ネット銀行の住宅ローンには保証料が存在しないのはなぜ?
日本にインターネット銀行が誕生してから約20年経ち、インターネットから住宅ローンを申し込むのが当たり前の時代になりました。住宅ローンを取り扱うネット銀行もどんどん増えていて、楽天銀行、auじぶん銀行、ソニー銀行などたくさんのネット銀行が住宅ローンを扱っています。
ネット銀行の住宅ローンの特徴は、何と言っても「低金利」で「無料の疾病保障がついていることが多い」のですが、メガバンクや地銀の住宅ローンとネット銀行の住宅ローンは「保証料」がかからないと言う違いがあります。
この記事ではネット銀行の住宅ローンには保証料が存在しない理由について、保証料の仕組みにも触れながら解説したいと思います。
なお、保証料の仕組みについて詳しくはこちらの住宅ローンの保証料の解説記事も参考にしてください。
目次
ネット銀行の住宅ローンが保証料がかからない理由は?
住宅ローンの保証とは、銀行から住宅ローンを借りる私たちが銀行に住宅ローンの返済ができなくなった時に、保証会社が私たちの代わりに銀行に対して住宅ローンを返済する仕組みのことです。
銀行としては貸し倒れリスクを保証会社にもってもらえますし、返済してもらえなくなった住宅ローンの回収業務も保証会社で行うことになるので業務的にもメリットがあります。
では、私たち住宅ローンの利用者は保証会社による保証で何かメリットがあるのか、というと特にメリットはありません。返済先が銀行から保証会社に変わるだけで返済義務がなくなったり、返済金額が減ったりすることはありません。それにもかかわらず、その保証してもらうための保証料は、原則として住宅ローンの利用者が負担する仕組みになっています。
以下はSBI新生銀行のホームページから引用させていただいた保証料の仕組みに関するイメージ図です。
※SBI新生銀行の住宅ローンにはは保証料がかかりません。
ちなみに、保証会社は銀行本体の貸し倒れリスクを保証会社に移して銀行からリスクを切り離すことを目的にして、昭和の時代に誕生した古い仕組みです。銀行本体で一定の年齢まで働いた人の天下り先としての受け皿になっているような側面もあると言われています。
自分たちの将来の雇用が維持されやすくなる仕組みだったりするので、なかなか改善されることなく何年も経っていたのですが、そのようなしがらみなく誕生したネット銀行が、最初から保証会社を利用しない住宅ローンを開発しました。そして、「保証料が無料」をメリットに大手銀行から住宅ローンの利用者を奪ってきた、というわけです。
保証会社に天下った人たちは銀行本体で現役でビジネスを行っている人が、若いころからお世話になった元上司が働いていることが多いと言われています。そんな会社の存在意義を無くす動きは大組織ではなかなか行えないということなのでしょう。もちろん、自分たちが年齢を重ねた時に天下り先を減らすことにも繋がりますので、改革の声をあげる人はほとんどいないのかもしれません。
銀行本体からリスクを切り離す行為の必要性を否定するわけではありませんし、これだけが理由とは言いませんが、保証会社・保証料という仕組みは古い体質の銀行の象徴の1つで、少なくとも利用者目線で作られた仕組みではないと思います。
ネット銀行の事務手数料とは?
ただ、保証料無料のネット銀行の住宅ローンが手放しで優れているかというと決してそうではありません。
ネット銀行の住宅ローンの多くは、保証料と変わらないぐらいの手数料がかかります。ネット銀行は保証料がかからない代わりに手数料を多くとっているわけです。保証料の仕組みも納得いきませんが、保証料の代わりに保証料よりも多額の手数料がかかるのであれば保証料無料の意味がありません。
実は、ネット銀行で初めて住宅ローンの取扱いを開始したソニー銀行は事務手数料が一律44,000円で保証料が無料でした。また、同じ時期に人気を集めていたSBI新生銀行の住宅ローンも一律55,000円の事務手数料で保証料も無料でした。
この時点ではネット銀行の住宅ローンの保証料無料のメリットは非常に大きかったわけです。
その後、登場したのがイオン銀行の住宅ローン、住信SBIネット銀行の住宅ローン 、auじぶん銀行の住宅ローンなどです。これらの銀行は「低金利」を武器にしてソニー銀行やSBI新生銀行の住宅ローンに挑みました。低金利の住宅ローンを実現する為に、事務手数料を高めにして採算を合わせるようにしたわけです。
結局、「保証料」が「事務手数料」という名前に変わり、ほとんど変わらないお金を銀行に払うようになったわけですが、「保証会社」という会社とその会社での雇用を維持することのコストは大きいので、保証会社を使っていないネット銀行の方が圧倒的な低金利を実現して人気を集めているわけですね。
手数料や保証料は借り入れ後に払うこともできる
これまでの説明してきたとおり、住宅ローンを利用するためには数十万円~数百万円単位の保証料や事務手数料がかかります。
2,000万円の借り換えならざっくり40万円以上のお金を用意する必要があるわけですが、実はそれらの諸費用も住宅ローンに組み込んで借り換えることができます。
住宅ローン契約には以下のような諸費用が必要となりますが、基本的には住宅ローンの残高に上乗せして借り換えることができる住宅ローンが大半を占めています。
種別 | 名称 | 金額(目安) | コメント |
---|---|---|---|
住宅売買契約 | 不動産会社への仲介手数料 | 10万円~100万円以上 | 不動産会社により大幅に異なります。 |
登記手続 | 司法書士報酬 | 8万円前後 | 司法書士により異なる。一般的には6万円~10万円程度。 |
税金 | 印紙税 | 2万円 | 契約金額が1,000万円以上5,000万円未満の場合。 |
抵当権設定登録免許税 | 抵当権設定額の0.1%~0.4% | 一定の条件を満たすことで税率が0.1%に。 | |
不動産取得税 | 0円~数十万円 | 計算式が複雑なため別途不動産会社に確認してください。 | |
固定資産税 | 3万円~8万円程度 | 売主との按分になるなど、条件により異なります。 | |
住宅ローン | 事務手数料 | 数万円~数十万円 | 住宅ローンにより異なる。数万円で済むものから100万円を超えるケースも。 |
保証料 | 無料~数十万円 | 住宅ローンにより異なる。 | |
団信保険料 | 無料~ | 2017年10月からフラット35も団信保険料が金利に含まれるようになっています。 | |
保険(除く団信) | 火災保険 | 数十万円 | 前払いする場合、毎月の支払とすることも可能。 |
地震保険 | 10万円~20万円 | 地域や補償内容により異なります。 | |
なお、最初から手数料・保証料が安く設定されているソニー銀行、SBI新生銀行の住宅ローン、また 楽天銀行のフラット35であれば初期費用を少なくできますので、借入金額を増やして借り換える必要もなくなるので借り換え先に選ばれやすい傾向があります。
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