住宅ローン変動金利の仕組み|決まり方・5年ルールと借り換え判断

このコラムでは、住宅ローン利用者の大半が選んでいる変動金利タイプの仕組みを、返済中の方の目線で整理します。
2026年の住宅ローンは、長く続いた「下がる金利」から「上がる金利」の局面に入りました。これから借りる人はもちろん、すでに変動金利で返済中で借り換えを検討している人ほど、「自分の金利がいつ・どういう理屈で動くのか」を押さえておく価値があります。
目次
金利タイプ別の利用シェア
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」は、実際に住宅ローンを借りた人がどの金利タイプを選んだかを継続的に調べています。最新の2026年1月調査(2025年4月〜9月の借入者・回答1,237件)では、変動型が75.0%、固定期間選択型が14.9%、全期間固定型が10.1%でした。

注目したいのは、変動型が2025年4月調査より4.0ポイント減っている点です。逆に固定期間選択型は+2.7ポイント、全期間固定型は+1.3ポイント増えました。依然として「4人に3人は変動型」ですが、金利上昇局面に入って固定へ寄せる人がじわりと増え始めているのが今の姿です。
同じ調査では、今後1年間の住宅ローン金利について「現状よりも上昇する」と答えた人が73.7%(2025年4月調査より+8.0ポイント)に達しています。割合は調査ごとに変わるため、最新は機構の公表資料でご確認ください。
なぜ変動金利が人気なのか?
変動金利タイプの魅力は、なんといっても適用金利の低さです。逆に言えば、それ以外に変動金利ならではの強みはあまりありません。
2026年8月時点でも、ソニー銀行(変動セレクト住宅ローン)は年1.347%、住信SBIネット銀行(現在の商号はドコモSMTBネット銀行/個人向けブランドは「ドコモの銀行」・WEB申込コース 通期引下げプラン)は年1.200%と、1%台前半の変動金利が並びます。同じ8月の全期間固定型、たとえばフラット35(買取型・融資率9割以下・借入期間21〜35年)の最頻金利は年3.290%です。
つまり、変動金利は全期間固定型の半分以下(おおむね3〜4割程度)の水準で、毎月の返済額や当初の利息を抑えやすい。多くの人が変動金利を選ぶのは、この差を見れば自然な流れと言えます(ただし変動金利は将来の金利上昇リスクを抱えます。金利は毎月見直されるため、最新の適用金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください)。
金利が低い変動金利を選ばない人がいるのはなぜ?
金利が低い変動金利を選ばない理由は、「将来金利が上昇するかもしれないと考えている人」や、「毎月の住宅ローンの返済額を完全に固定してしまいたいと考えている人」です。それ以外にも、「変動金利タイプの住宅ローンを利用できなかった人」も含まれています。
※固定金利タイプの代表であるフラット35は、民間銀行などが提供する住宅ローンよりも利用しやすい審査基準が定められています。そのため、フラット35は民間銀行の住宅ローンの審査基準を満たせない人や審査に落ちた人の受け皿商品として活躍しています。
変動金利の決まり方とは?
変動金利に限らず、住宅ローンの金利は最終的には「住宅ローンを提供する銀行が判断して決めているだけ」ですが、変動金利タイプの基準になっているのは短期プライムレート(短プラ)です。短プラは、銀行が信用力の高い企業へ1年以内の期間で貸し出すときの最優遇金利で、日本銀行の政策金利の動きにほぼ連動します。
実際、日本銀行が2026年6月16日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%から1.0%程度へ引き上げると、大手銀行が相次いで短プラを改定しました。三菱UFJ銀行の短期プライムレートは2026年8月3日から年2.375%です(同行公式)。
ここで混同しやすいのが「長期金利」との違いです。
| 基準になる指標 | 連動する金利タイプ | 動く理由 |
|---|---|---|
| 短期プライムレート | 変動金利 | 日銀の政策金利(短期の政策)に連動。政策変更のたびに階段状に動く |
| 長期金利(新発10年物国債利回り) | 固定期間選択型・全期間固定型(フラット35を含む) | 市場での国債の売買で日々変動。海外金利・物価・為替の影響を受ける |
「長期金利が上がった」というニュースを見ても、それだけで変動金利がすぐ動くわけではありません。逆に、日銀が政策金利を動かせば変動金利は上がります。自分のローンがどちらの指標を見ればよいのかを、まず確かめてください。
変動金利が下がらない?
