社長・経営者・会社役員の住宅ローン審査対策|借り換えで押さえる4つの要点

社長・経営者・会社役員は、社会的地位があり収入も多いので、一般的なサラリーマンや公務員よりも住宅ローンの審査を楽々クリアしそうな印象があります。ところが実際は逆で、審査では厳しく見られる立場です。
このコラムでは、住宅ローンで悩むことが多い社長・経営者・会社役員の審査対策を、新規借入だけでなく「借り換え」の視点も含めて解説します。
目次
サラリーマンより会社役員の審査が厳しい理由
社長・役員・経営者と聞くと、一般的にはサラリーマン(従業員)より社会的地位も高く、高収入という印象があります。それなのに住宅ローンの審査で厳しく評価されるのはなぜでしょうか。
その理由として、まず「社長・会社役員・経営者」は「労働者」ではないという点があげられます。サラリーマンは当然、労働者です。労働者は労働法により一定程度保護されていますが、社長や会社役員は、会社と委任契約を結んで役員報酬を受け取る立場であり、労働法で保護される労働者ではありません。
わかりやすいところで言えば、「残業代が出ない」「有給休暇が存在しない(欠勤も存在しない)」といった話です。逆に「突然解任されても、その後に雇用保険(失業給付)を利用できない」など、収入を維持しやすい保護機能が不足しているため、極端に言えば、収入が急減する可能性があります。銀行はそこを見ています。
この原則は大企業の役員でも中小企業の役員でも基本的に変わりません(ただし、大企業の「執行役員」は会社法上の取締役ではなく、従業員として任命されているケースが大半です)。
社長・経営者・会社役員の方に、ぜひ検討してほしいのがフラット35です。変動金利と比べると金利は高めですが(2026年7月の【フラット35】は年3.140%/借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)、今後の金利上昇リスクを避けられるうえ、民間の住宅ローンでは審査に通りにくい経営者でも通りやすいという現実的なメリットがあります。
フラット35取扱実績で最大手のSBIアルヒ(旧ARUHI)は、独自の保証型「スーパーフラット」も取り扱っており、自己資金を用意できる方は通常のフラット35より低い金利で借りられる場合があります(2026年7月の例:自己資金1割以上のスーパーフラット9=年3.130%/借り換え向けは年2.990%。いずれも引下げ期間終了後・団信込み。融資率などの条件で金利は変わります)。
社長や経営者で収入が十分ある場合、「まず審査に通ること」が何よりも重要です。審査に通るという観点では、フラット35(SBIアルヒ)への申し込みは有効な選択肢の一つです。
大企業の役員でも住宅ローンの審査に落ちる?
誰もが名前を知っているような大企業の役員でも、住宅ローンの審査に落ちる可能性はあります。
また、10年以上その会社で勤め上げて役員に昇格した人と、外資系企業などでヘッドハンティングされて役員になった人とでは、住宅ローンの審査上の評価は変わります。
ヘッドハンティングと言えば響きは良いのですが、その会社での実績があるわけではありません。短期的な報酬は高くても、結果を出せなければ解任される可能性があります。
こうした事情が審査に与える影響を数値化することはできませんが、収入面の不確定要素は住宅ローンの審査でマイナスに働くため、借入条件や信用情報など他の審査要素との兼ね合いで審査に落ちることは十分にあり得ます。
社長・経営者・会社役員の住宅ローン審査の特徴
大企業の役員になる年齢ではすでに住宅を保有していることも多いため、ここからは主に中小企業の社長・経営者・会社役員を前提に解説します。
最大の注意点は、「個人の収入」だけでなく「会社の業績」も審査されることです。民間の住宅ローンでは会社の決算書を3期分求められることが多く、直近3期に赤字があると審査通過の難易度が跳ね上がります。
3期分の決算書をきれいに整えるのは簡単ではありません。利益を出せば納税額も増えます。そのため、個人の所得(役員報酬)で審査が進み、原則として会社の決算書提出を求められないフラット35を選ぶ経営者が多いとされています(提出書類は取扱金融機関によって異なる場合があるため、事前に確認してください)。
フラット35は、民間の住宅ローンで審査に落ちた経営者が通るケースも多く、最初からフラット35が現実的な選択肢という方も少なくありません。相談しながら進めたい場合は、店舗で相談でき、住宅金融支援機構との調整に慣れた金融機関を選ぶとスムーズです。
※【フラット35】の融資限度額は1億2,000万円です(2026年4月実行分から引き上げ・住宅金融支援機構)。
社長・経営者・会社役員の住宅ローン審査対策
会社の業績が良い時期に申し込む
堅実な事業を営んでいても、中小企業ではちょっとした事情で業績が悪く見えてしまうことがあります。逆に、偶然が重なって良く見えることもあります。
短期の業績で一喜一憂すべきではありませんが、住宅ローンを有利に借りるなら、業績が良いタイミングで申し込むほうが当然有利です。借り換えは「いつ実行するか」を自分で選べるので、この点はとくに活かしやすいポイントです。
過度な節税に注意
節税はどの会社でも考えることですが、過度な節税は住宅ローン審査ではマイナスに働きます。利益剰余金も審査対象になり、剰余金があれば業績が傾いても一定期間はしのげると評価されるためです。業績が良く、利益剰余金がある程度積み上がったタイミングで申し込むのが一つの方法です。
頭金・自己資金を用意する
統計的に、中小企業は大企業より倒産しやすく、業績も安定しにくいのが実態です。銀行からの信頼度を短期間で高めるのには限界があります。もっとも確実なのは頭金・自己資金を厚く(できれば20%以上)用意して申し込むことです。
自己資金は金利面でも効いてきます。たとえばSBIアルヒのスーパーフラットは自己資金の割合で金利が段階的に下がり、SBI新生銀行なども自己資金10%以上で優遇金利が適用されます(2026年7月時点)。「通りやすさ」と「金利」の両方に効くのが自己資金です。
