住宅ローン借り換えの金利差の目安は?得する条件と判断手順

2016年のマイナス金利政策以降、住宅ローンは長く超低金利が続いてきました。しかし2024年3月に日本銀行がマイナス金利を解除し、2026年6月には政策金利を年1.0%程度まで引き上げるなど、金利は上昇局面に入っています。2026年8月の【フラット35】(買取型・借入期間21〜35年・融資率9割以下)の最頻金利は年3.290%で、固定金利は3%台が定着しました。一方で変動金利は1%台前半にとどまり、両者の差はむしろ広がっています。
このような局面では、住宅ローンの借り換えには大きく2つの動機があります。1つは十数年前に高い金利で組んだ人が、今より低い金利へ借り換えて総返済額を減らすこと。もう1つは変動金利から固定金利へ借り換えて、将来の金利上昇に備えることです。いずれの場合も、返済中の住宅ローンとの金利差がどれぐらいあれば借り換える価値があるのか、その目安を最初に考える必要があります。
このコラムでは、借り換えに出遅れた人、金利優遇期間が終わってこれから借り換える予定の人のために、どのような人が借り換えを行うべきなのか、借り換え前後の住宅ローンの金利差はどの程度ないと借り換える意味がないのかなどについて解説したいと思います。
目次
住宅ローンを借り換える際、借り換え前後の金利差は最も重要な要素なので、最初に借り換えを行った人の実績データ(アンケート)から確認しておきましょう。
借り換えを行った人の実績(アンケート)
以下は、フラット35最大手のSBIアルヒ(旧ARUHI)が過去に実施したアンケート結果で、同社のフラット35に実際に借り換えた人へ、借り換え前後の住宅ローンの金利差をたずねた結果をまとめたグラフです。0.5%以上の金利差がある人が約6割を占めつつ、0.5%未満の金利差で借り換えた人も2割いることがわかります。(調査地域:全国、調査数:527人、ARUHIでフラット35へ借り換えを行った人)

ポイントは、「金利差1%以上でないと借り換えられない」わけではないということです。実際に0.5%未満の金利差で借り換えた人が2割いるのは、後述するとおり残高と残期間しだいで、小さな金利差でも諸費用を回収できるケースがあるからです。
いま借り換えた人は、どの金利タイプへ動いているのか
「金利差」と並んで気になるのが、借り換え先に変動と固定のどちらを選ぶかでしょう。住宅金融支援機構の「住宅ローン(借換え)利用者調査(2025年4月調査)」は、2024年4月〜2025年3月に実際に借り換えた591人を対象にした調査で、借り換え前後の金利タイプの変化を公表しています。
借り換え前は変動型49.2%・固定期間選択型41.6%・全期間固定型9.1%でしたが、借り換え後は変動型が57.9%まで増え、固定期間選択型は35.4%、全期間固定型は6.8%に減っています。金利上昇が話題になり始めた時期でも、借り換えの受け皿としては変動型が選ばれているのが実態です。
ただし「なぜ借り換えたか」は金利タイプで正反対でした。変動型を選んだ人の最多理由は「借換えにより金利が低くなるから」(42.4%・2024年4月調査比▲8.6ポイント)だったのに対し、固定期間選択型では「今後の金利上昇や毎月の返済額増加が不安になったから」(33.5%・同+10.1ポイント)、全期間固定型でも同じ理由(32.5%・同+3.9ポイント)が最多です。
つまり、変動型への借り換えは「いくら減らせるか」、固定型への借り換えは「いくらまでの上昇に耐えられるか」で判断されているということ。自分がどちらの動機で借り換えるのかをはっきりさせておくと、比較すべき数字も自然に決まります。
住宅ローンの借り換えを行うべき金利差の目安や条件とは
住宅ローンの借り換え時の重要なポイントは「住宅ローン残高」「金利差」「返済期間」の3つと言われていますが、もう1つ、最新の住宅ローンに付帯する疾病保障の有無を加えて、4つのポイントで住宅ローンの借り換えについて判断すると良いと思います。
<住宅ローンの借り換えのポイント>
- 残りの住宅ローンの残高
- 借り換え前後の金利差
- 住宅ローン完済までの期間
- 疾病保障の有無と上乗せ金利
ちなみに、「住宅ローン残高・金利差・完済までの期間」は、住宅ローンの借り換え3か条とも呼ばれ、具体的には「残りの住宅ローン残高が1000万円以上」、「住宅ローンの金利差が1.0%以上」、「住宅ローン完済までの期間が10年以上」の条件を満たすのであれば、今すぐにでも住宅ローンを借り換えた方が良いと言われています。実はこの条件を全て満たしていなくても、住宅ローンの借り換えを検討する価値はあります。