ここで注意したいのは「変動金利」で借りると、将来金利が上がることはあっても下がることはほとんどないということです。たとえば数年前にA銀行の変動金利0.475%で借りたとします。その後にA銀行が新規の申込者へ0.400%を提示していたとしても、それを使えるのはこれから借りる人だけで、返済中の人の金利が一緒に下がることは基本的にありません。
そのカラクリは住宅ローンの金利の決定方法にあります。
住宅ローンの金利は、契約時に以下の計算式で決定されます。
住宅ローンの契約時に約束されるのは、「優遇金利幅(基準金利からの引き下げ幅)」のほうです。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、たとえば基準金利が2.7%の住宅ローンがあったと考えてみてください(数値は仕組みを説明するための仮の例です)。
先に契約したAさんは「優遇金利幅は1.8%です」、あとから契約したBさんは「優遇金利幅は2.2%です」という条件で契約したとします。
この場合、Aさんには「2.7-1.8=0.9%」、Bさんには「2.7-2.2=0.5%」が適用され続けるというわけです。同じ銀行の同じ商品でも、契約した時期によって適用金利が違うのはこのためです。
そして基準金利のほうは、短プラが上がれば引き上げられます。優遇金利幅は変わらないので、基準金利が0.25%上がれば、返済中の人の適用金利も同じだけ上がるのが基本です。変動金利は「金利が上下する金利タイプ」というより、「金利が上がるかもしれない金利タイプ」と覚えておくとよいでしょう。
逆に言えば、返済中の人が適用金利を下げる現実的な方法は、優遇金利幅そのものを取り直すこと=借り換えです。ここが、返済中の方にとって借り換えを検討する意味がある理由です。
変動金利の5年ルールと125%ルールについて
住宅ローンの変動金利には「5年ルール」や「125%ルール」と言われる金利引き上げ時のルールがあります(一部の住宅ローンを除く)。変動金利タイプにはこのルールが適用される住宅ローンと適用されない住宅ローンがあります。
あわせて押さえておきたい前提が2つあります。ひとつは、5年ルール・125%ルールは元利均等返済が対象で、元金均等返済では適用されないこと(三菱UFJ銀行の公式案内にも明記されています)。もうひとつは、ネット銀行を中心にこの2つのルールを採用していない金融機関があることです。採用していない場合は、金利が上がった時点で毎月返済額もそのまま増えます。申込前・借り換え前に必ず確認しましょう。
詳しくは住宅ローン(変動金利)の5年ルールと125%ルールとは? で解説していますので、変動金利の住宅ローンを選ぶ予定の人は一読しておくと良いでしょう。
金利が上がってから毎月返済額に反映されるまでの流れ
「短プラが上がった=来月から返済額が増える」ではありません。基準金利の見直し日と、新しい利率が返済額に反映される月は、銀行と契約タイプによって違います。
三菱UFJ銀行が公表しているスケジュールを例に見てみます(2026年6月16日の日銀の決定を受けた短プラ引き上げに対応するもの)。
| 変動金利の種類 | 金利見直しの基準日 | 返済額への反映 |
|---|---|---|
| 変動金利(毎月型) | 2026年9月1日 | 2026年11月の約定返済分から |
| 変動金利(年2回型) | 2026年10月1日 | 2027年1月の約定返済分から |
同じ銀行の同じ「変動金利」でも、反映が2か月ずれるのが分かります。自分の契約がどちらなのかは、返済予定表や「ご返済のお知らせ」で確認できます(三菱UFJ銀行の場合。他行では名称・時期が異なります)。
借り換えを検討するなら、この「反映の時期」を先に把握しておくのが有利です。反映月が来る前に手続きが終われば、上がった金利での返済を1回でも減らせます。住宅ローンの借り換えは、申込から実行まで1か月以上かかることが一般的です(必要書類の準備状況や金融機関によって異なります)。反映月から逆算して動き出しましょう。
2026年の実際の動き:固定はほぼ全面的に上昇、変動は据え置きが多数
当編集部は毎月、各金融機関の公式の住宅ローン金利ページを実際に開いて表示金利を記録しています。2026年8月4日に14の金融機関・機関の公式サイトを確認し、前月(2026年7月)と比較できた127件を金利タイプ別に集計すると、次のようになりました。

変動金利は実測27件のうち23件が据え置き・4件が引き上げだった一方、固定10年は24件のうち22件、固定20年前後は20件すべて、固定35年前後は16件すべてが引き上げでした(当社調べ・2026年8月4日確認)。
※フラット35・フラット50の38件は、住宅金融支援機構が公表する同一の最頻金利を取扱金融機関ごとに1件として数えたものです(=38社が別々に判断したわけではありません)。また、この集計は当編集部が確認できた範囲の件数であり、市場全体の統計ではありません。
