北海道沖巨大地震・南海トラフ地震に備える住宅ローンとは!?
目次
南海トラフ地震とは?
南海トラフ地震は、静岡県から宮崎県までの太平洋沿岸を震源として近い将来発生すると予想されている大規模地震です。南海トラフとは「フィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する地域」のことを言い、そこを震源として震度7以上の地震が発生すると言われています。
近い将来発生すると言われている根拠は、南海トラフを震源として過去に何度も繰り返し発生している実績があるためです。プレート境界では互いのプレートが押し合うことで、日々パワーを蓄積していっていることになりますので、今の科学技術でも南海トラフの中のどこで発生するのか、いつ発生するのかはわかりませんが、いつの日か必ず地震という形でそのパワーを開放することになります。
ちなみに、前回の南海トラフを震源とした昭和東南海地震(1944年(昭和19年)12月7日・紀伊半島東部の熊野灘を震源・マグニチュード7.9・最大震度6)、昭和南海地震(1946年(昭和21年)12月21日・和歌山県南部の潮岬南方沖を震源・マグニチュード8.0・最大震度6)から70年以上経過しています。
以下は南海トラフを震源とした地震発生の歴史です。90年~150年ごとに繰り返して発生していることがわかります。この歴史的背景から、近い将来に次の地震が発生する可能性が高いと警鐘が鳴らされているわけです。
南海トラフを震源とした地震の歴史
発生した年 |
地震の名称 |
---|---|
1361年 |
正平 東海地震 正平 南海地震 |
↓ 137年 | |
1498年 | 明応地震 |
↓ 107年 | |
1605年 | 慶長地震 |
↓ 102年 | |
1707年 | 宝永地震 |
↓ 147年 | |
1854年 |
安政東海地震 安政南海地震 |
↓ 90年 | |
1944年 1946年 |
昭和東南海地震 昭和南海地震 |
↓ 70年以上経過!! | |
???年 | ??? |
南海トラフを震源とした地震の想定震度の分布(地域)
北海道沖巨大地震とは?
2018年9月6日に「北海道胆振東部地震」と名付けられた最大震度7の地震が発生し、停電被害を含めると北海道全域に大きな被害をもたらしました。
実は北海道は南海トラフ地震と同じように巨大地震発生の危険性が伝えられている地域です。問題は、以前から伝えられている北海道における地震は「北海道沖巨大地震」と呼ばれていて、2018年9月に発生した地震の震源・原因ではありません。
従って、北海道エリアは今もなお北海道沖巨大地震が発生する地震警戒地域のまま、ということになります。
以前から発生が懸念されていた地震は北海道の東側の千島海溝を震源とした巨大地震です。この地震は南海トラフ地域よりも地震発生回数が少ないとされていて、約400年に1回の頻度で発生しているといわれています。そして、前回の地震から400年以上経過しているということで、「いつ超巨大地震・巨大津波が来てもおかしくない」と言われている状況です。
ちなみに、北海道胆振東部地震はマグニチュード6.7でしたが、予想されている北海道沖地震はマグニチュード8.8になるとも言われています。地震エネルギーの単位であるマグニチュードは、”1″増えると地震エネルギーが300倍以上になるので、北海道胆振東部地震の9万倍(300×300)以上の地震エネルギーを持つ地震が発生する可能性があるわけです。
※直下型地震(内陸地型地震)と海溝型地震では震源からの距離なども違いがありますので、地震エネルギーの大きさだけで被害規模を比較することはできません。
北海道沖地震・南海トラフ地震に備える住宅ローンとは?
