フラット35の団信は不要(任意)!団信に入らないで大丈夫?
目次
団信のメリットと団信に加入する意味は?
「団信」は団体信用生命保険のことで、住宅ローンを利用する人が加入する生命保険です。
住宅ローン契約者が「死亡・高度障害状態」になった時に住宅ローンの残高が保険金で支払われる仕組みになっているので、保険金が住宅ローンの返済ともに減っていくことになります。
なお、団信に加入しておくことで、保険金の支払い条件(死亡・高度障害など)を満たしたときに住宅ローンの残高が確実になくなくなるので、(家族が)マイホームを手放さずに済む可能性が非常に高くなるメリットがあり、金融機関にとっても保険金で住宅ローンの返済を確実に行ってもらえるというメリットがあります。
その為、民間金融機関の住宅ローンでは団信への加入が必須となっています。一方で、住宅金融支援機構が提供するフラット35は幅広い人にマイホームを購入する為のお金を融資することを目的としている側面があるため、団信に加入しなくても利用できるようになっています。
団信に加入することは、自分や家族にとっても大きなメリットがありますので、可能な限り加入しておくべきでしょう。また、今から数年前は生命保険を別途契約して、団信に加入しないという方法を選ぶ人もいましたが、今はその方法にはほとんどメリットが無くなっています。
特別な事情や考え方が無い限り、基本的に団信に加入することをおすすめしますが、この特集ページではフラット35の団信制度の解説しながら、団信に入らないでフラット35を利用することのメリット・デメリットを確認していきたいと思います。
また、最後に「団信」という生命保険が通常の生命保険と比べてお得なのかについても検証していますので参考としてください。
フラット35の団信の保障を実際に受けている人はどの程度いるのか?
フラット35の団信に平成27年度末時点で150万人が加入していますが、平成26年度のフラット35の団信の保険金支払い件数は9,508件になっており、フラット35の団信に加入している方の160人に1人が保険金を受け取ったこととなります。
意外に多い割合ですので、年0.2%の保険料とのバランスをしっかり考えた良さそうです。
フラット35の新機構団体信用生命保険制度について
フラット35の団信は2017年10月に制度改定で大幅にルールが変わりました。 (2017年10月に行われたフラット35の団信は制度改定に関する特集記事で詳しく解説しています)
それまでのフラット35の制度では、フラット35の元金・利息の返済とは別に団信の保険料を毎年支払う必要がありました。現在の制度は、毎月のフラット35の返済の中に含んで保険金が支払われる仕組みです。
このように保険金の支払い方法は変わりましたが、フラット35の場合、団信加入は引き続き任意になっていて、団信に加入しない場合は年0.2%低い金利でフラット35を利用できるという制度になっています。
この0.2%の金利が団信の保険料ということになります。住宅ローンの金利が0.2%の違うことで総返済額は違ってくるわけですが、その差額が団信の保険料と言えます。
団信に加入することの経済的な負担金額の目安を把握しておくことは大切なことなので、次にこの0.2%の金利差が住宅ローンの返済額に与える影響(差額)を確認しておきましょう。
フラット35団信加入有無の返済額の違い
ここではフラット35で3,000万円を35年間で借り入れた場合の毎月の返済額・総返済額をシミュレーションしています。(フラット35の金利は2021年4月のアルヒなどが提示している最低水準の金利を利用)
団信加入有り フラット35 固定金利 年1.24% |
団信加入無し フラット35 固定金利 年1.04% |
|
---|---|---|
お借入金額 | 3,000万円 | 3,000万円 |
お借入期間 | 35年 | 35年 |
ご返済方法 | 元利均等返済 | 元利均等返済 |
総返済額 (利息) |
3,684万円 |
3,565万円 |
毎月の返済額 | 約8.8万円 | 約8.5万円 |
この条件で借り入れた場合、団信に加入しない場合、総返済額で約120万円、毎月の返済額が約3,000円少なくなることがわかります。1年間で約36,000円の保険料が団信の保険料ということですね。
団信は通常の生命保険と比べて基本的にはオトクな条件ですが、この負担を必要経費と考えられるかがフラット35で団信に入るか入らないかを決める最初の分岐点になります。
「この程度であれば加入しておくべきだ」と思えれば団信に加入すれば良いでしょう。逆に、この費用は節約すべきと考える人は団信に加入せずにフラット35を申し込むと言う選択肢が浮上してきます。
フラット35の団信とおすすめ金融機関
フラット35は団体信用生命保険(団信)に入らないで借り入れできる住宅ローンです(民間金融機関の場合団信への加入は基本的に必須です)。
フラット35は300社を超える金融機関から申し込むことができますが、どの金融機関にフラット35を申し込んだ場合でも、団信に入らないで利用することができるので、団信の加入についてはあまり考えすぎずに、純粋に条件が良い金融機関から申し込むことが重要です。
おすすめフラット35取扱い金融機関
団信に加入できない場合
過去に大きな病気を患ったことがあったり、現在も治療中の病気があるとそもそも団信に入れないことがあります。
民間の住宅ローンでは団信に加入できないと基本的に住宅ローンを利用できませんが、これまでの説明の通りフラット35であれば団信に加入しなくても利用できます。フラット35は過去・現在に闘病中の人でもマイホームを購入できるように支援する目的も備えているのがその理由です。
ただし、団信に加入しないで住宅ローンを利用することには一定のリスクがあるので、家族全体でそのリスクを共有しておくようにしましょう。
購入した家を家族などに残す必要がないのであれば問題ありませんが、家を残したい家族がいる場合、団信に加入しないことをしっかりと説明しておくことが重要です。団信に加入していない場合、家族がマイホームを相続したいと思っても、残りの住宅ローンの返済義務もセットで相続しなければなりません。相続を放棄するとマイホームは家族のものではなくなってしまいます。
このことを家族が理解していることが重要です。
なお、事業を営んでいて個人保証の事業用の融資が高額の場合だと、事業の状況によっては最初からマイホームを相続できるような状況ではないこともあります。そういったケースは(最初からマイホームに住むのを諦める)という判断ができる場合もあるでしょうし、独身でマンション購入する場合など家族に家を残す必要がないケースは団信に加入しないという判断は十分ありえます。
マイホームを残したい家族もいて、団信に加入したくても健康状態の問題で加入できない人は、契約前に家族としっかりと相談し、家族の協力を得ながら繰上返済をしっかりと進めて少しでも早く元本を減らすことを心がけるようにしましょう。
フラット35の団信に入らない・不要と判断できるのは?