住宅ローン借り換えメリットのある金利差の目安・条件
住宅ローンを借り換える価値は、「住宅ローンの借り換え時にかかる諸費用」と「借り換え後の住宅ローン返済額の削減効果」の金額を比べることで判断できます。借り換えには事務手数料(借入額の2.20%〈税込〉が一般的)・保証料・登記費用(抵当権の抹消と設定)・司法書士報酬・印紙税などの諸費用がかかるため、「削減できる利息 > 諸費用」となって初めて借り換えメリットが出るのが基本の考え方です。
借り換えの目安のシミュレーション(前提条件)
住宅ローンの残高(元本):2500万円
住宅ローン完済までの期間:25年
住宅ローンの金利:1.0%
上記の条件で住宅ローンを返済中と仮定して、そこから借り換え後の住宅ローン金利が0.1%~0.5%下がった時の借り換えメリットを確認してみましょう。
| 住宅ローン金利 | 借り換えなし(1.0%) | 0.9% | 0.8% | 0.7% | 0.6% | 0.5% |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 金利差 | 0 | ▲0.1% | ▲0.2% | ▲0.3% | ▲0.4% | ▲0.5% |
| 住宅ローン元本 | 2500万円 | |||||
| 元本+利息 | 約2826万円 | 約2792万円 | 約2759万円 | 約2725万円 | 約2692万円 | 約2660万円 |
| 借り換え費用 | 0円 | 777,000円 | ||||
| 総費用 | 約2826万円 | 約2868万円 | 約2834万円 | 約2800万円 | 約2768万円 | 約2735万円 |
| 借り換え効果 | 0円 | 約40万円(増) | 約7万円(増) | 約25万円(減) | 約58万円(減) | 約91万円(減) |
※このシミュレーションは当サイトがauじぶん銀行の住宅ローンシミュレーターを利用して算出したものです。返済方法は元利均等返済、ボーナス返済は0円としてシミュレーションしています。
住宅ローンの金利差が0.3%から効果あり
借り換え前後の住宅ローンの金利差が0.3%あれば、住宅ローンの借り換え時にかかる費用を差し引いても借り換えメリットがあることがわかります。この試算では金利差0.3%が目安になりますが、住宅ローン完済までの残りの年数が短かったり、住宅ローン残高が少なかったりすると、0.3%の金利差ではメリットを得られない可能性もありますので注意しましょう。
かつての超低金利期に借り換えそびれた人や、十数年前に高い金利で住宅ローンを契約した人は、今でも借り換えでメリットを得られる可能性があります。住宅ローンの残高が大きかったり、残りの返済期間が長ければ借り換えメリットは拡大しますし、住宅ローンの残高が少ないとしても「住宅ローン借り換え前後の金利差」が大きければ十分な借り換えメリットを得られることになります。
金利上昇局面では「損益分岐」に時間の要素が加わる
ここまでは「今の金利がずっと続く」前提での損得でした。しかし金利が上がる局面では、判断を先延ばしするコストそのものが増えます。理由は3つあります。
| 先延ばしで起きること | 何が変わるか | 対処の考え方 |
|---|---|---|
| 借り換え先の金利が上がる | 固定金利は毎月改定される。借り換え後に確定できたはずの金利が高くなる | 固定へ移すつもりなら、実行日ベースの金利で早めに試算する |
| 残期間が短くなる | 利息の削減額は残期間に比例して小さくなる。諸費用は残期間が短くても変わらない | 残り10年を切ると諸費用倒れになりやすい。早いほど回収しやすい |
| 返済が進んで残高が減る | 削減額は残高にも比例するため、同じ金利差でも効果が薄まる | 残高1,000万円が一つの目安。下回るなら金利差を大きく取る必要がある |
なお、変動金利で返済中の方は「基準金利が見直されてから毎月返済額に反映されるまでに数か月のタイムラグがある」点も押さえておきましょう。銀行と契約タイプによって反映月は異なり、たとえば三菱UFJ銀行は2026年9月1日に基準金利を見直したうえで、変動金利(毎月型)は2026年11月の約定返済分から、(年2回型)は2027年1月の約定返済分から新しい利率を反映すると公表しています。反映月が来る前に借り換えが終われば、上がった金利で返済する回数を減らせます。住宅ローンの借り換えは申込から実行まで1か月以上かかることが一般的なので、逆算して動き出しましょう(反映時期は金融機関・契約により異なります。自分の契約は返済予定表や各行公式でご確認ください)。
