アメリカの債務上限問題と日本経済・住宅ローン金利への影響は?
2018年1月19日(アメリカ東海岸時間)に米国連邦予算のつなぎ予算が執行し、4年ぶりの政府機関の一部閉鎖に追い込まれました。2017年1月20日にアメリカ大統領に就任したトランプ氏には皮肉な結果となりました。1月20日、1月21日は週末となるため政府機関に大きな混乱はないと思われ、この週末にアメリカ上院議院において新たなつなぎ予算が採択できるかに注目が集まります。アメリカ政府機関の一部閉鎖は過去にも何度も発生した現象であり、大きな問題にならないという見方もありますが、週明け最も早く主要国で証券取引が開始される東京市場で大きな動きがないか注目されます。
アメリカ債務上限問題とは?
アメリカの連邦法ではアメリカ政府が発行できる米国債の総額に上限を定めており、この設定を議会に委ねています。この上限は毎年のように引き上げられてきましたが、2008年のリーマンショックに対応するための財政支出でアメリカの借金が急増し、共和党と民主党の対立要因となっています。債務上限額に達する前に連邦議会がこの上限を引き上げない限り、アメリカ政府は新たな国債の発行ができなくなり、アメリカ国債の償還ができなくなりデフォルトが起きると言うのがこの問題です。アメリカは世界経済・金融市場の中心であり、アメリカが借金を返せないことになれば大きな混乱が発生することとなります。
アメリカの債務上限問題の経緯
アメリカの債務上限問題はこの数年にわたり何度も問題となっている課題であり 2011年1月に表面化した問題です。この問題の根本的には大きな政府を目指し財政出動に積極的なアメリカの民主党と小さな政府を目指し緊縮財政寄りな思考である共和党の哲学的な争いが根本にあります。
直近の政府機関が閉鎖としては2013年には債務上限問題をめぐり当時の民主党オバマ政権と共和党が激しく対立し、予算不足で一部の政府機関が閉鎖され、税還付の遅延により米国消費が下振れするなど実体経済にも影響を及ぼしました。 2013年の債務上限問題では格付け会社のスタンダード&プアーズが米国債の格付けを最上位から引き下げ、世界の金融市場に大きな混乱をきたしました。
トランプ政権下での債務上限問題の動き
債務上限問題に関し、アメリカの財務省は2017年9月29日までに債務上限を引き上げることを要望していました、現在のアメリカの債務は19兆8000億ドルに達しており、既に今春に上限に達しており、財務省は予備財源でしのいでいる状態です。この一時しのぎにも限界があり、10月中旬までに債務引き上げに関する法律が可決されればデフォルト状態になるとされています。
過去何度ともなく債務上限問題は一時しのぎではありますが解決をしています。しかしここでリスク要因としてでてきているのがアメリカのトランプ大統領です。トランプ大統領は2017年8月22日に政府機関の閉鎖を防ぐための債務上限問題よりもメキシコとの国境に壁建設をすること優先すると発言し、債務上限問題に関し同じ共和党の幹部を批判するなど大きな混乱を招いていました。
2017年9月にも債務上限に達する問題については2017年9月6日日にトランプ大統領と野党である民主党が債務上限を本年12月半ばまで凍結することで合意していました。この際はアメリカのテキサス州を襲ったハリケーン「ハービー」の復旧予算を確保するために民主党と大統領が合意をしやすい環境があったことが背景にあるようです。この際の合意は3ヶ月間の一時的な猶予処置であり12月に本件は再度審議する必要があり、継続審議を行っていましたが、今回合意に至らずという流れになっています。
債務上限問題の行方について
過去、債務上限問題が浮上した際も暫定予算や債務上限の一時的な撤廃で、その場しのぎでこの問題を乗り越えてきたのがアメリカ政治です。
今回も同様の対応でこの問題をクリアしていくとみてよいと思われます。しかし何をするか分からないトランプ大統領の言動により想定外の結果となる可能性もあり注視が必要と言えるでしょう。
日本経済や住宅ローン金利への影響について
2011年および2013年に発生した債務上限問題の際には世界の金融市場が大きく動揺し、世界の株価が急落しました。今回も債務上限問題だデッドラインと想定される期限までに解決しないと同様の動きが発生する可能性が強いと思われます。こうした場合には円高、株安、債券高(金利安)が発生すると考えて良いでしょう。その結果住宅ローン金利には引き下げ圧力がかかることとありますが、世界経済にとってはマイナスの影響となるため皆さんの勤務先企業の業績にはマイナスの影響となる事は間違いないでしょう。
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