団信とは、残された家族が住宅ローンの返済せずにマイホームを住み続けられるようにするための生命保険です。
先ほども触れましたが、団信に入らない・不要と判断しやすいのは「独身・単身」でマイホームを購入してフラット35を利用するケースです。自分一人が住むための家をフラット35を利用して購入していて、もしあなたが死亡したあとにその家に住みたいと思う人がいないようなら、団信に加入する必要性は少ないと言えるでしょう。
なお、団信では死亡に至らずとも、寝たきりなどの高度障害を負った際の保障も含まれている点も考慮したいところですね。
また、「あなたに万が一の状態になっても住宅ローンを確実に返済できて、家族が生活できるだけの資金的な余裕がある場合」や「すでに十分な金額の生命保険に加入している場合」も団信に入る必要がないと判断できる可能性が高まります。例えば、すでに十分な金額の生命保険に加入しているケースです。
また、団信は生命保険でなので、2重・3重で生命保険に加入している過剰保険の状況になってしまうこともあります。その場合は団信に入らないという判断を合理的に行えることがあるわけです。逆に他の生命保険を解約するという選択肢も浮上してきます。
一般的な生命保険とフラット35団信の保険料の比較
最後に一般的な生命保険と団信の保険料を比較していますので参考としてください。結論、これから加入するのであれば、一般的な生命保険に加入するよりも団信に入っていた方がかなりオトクということがわかると思います。
30歳の方と40歳の方で民間生命保険(ライフネット生命)とフラット35団信の保険料を比較してきます。
30歳の場合
※住宅ローン65歳完済で残高3000万円、生命保険保障が3000万円と仮定
フラット35団信 | ライフネット生命 | |
月額 | 2,870円※ | 8,156円 |
年間 | 34,440円 | 97,896円 |
総計 | 1,205,400円 | 3,426,360円 |
差額 | -2,220,960円 |
団信のほうが圧倒的に安い計算ですね。これは生命保険では3000万円の保障が65歳(住宅ローン完済タイミング)まで続くのに対し、団信はあくまでも住宅ローン残高が保険金になるので、住宅ローンを返済することで保険金も毎年少しずつ減っていくためです。
(もし、64歳で死亡した場合、住宅ローンの残高は100万円ぐらいになっていて、それが0円になるだけですが、生命保険の場合、3000万円の保険金を受け取れることになる。)
※フラット35の団信の保険料は、2017年11月の楽天銀行フラット35の金利年1.45%から年0.2%を引き下げた総返済額の差額で計算しています。
40歳の場合
※住宅ローン65歳完済で残高2000万円、生命保険保障が2000万円と仮定
フラット35団信 | ライフネット生命 | |
月額 | 1,847円※ | 8,280円 |
年間 | 22,164円 | 99,360円 |
総計 | 554,100円 | 2,484,000円 |
差額 | -1,929,900円 |
年齢を40歳スタートにしても同じ結果ですね。
(参考)団信で保障されない病気への備えとは
団信はあくまでも生命保険なので、病気やケガなどで働けない状態に対する備えにはなりません。例えば病気になって入院したり、以前であれば回復が難しいようなケガからも復帰できるようになっています。
医療と長寿化により、住宅ローンの返済中に死亡するリスクは年々低下していると言えますが、病気になって入院したり、働けなくなるリスクは高まっています。実際、国立がん研究センターが発表しているがん生存率も年々あがっています。団信に加入しないでフラット35を借り入れる判断は十分にあり得ると思いますが、その場合でも医療保険や共済などの病気に対する備えの重要性が増していることは頭の片隅においておくようにしましょう。
と言うことで最後に疾病保障付きの住宅ローンを一覧で紹介して今回のコラムを終えたいと思います。
金融機関 | 保障内容 | |
---|---|---|
ガンと診断されただけで住宅ローン残高が半分になる疾病保障と全疾病(すべての病気や怪我)が無料付帯。※1 | 詳しくはこちら | |
ソニー銀行 | ガンと診断されただけで住宅ローン残高が半分になる疾病保障が無料付帯。 | 詳しくはこちら |
要介護3と認定されると住宅ローン残高がゼロに | 詳しくはこちら | |
ガン保障や8疾病保障を取り扱い(有料) | 詳しくはこちら | |
WEB申込コース | 全疾病(すべての病気や怪我)の保障が無料付帯、50歳以下は3大疾病保障が無料 | 詳しくはこちら |
三菱UFJ銀行 | 7疾病保障を取り扱い(年0.3%の金利上乗せが必要) | |
みずほ銀行 | 8疾病保障を取り扱い(有料) |
※1 満50歳までの方が加入可能
この記事が皆さまの参考になれば幸いです。
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