これから金利が上がっていく局面では、変動金利のまま様子を見るか、固定金利へ借り換えて返済額を確定させるかという判断も重要になります。金利の安さだけでなく、上昇リスクをどこまで許容できるかもあわせて考えましょう。
目に見えにくい住宅ローンの借り換えのメリットとは
仮に金利差があまりなくても、最新の商品性を備えた住宅ローンに借り換えを行う価値は十分あります。その理由は、上乗せ金利なしで疾病保障が付く住宅ローンが増えているためです。
たとえばauじぶん銀行のがん50%保障団信は、単独で加入する場合は上乗せ金利なしで、がん診断保障(残高の50%)・急性心筋梗塞・脳卒中・肝疾患・腎疾患の4疾病保障(同50%)・全疾病長期入院保障が付きます(2026年8月時点。ペアローン連生団信は上乗せ金利がかかります)。SBI新生銀行の全疾病保障付団信も2026年3月に取り扱いを開始し、上乗せ金利0円で選べます。ほかに住信SBIネット銀行の全疾病保障(現在の商号はドコモSMTBネット銀行/個人向けブランドは「ドコモの銀行」)などもありますが、保障の範囲・支払条件・上乗せ金利の有無は金融機関ごとに異なりますので、必ず各行の公式サイトと「被保険者のしおり」で確認してください。
なおSBI新生銀行の団信は、一般団信(上乗せ0円)に加え、上乗せ0円の全疾病保障付団信、上乗せ年0.1%のガン団信から選べます(※かつての介護保障付の「安心保障付団信」は新規申込を終了しています)。同行は保証料0円・一部繰上返済手数料0円(1円から何度でも)で、融資事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているため、借り換えの手続きを対面で確認しながら進めたい方にも検討しやすい選択肢です。
住宅ローンの借り換えを検討している皆様は、住宅ローンの返済期間と同じだけ年齢を重ねています。年齢を重ねると病気のリスクや備えが必要になると共に、医療保険や生命保険などの保険料は高くなってしまいます。
更に注意しておきたいのが「死なないリスク」です。聞こえの悪い言葉ですが、「以前であれば回復せずに死亡していたような症状の病気でも、医療の発達によって回復する確率が高まっている」状況を示した言葉です。
こちらの記事で国立がん研究センターが発表した日本人の大敵ともいえる「がん(悪性新生物)」に関する統計データについて紹介しているとおり、日本人にとってがんは切っても切り離せないこと、そして、医療が本当に進歩していることを感じることができる統計データとなっています。
疾病保障が何も付帯していない住宅ローンでも、がんや脳卒中などの疾病にかかって死に至った場合、住宅ローンの残高は保険(団信)でゼロになりますので、残された家族が住宅ローンの返済に困ることはありません。
一方、がんにかかって、治療の結果回復した場合、住宅ローンの残高は残るので、住宅ローンの返済負担が重くのしかかる可能性があります。
給与も減らずに職場復帰できれば路頭に迷うことはないでしょうが、元の職場に戻れなかったり、収入が減ったりした場合、それまでの余裕ある生活が一変してしまう可能性があります。
そのようなリスクに備えて、仮に総返済額に差がなくても疾病保障が付帯した住宅ローンへの借り換えを検討してみてほしいと考えています。
これだけ医療が発展した現代で、20代や30代の、経済的に余裕があるわけでもなく病気のリスク(や知識)も比較的少ない世代が利用する住宅ローンに、将来の病気への備えが自動的に付帯しない(≒費用を負担すれば利用もできますよ)ことが前提になっていること自体が時代遅れになってきていると言えます。
若い世代にそんな選択を迫るのではなく、基本的に疾病保障が付帯している住宅ローンが標準的という世の中にならなければ、医療の発展で一命を取り留めたとしても、住宅ローン破産して家族も含めて病後の生活がままならない事例が多発する可能性があります。そういった意味でも、「追加の費用負担なく」疾病保障が付帯した住宅ローンを先駆けて提供している金融機関の取り組みは大きな社会的意義があると言えるでしょう。
