利や手数料は各社で異なり、ARUHIもそうですが全体的に金利がやや高めな印象です。
つなぎローンは住宅ローンの融資実行までの短期間しか利用しないローンなので、つなぎ融資の金利差はそれほど気にしなくて良いのですが、ソニー銀行や新生銀行で利用できるアプラス(新生銀行グループの信販会社)の住宅つなぎローンは思ったよりも良い条件になっていることがわかりました。
つなぎ融資に非対応のネット銀行の住宅ローンを利用する裏技
やることは裏技でもなくて「単なる住宅ローンの借り換え」なのですが、つなぎローンに対応していないネット銀行の住宅ローンを、注文住宅で建てたマイホームで利用する裏技のような考え方を紹介しておきたいと思います。
やることはシンプルで、まず、地方銀行やメガバンクなどのつなぎ融資や分割融資に対応する住宅ローンに申し込んで、土地の購入資金や着手金を手当てします。これにより工務店にお金を払うことができるので、住宅の建築は順調にすすむことになります。
住宅が完成するとつなぎ融資を利用している場合、その銀行の住宅ローンを使ってつなぎ融資を返済して、そこから住宅ローンを利用が開始されるのですが、ここで紹介する方法はそのタイミング、正確には住宅ローンの契約がスタートした直後にネット銀行などの低金利住宅ローンに借り換えるという方法です。
要は「住宅ローンの借り換え」をすぐに行うだけのはなしなのですが、もう少し詳しくこの裏技の注意点と流れを紹介しておきます。
- 最初に契約する住宅ローンは「金利」ではなく「諸費用」の安さに徹底的にこだわるようにしましょう。すぐに借り換えるので金利は気にする必要がありません。保証料も後払い(金利上乗せ方式)で問題ないですし、「金利が高い代わりに諸費用が割安」の住宅ローンを選ぶようにしましょう。
- 普段から取引があるメインバンクを当て馬のように利用するのはあまりおすすめしません。この方法は「何か悪いことをするわけではない」ですが、最初に借りた銀行からの印象は決して良いものではありませんので、普段から使うような銀行ではなく、普段はあまり利用していない金融機関を活用すると良いでしょう。
- 最初に契約する住宅ローンを提供する金融機関には特に断りを入れる必要はありません。通常の住宅ローンの借り換えと同じように「借り換え後の住宅ローンを提供する金融機関」に相談するようにしましょう。
- 希望する「借り換え後」の住宅ローンの審査が必ず通る保証はありませんので、借り換え先の住宅ローンとして2~3社に申し込みして確実に借り換えできるように準備するようにしましょう。また、最初の住宅ローン選びのタイミングで借り換え後の住宅ローンの審査に落ちる可能性も頭の中に入れておきましょう。
- ペアローンなど住宅ローンの諸費用が上乗せになるような借り方は控えるようにしましょう。
- 本命のネット銀行に事前に申し込んで審査に通るのかは確認しておきましょう。または相談しておくと良いでしょう。仮審査申込み後にコールセンターなどの人に相談して審査に通る可能性が高いことを確認しておければベストです。
- 事務手数料や登記費用などは2重にかかる点は理解しておきましょう。特に借り換え後の住宅ローンの契約にかかる手数料をできるだけ確保しておけると良いでしょう。
- 最初に契約する住宅ローンを完済するときに手数料がかかる場合があります。(全額返済手数料)
- 最初に契約する住宅ローンを提供する金融機関に与える印象は決して良くはありません。違法なことをしていたり、ルールを破っているわけではありませんので遠慮する必要もありません。また、わざわざ相談する必要もありませんが、深い取引があるようなメインバンクは避けておければ損はないと思います。(気にしすぎる必要もありませんが念のため)
手続きの流れ
- ハウスメーカーの紹介もしくは地元の銀行に注文住宅利用のためのつなぎ融資と住宅ローンの審査申し込みをする
- 審査通過後、必要金額・回数のつなぎ融資を受ける
- 住宅の引渡し以後のできるだけ早いタイミングでネット銀行に借り換えを行う
※住宅完成の2~3か月前には借り換えにむけて仮審査申込みを行うなど動き出しておくようにしましょう。
裏技のコスト感(諸費用)は?