これに似たテーマを解説した自然災害に備える住宅ローンは必要かをテーマとして考えるコラムでも紹介していますが、東日本大震災で住宅ローン業界の中で1つの動きがありました。
三井住友銀行やSBI新生銀行のように自然災害被災時に住宅ローンの返済を免除する特約を付帯させることができる住宅ローンが次々と登場したことです。具体的には、メガバンクでは三井住友銀行、地方銀行では常陽銀行・つくば銀行・りそな銀行、ネット銀行系ではSBI新生銀行などが自然災害に被災した際に備える住宅ローンの取扱いを開始しています。
住宅ローンの付帯サービスだけでは地震に備えているとは言えない
残念ながら、地震被害を含む自然災害に備える特約が付帯する住宅ローンを利用しているからと言って南海トラフ地震に備えているとは言えません。
なぜなら、住宅ローンに付帯している特約はあくまでも「住宅ローンの返済を一定期間免除する」といった内容なので、マイホーム損壊時の被害額には到底及ばないためです。当然、何も無いよりは良いのですが、備えとしては不十分です。
基本的に、南海トラフ地震のような大地震によるマイホーム損壊に備えるためには、保険への加入が必要になってきます。
保険を活用して地震に備える時に特に注意してほしい点は2つです。1つは、火災保険単体で加入しても地震は対象外となるため、地震保険を追加で契約しなければならないことです。2つ目は、今の日本の地震保険の保険金(被災時に受け取れる保険金の上限)は火災保険の半分になってしまうという点です。
つまり、火災保険でマイホームの価格100%相当を保険金の上限として加入した場合、地震保険の保険金はマイホームの価格の50%の保険金しか受け取れないので、地震、それも南海トラフ地震のように大規模な地震に対する備えは地震保険だけでは手薄になってしまうのです。
そういう観点で考えると、自然災害に備える特約が付帯した住宅ローンを利用して、住宅ローンの返済(2年程度)を免除してもらえる特約を地震保険+αの備えとすることは有意義です。
結論:地震被害に備えるためには”地震保険”に加入することが最優先。地震保険もマイホームの価格の50%までしか保険金を受け取れないので、そのうえで、自然災害で被災した時に住宅ローンの返済が免除される住宅ローンを利用することで、さらに地震(によるマイホームの損壊)への備えが充実する。
ここで自然災害に備える特約を付帯できる住宅ローンをいくつか紹介します。
地震で万が一被災した時に活躍する住宅ローン
銀行名 | 引受保険会社 | 費用負担 | 補足 |
---|---|---|---|
安心パックS |
スイス・リー・インターナショナル・エスイー | 55,000円(税込) | この特約の有効期間は約10年間 |
三井住友銀行 自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン |
スイス・リー・インターナショナル・エスイー | 年0.1%を金利に上乗せ | (2014年2月から取り扱い開始) |
常陽銀行 自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン |
東京海上日動火災保険 | 年0.05%を金利に上乗せ | (2016年9月から取り扱い開始) |
りそな銀行 自然災害サポートオプション |
スイス・リー・インターナショナル・エスイー | 年0.1%を金利に上乗せ | (2019年10月から取り扱い開始) |
※3,000万円の住宅ローンを30年間の返済期間で借り入れた場合、三井住友銀行や関西アーバン銀行のように年0.1%を金利に上乗せした場合、合計の費用負担は50万円弱になってしまいます。常陽銀行の場合はその半分なので25万円弱です。ただし、SBI新生銀行の場合55,000円(税込)の手数料を最初に支払うだけで10年間の特約を付帯できる気軽さが大きなメリットです。
まとめ
日本に住んでいる以上、どの地域でも地震被害にあう可能性があります。それに対する備えとして地震保険が用意されていますが、巨大地震が発生すると民間企業の保険会社が払える保険金では済まないため、地震保険は「保険会社」だけでなく、国が「保険会社」を再保険する形式、つまり、地震保険加入者に支払われる保険金は国のお金から支出される仕組みになっています。
保険会社が自分たちで提供できないのは「保険商品として成り立たないから」で、保険商品として成り立つ保険は「トータルでは保険会社に利益が残る保険」です。つまり、保険に加入する立場から考えると地震保険は極めてお得な(大きなリスクに少額の保険料で備えられる)保険商品です。
よく「地震保険に加入していても、いざ巨大地震が起こると保険金がちゃんと受け取れないから意味がない」などという言葉に惑わされて地震保険への加入を見送っている人がいますが、それは大きな間違いです。確かに国が用意している予算は「首都圏で直下型の巨大な地震が発生した時の想定被害額」よりも小さな額ですが、予算が不足した場合は追加することも視野に入れることになっています。
北海道胆振東部地震では、北海道の地域金融機関が「全壊した家の残っていた住宅ローンと新しく家を購入するための費用を合算して40年返済まで許容する住宅ローン」を提供するなど、被災者をサポートする取り組みを行っていますが、地震被害から身を守ることができるのはやはり自分自身です。
当サイトでは、家計的にギリギリで備えられる状態ではない場合を除き、地震保険・自然災害に備える住宅ローンの利用はもっと拡大していくべきと考えています。
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