借り換えの損得を自分で確かめる3ステップ
最後に、いまの自分に借り換えメリットがあるかを確かめる手順を整理しておきます。用意するのは返済予定表(償還予定表)だけです。
ステップ1:現状の3つの数字を書き出す
「残高」「残りの返済回数(年数)」「現在の適用金利」。この3つがそろえば、あとは比較するだけです。金利が変動型なら、直近の見直しで上がっていないかもあわせて確認します。
ステップ2:借り換え後の総返済額を試算する
候補の金融機関のシミュレーターに、ステップ1の残高・残期間・借り換え後の金利を入力します。借入額を「残高」ではなく当初の借入額で入れてしまう入力ミスが多いので注意してください。現在の総返済額との差額が、利息の削減額です。
ステップ3:諸費用を引いて手残りを見る
利息の削減額から、事務手数料(借入額×2.20%〈税込〉が主流)・登記費用・司法書士報酬・印紙税・現在のローンの繰上返済手数料などを差し引きます。ここがプラスなら借り換える価値があります。保証料が戻るタイプのローンなら、返戻分もプラスに算入できます。
複数の金融機関で試算すると、金利は低いのに手数料が高くて手残りが小さい、といった逆転も見えてきます。金利だけでなく総コストで比べるのが、借り換えで失敗しないコツです。
住宅ローン借り換えのよくある質問(FAQ)
Q. 金利差0.3%でも本当に借り換える意味はありますか?
A. 残高が多く(目安1,000万円以上)、残期間が長い(目安10年以上)ほど、わずかな金利差でも削減できる利息が諸費用を上回りやすくなります。逆に残高が少なく残期間が短いと、0.3%程度では諸費用倒れになることもあります。必ず「削減できる利息」と「借り換え諸費用(事務手数料2.20%〈税込〉など)」を試算して比べましょう。
Q. 借り換えの諸費用はどれくらいかかりますか?
A. 事務手数料(借入額の2.20%〈税込〉が一般的)、保証料、抵当権の設定・抹消にかかる登記費用と司法書士報酬、印紙税などで、借入額によってはおおむね数十万円〜100万円前後になることがあります。この諸費用を上回る利息削減効果があるかが、借り換え判断の分かれ目です。
Q. 金利が上がってきた今、借り換えるなら変動と固定どちらがいいですか?
A. 2026年8月時点では変動金利が1%台前半、全期間固定型のフラット35(買取型・21〜35年・融資率9割以下)の最頻金利が年3.290%と、差が広がっています。当初の返済額を抑えたいなら変動、返済額を完済まで確定させて上昇リスクに備えたいなら固定が向きます。実際の借り換え利用者も、変動型は「金利が低くなるから」、固定型は「今後の上昇が不安だから」と動機が分かれています。今後の金利上昇をどこまで許容できるかで選び、迷う場合は複数の金融機関でシミュレーションして比較しましょう。
Q. 借り換えても住宅ローン控除は引き続き使えますか?
A. 借り換えによる新しいローンは本来「従前のローンを消滅させるための借入金」なので原則は対象外ですが、国税庁は①新しいローンが当初の住宅ローンの返済のためであることが明らかで、②新しいローンの償還期間が10年以上あるなど控除の要件に当てはまる場合は、引き続き控除を受けられるとしています。ただし控除を受けられる年数が借り換えで延びることはありません。また、借り換え後の借入額が借り換え直前の残高を上回る場合は、年末残高に一定の割合を掛けて控除対象額を計算します。詳細と最新の要件は国税庁のタックスアンサー「No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき」でご確認ください。
Q. 借り換えの審査に落ちることはありますか?
A. あります。借り換えは新規の借り入れと同じく審査があり、現在の年収・勤務先・勤続年数・他の借入状況・健康状態(団信の加入可否)・物件の担保評価などが見られます。借りた当時より収入が下がっている、転職直後、他のローンが増えている場合は要注意です。健康上の理由で一般団信に加入できない場合は、引受基準を緩和したワイド団信(上乗せ金利がかかるのが一般的)を扱う金融機関を検討する方法もあります。
※本文の金利・各社のサービス内容は2026年8月時点の情報です。最新の適用金利・団信の内容・手数料は各金融機関の公式サイトで必ずご確認ください。
住宅ローン借り換え.jpのおすすめ特集
借り換えにおすすめの住宅ローンを徹底比較
住宅ローンの金利動向予想記事