この方法は住宅ローン審査や手続きを2回行うことになるので、諸費用や手間がかかるという点は認識しておく必要があります。特に住宅ローンの諸費用は2回分必要になるので注意が必要です。具体的な諸費用の試算してみましたので参考としてください。ここではトータル3000万円(土地1,000万円、建物2,000万円)を前提条件として試算してみたいと思います。
この費用を金利の安さで賄えることがこの裏技を使うべきか否かの判断基準になります。
1回目の住宅ローンに関わる諸費用
以下は地銀やメガバンクの住宅ローンの諸費用です。
繰り返しになりますが、保証料は金利上乗せ型としましょう。
種別 | 名称 | 金額(目安) | コメント |
---|---|---|---|
登記手続 | 司法書士報酬 | 8万円前後 | 司法書士により異なる。一般的には6万円~10万円程度。 |
税金 | 印紙税(建設請負契約および金銭消費貸借契約(ローン契約)) | 3万円 | 契約金額が1000万円以上5000万円未満の場合 |
抵当権設定登録免許税 | 3万円 | 一定の条件を満たす前提で0.1% | |
不動産取得税 | 0円~数十万円 | 計算式が複雑なため別途ハウスメーカーに確認してください。 | |
固定資産税 | 3万円~8万円程度 | ||
住宅ローン | 事務手数料 | 数万円 | |
団信保険料 | 無料~ | ||
保険(除く団信) | 火災保険 | 数十万円 | 前払いする場合、毎月の支払とすることも可能 |
地震保険 | 10万円~20万円 | 地域や補償内容によりことなる | |
ネット銀行への住宅ローン借り換えに関する諸費用
ネット銀行では団信や保証料が無料ですが、事務手数料は高めで、一般的なネット銀行では融資額の2.20%の諸費用が必要です。
ソニー銀行や新生銀行では事務手数料が大きく抑えられておりこうした住宅ローンを利用するのも方法の1つです。
なお、ネット銀行の住宅ローンに関する諸費用の比較については今、注目を集めるauじぶん銀行の住宅ローンの落とし穴とデメリットを徹底解説でも解説していますので参考にしてください。
また、登記にかかる司法書士のコスト、登記に関する税金の10万円強は重複コストとなります。
種別 | 名称 | 金額(目安) | コメント | 裏技利用で重複となる諸費用 |
---|---|---|---|---|
住宅ローン | 事務手数料 | 数万円~数十万円 | 住宅ローンにより異なる。数万円で済むものから数十万円まで。 | ○ |
保証料 | 無料 | ただし住宅ローンにより異なる | ||
団信保険料 | 無料 | ただし住宅ローンにより異なる | ||
登記手続 | 司法書士報酬 | 8万円前後 | 司法書士により異なる。一般的には6万円~10万円程度。 | ○ |
税金 | 印紙税(金銭消費貸借契約(ローン契約)) | 2万円 | 契約金額が1000万円以上5000万円未満の場合 | ○ |
抵当権抹消費用 | 1~2万円 | ○ | ||
抵当権設定登録免許税 | 3万円 | 一定の条件を満たし0.1% | ○ |
重複となるコスト合計金額
最終的に契約する借り換え後の住宅ローンにかかる諸費用はこの裏技を使っても使わなくてもかわりません。ただし、最初に借りる住宅ローンにかかる費用はこの方法を使うことで余分にかかる費用です。事務手数料・保証料・登記にかかる司法書士のコスト、登記に関する税金を考慮すると15万円程度がつなぎ融資を活用しつつネット銀行に借り換える裏技を利用した際のコストと考えることができます。
この追加費用は1回目の住宅ローンによって変わってきますが、15万円~20万円程度であれば、ネット銀行への借り換えで金利を下げて総返済額を減らす効果があれば、あっという間に取り返すことができると思います。
【参考】楽天銀行のつなぎ融資の金利推移
つなぎ融資の金利はほとんど変わらないのでいつ利用しても大差ありません。参考までに楽天銀行のつなぎ融資の金利推移を紹介しておきますが、一定の金利で提供され続けていることがわかります。
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