ここから読み取れるのは、固定金利はすでに上昇しきっている一方、変動金利はまだ動き始めたばかりだということです。短プラの引き上げが基準金利の見直しを通じて反映されていくため、変動金利の上昇はこれから返済額に効いてきます。
変動金利で返済中の人が、いま確認しておきたい3つのこと
住宅金融支援機構が2025年10月に実施した調査(2024年度以前に借り入れた返済中の方5,000人が対象)では、変動金利タイプの返済者の53.5%が「借入当時と比べて金利変動リスクに不安を感じるようになった」と回答しています。返済の実質的な負担感が「大きくなった・やや大きくなった」と答えた人も、全体の37.8%にのぼりました。
不安を行動に変えるために、まず次の3点を確認してください。
① いまの適用金利と優遇金利幅
返済予定表や契約書で「基準金利」と「引き下げ幅」を確認します。優遇幅が小さい古い契約ほど、借り換えで金利が下がる余地があります。
② 5年ルールの有無と、返済額に反映される月
5年ルールがある契約は返済額が据え置かれますが、その間も利息は増えており、元金の減りは遅くなります。「返済額が変わらない=損をしていない」ではありません。
③ 借り換えの損益分岐
借り換えには事務手数料(借入金額×2.20%〈税込〉が主流)・保証料・印紙税・登録免許税・司法書士報酬などの諸費用がかかります。残債・残期間・金利差から計算した利息の削減額が、この諸費用を上回るかどうかが判断の軸です。残期間が短いほど削減額は小さくなるため、迷っている時間そのものがコストになります。
なお、同じ銀行の中で変動から固定へ金利タイプを変更するという手もあります(三菱UFJ銀行はインターネットから手数料無料で手続きできると案内しています)。借り換えより手軽ですが、そのとき適用されるのは現在の固定金利であり、優遇幅も契約時のままです。借り換えと比較したうえで選んでください。
借り換え先を比較するときは、金利の低さだけでなく諸費用・団信の保障範囲・繰上返済のしやすさまで含めた総コストで見ることが大切です。たとえばSBI新生銀行は、保証料0円・一部繰上返済手数料0円(1円から何度でも)・一般団信の上乗せ0円で、2026年3月からは上乗せなしの全疾病保障付団信も選べます。融資事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型です。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているので、対面で確認しながら進めたい方にも検討しやすい選択肢です(最新の金利・条件は公式サイトでご確認ください)。
変動金利の仕組みに関するよくある質問(FAQ)
Q. 変動金利で借りていますが、世の中の金利が下がれば自分の金利も下がりますか?
A. 契約時に約束されるのは「優遇金利幅(基準金利からの引き下げ幅)」で、これは原則変わりません。基準金利が下がらない限り、返済中の適用金利が自動的に下がることはほとんど期待できません。金利を下げたい場合は、より低い金利・条件の住宅ローンへ借り換えることが現実的な選択肢になります。
Q. 変動金利が上がったら、毎月の返済額はすぐ増えますか?
A. 「5年ルール・125%ルール」が適用される住宅ローンなら、金利が上がっても5年間は毎月返済額が据え置かれ、見直し時も従来の1.25倍までしか上がりません。ただし返済額が据え置かれても利息は増えるため、元金の減り方が遅くなります。なお、一部のネット銀行などはこの2つのルールが適用されないほか、元金均等返済では対象外です。申込前に必ず確認しましょう。
Q. 基準金利が上がったかどうかは、どこで分かりますか?
A. 多くの銀行は公式サイトの「金利一覧」や「お知らせ」で基準金利と見直し日を公表しています。反映後の毎月返済額と元金・利息の内訳は、返済予定表(銀行によっては「ご返済のお知らせ」)で確認できます。基準日と反映月は銀行・契約タイプで異なるため、自分の契約の書面で確かめるのが確実です。
Q. 変動金利のまま借り換えても意味はありますか?
A. あります。借り換えでは優遇金利幅を今の条件で取り直すことになるため、優遇幅が小さい古い契約ほど適用金利が下がる可能性があります。ただし諸費用がかかるので、削減できる利息が諸費用を上回るかを必ず試算してください。金利上昇そのものを止めたいなら、固定金利への借り換えという選択肢もあります。
Q. 5年ルールがあるので、金利が上がっても放っておいて大丈夫ですか?
A. 返済額は据え置かれますが、増えた利息の分だけ元金の減りが遅くなります。5年ごとの見直しで返済額が最大1.25倍まで増える、あるいは返済期間の終盤に未払利息が残るといった形で、負担は先送りされているだけです。据え置き期間のうちに、繰上返済や借り換えを検討しておくほうが安全です。
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