返済期間は短めに
収入や立場が変わりやすいことが、経営者が厳しく見られる理由の一つです。その対策として、返済期間を短めにして申し込むと審査に通りやすくなることがあります(できれば20年以内)。ただし返済期間を短くすると毎月返済額は増えるので、資金繰りとのバランスを必ず確認してください。
経営者が「借り換え」で押さえる4つのポイント
借り換えは新規借入と審査の考え方は同じですが、経営者ならではの実務的なコツがあります。
| ポイント | やること | 理由 |
|---|---|---|
| ①タイミングを選ぶ | 直近3期に赤字がない時期を狙う | 借り換えは実行時期を自分で決められる=最も有利な決算期で申し込める |
| ②返済実績を武器にする | 現在のローンの返済予定表・入出金履歴を用意 | 延滞なく返済してきた実績は、経営者の信用補強として有効 |
| ③損益分岐を計算する | 諸費用(事務手数料・登記費用・印紙税)を金利差で何年で回収できるか試算 | 「金利が下がる=得」ではない。諸費用を回収できて初めて得になる |
| ④団信を見直す | 健康状態が悪化していないか確認。難しければワイド団信や団信任意加入のフラット35を検討 | 借り換えでは団信に入り直す必要があり、健康状態が理由で借り換えできないことがある |
とくに④は見落とされがちです。借り換えは新しいローンを組み直す手続きなので、団信の審査を改めて受けます。年齢を重ね、健康診断で指摘を受けている経営者は、借り換えられるうちに動くという判断も必要です(フラット35は新機構団信への加入が任意なので、団信に入れない場合でも借入自体は可能です)。
社長・経営者・会社役員におすすめの住宅ローンは?
大企業・上場企業・5年以上業績が好調な企業の役員で、役員就任期間も十分にあるなら、経営者だからといって特別な住宅ローンが必要なわけではありません。金利の低い住宅ローンを普通に比較すればよいでしょう。
社長・経営者・会社役員の住宅ローンの審査書類
| 備考 | |
| 健康保険証 | |
| 住民票 | |
| 印鑑証明書 | |
| 源泉徴収票 | |
| 住民税決定通知書 | |
| 会社の決算書3期分 | 勘定科目明細も必要(アルヒのフラット35は原則として会社の決算書は不要。提出書類は金融機関により異なります) |
| 確定申告書3期分 | 確定申告をしている場合には必要 |
| 所得税の納税証明書3期分 | |
| 物件に関する書類 | |
| 借り換えに関する書類(返済予定表) | 借り換え時は現在のローンの残高・残期間がわかる書類が必須 |
おすすめの住宅ローンについて
・ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)【全疾病保障無料付帯】
上記のように変動金利の低さにこだわった住宅ローンも検討してほしいのですが、会社規模・業績・役員就任期間に一抹の不安がある方は、フラット35への申し込みをおすすめします。フラット35は国の支援のもとで提供される住宅ローンで、幅広い人がマイホームを持てるようにすることが目的の一つとされています。
また、店舗でも相談したい経営者の方には、SBI新生銀行のように店舗相談とオンライン手続きの両方に対応し、保証料0円・一部繰上返済手数料0円・一般団信および全疾病保障付団信の上乗せ0円と諸費用の見通しが立てやすい銀行も選択肢になります(事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型。2026年7月時点)。
フラット35の審査基準は取扱金融機関で大きく変わらないので、できるだけ条件(金利・事務手数料・付帯サービス)が良い金融機関で申し込むのが鉄則です。
当サイトでは、圧倒的な融資実績(16年連続フラット35融資件数1位)の「SBIアルヒ」経由での申し込みをおすすめしています。SBIアルヒは毎月最低水準の金利を提示しているだけでなく、手数料・付帯サービスにも特徴があります。独自のスーパーフラット(保証型)は、自己資金を用意できる場合、通常のフラット35より低い金利で利用できる可能性があります。
経営者の住宅ローンFAQ
Q. 会社を設立して1年目です。住宅ローンは組めますか?
A. 民間の住宅ローンは決算書3期分を求められることが多く、設立間もない会社の経営者は難しいのが実情です。フラット35は個人の所得で審査されるため可能性はありますが、直近の所得(役員報酬)を証明できるかが鍵になります。具体的な必要書類は申込先の金融機関に必ず確認してください。
Q. 役員報酬を下げて節税していますが、借り換え審査に影響しますか?
A. 影響します。住宅ローンの審査は個人の年収(役員報酬)が基準なので、報酬を下げていると借入可能額が小さくなり、借り換え自体ができないことがあります。借り換えを考えているなら、少なくとも申込時点の報酬額を意識して逆算しておきましょう。
Q. 会社の借入(法人の融資)は個人の住宅ローン審査に影響しますか?
A. 経営者本人が連帯保証している法人借入は、個人の債務として見られることがあります。返済比率の計算に影響し得るため、保証債務の有無と金額は事前に整理しておきましょう。
Q. 借り換えで諸費用はどれくらいかかりますか?
A. 主な内訳は事務手数料(借入額×2.20%(税込)または定額)・抵当権の設定/抹消登記費用・司法書士報酬・印紙税などです。借入額3,000万円ならおおむね70万〜100万円程度を見込んでおき、金利差でこの諸費用を何年で回収できるかを必ず計算してください(金利差が0.3%未満・残期間10年未満だと回収できないことが多くなります)。
※本記事の金利・手数料は2026年7月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の取り扱い状況は必ず各金融機関の公式サイトをご確認ください。
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