住宅ローン変動金利の仕組みとは?決まり方・5年ルールを解説

このコラムでは住宅ローンを借りている人の2人に1人以上が利用している変動金利タイプの住宅ローンの仕組みについて解説したいと思います。
これから住宅ローン借りる人も、住宅ローンの借り換えを考えている人もぜひ参考にしていただければと思います。
目次
金利タイプ別利用シェア
今から10年ぐらい前に住宅ローンを借りた人の多くは固定金利タイプの住宅ローンを選んでいましたが、長引く低金利の影響で、この数年は住宅ローンを利用する人(住宅ローンの借り換えを含む)の半数以上が変動金利タイプの住宅ローンを選んでいます。
フラット35を提供する住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」によると、変動金利タイプを選ぶ人は年々増えています。最新の2025年4月調査では、約79%(およそ8割)の人が変動金利型を選択しており、2018年ごろの約57%からさらに上昇しています(割合は調査時点で変わるため、最新は公式の調査結果でご確認ください)。

なぜ変動金利が人気なのか?
変動金利タイプの魅力は金利の低さです。逆に言えばそれ以外に変動金利タイプの住宅ローンの魅力と言えるポイントはありません。
2026年6月時点でも、ソニー銀行(変動セレクト住宅ローン)、住信SBIネット銀行などのネット銀行は、最優遇でおおむね年0.3〜0.7%台の低い変動金利を提供しています(最新の適用金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください)。
一方で、全期間固定金利の代表であるフラット35(買取型・融資率9割以下・借入期間21〜35年)は、2026年6月時点で最頻金利が年3.21%まで上昇しています。変動金利は固定金利の数分の一の低さで、毎月の返済額や当初の利息を抑えやすいため、変動金利を選ぶ人が多いのも自然な流れと言えます(ただし変動金利は将来の金利上昇リスクを抱える点に注意。最新の金利は公式サイトでご確認ください)。
金利が低い変動金利を選ばない人がいるのはなぜ?
金利が低い変動金利を選ばない理由は、「将来金利が上昇するかもしれないと考えている人」や、「毎月の住宅ローンの返済額を完全に固定してしまいたいと考えている人」です。それ以外にも、「変動金利タイプの住宅ローンを利用できなかった人」も含まれています。
※固定金利タイプの代表であるフラット35は、民間銀行などが提供する住宅ローンよりも利用しやすい審査基準が定められています。そのため、フラット35は民間銀行の住宅ローンの審査基準を満たせない人や審査に落ちた人の受け皿商品として活躍しています。
変動金利の決まり方とは?
変動金利に限らず、住宅ローンの金利は最終的には「住宅ローンを提供する銀行が判断して金利を決めているだけ」ですが、変動金利タイプの住宅ローン金利は「短期プライムレート(短プラ)」などの日本の債券市場の短期金利を参考にしながら決定されています。
銀行などの金融機関は口座利用者から集まった預金などを「元手」に、お金を必要としている法人や個人にお金を貸すことで利益をあげているわけで、「少しぐらい金利が高くても良いからお金を貸して欲しい」という人(ニーズ)が増えれば金利があがっていきますし、「お金を借りたい人が少ない」と金利は下がってきます。
と言うことで、様々な経済的事情で「日本国内の短期金利」が下がれば住宅ローンの変動金利も下がりますし、「日本国内の短期金利」があがれば住宅ローンの変動金利もあがっていきます。
変動金利が下がらない?
ここで注意したいのは「変動金利」で借りると、将来金利が上がることはあっても下がることはないということです。例えばA銀行で0.98%程度の変動金利で住宅ローンを借りたとします。その銀行がこれから住宅ローンを申し込む人向けに0.457%の変動金利を提示していたとしても、それを利用できるのはこれから利用する人だけなので、昔から借りている人の金利が一緒に下がることは基本的にありません。少なくとも、筆者は返済中に変動金利が下がったという話を聞いたことがありません。
そのカラクリは住宅ローンの金利の決定方法にあります。
住宅ローンの金利は、契約時に以下の計算式で決定されます。
住宅ローンの契約時に約束されるのは、「優遇金利幅」です。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、例えば、基準金利が2.7%の住宅ローンがあったとします。
2016年12月に契約した人は「優遇金利幅が1.8%になりますよ」、2018年12月に契約した人は「優遇金利幅が2.2%になりますよ」というような条件で契約することになります。
基準金利はほとんど変えることがありませんので、2016年12月に契約した人は「2.7-1.8=0.9%」が適用され続け、2018年12月に契約した人は「2.7-2.2=0.5%」が適用され続けるというわけです。
と言うことで、基準金利を下げて適用される金利が下がることが100%無いとは言いませんが、ほとんど期待できません。変動金利は「金利が変動する金利タイプ」ではなく、「金利があがるかもしれない金利タイプ」というように覚えておくようにしましょう。
変動金利の5年ルールと125%ルールについて
住宅ローンの変動金利には「5年ルール」や「125%ルール」と言われる金利引き上げ時のルールがあります(一部の住宅ローンを除く)。変動金利タイプにはこのルールが適用される住宅ローンと適用されない住宅ローンがあります。
詳しくは住宅ローン(変動金利)の5年ルールと125%ルールとは? で解説していますので、変動金利の住宅ローンを選ぶ予定の人は一読しておくと良いでしょう。
2026年は「金利のある時代」へ。借り換え検討者が変動金利で押さえるべき点
日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%から1.0%程度へ引き上げました(約31年ぶりの高水準)。さらに多くの銀行が短期プライムレート(変動金利の基準となる金利)の引き上げを発表しており、変動金利は今後の基準金利見直しで上昇する可能性があります(多くの銀行は半年ごとの見直し→数か月後に適用。反映時期は各行で異なります)。
すでに変動金利で返済中の方は、「5年ルール」で当面の毎月返済額が据え置かれても、利息の割合が増えて元金が減りにくくなる点に注意が必要です。借り換えを検討するなら、いま借りている変動金利と、借り換え先の金利・諸費用を最新の公式情報で確認し、諸費用を上回るだけの利息削減効果があるか(損益分岐)を必ず試算してください。固定金利が大きく上がっている局面では、「変動で借り換えて総返済額を下げる」のか「固定で金利上昇リスクを抑える」のか、自分の残債・残期間・家計の余裕度に照らして判断するのが基本です。
変動金利の仕組みに関するよくある質問(FAQ)
Q. 変動金利で借りていますが、世の中の金利が下がれば自分の金利も下がりますか?
A. 契約時に約束されるのは「優遇金利幅(基準金利からの引き下げ幅)」で、これは原則変わりません。基準金利が下がらない限り、返済中の適用金利が自動的に下がることはほとんど期待できません。金利を下げたい場合は、より低い金利・条件の住宅ローンへ借り換えることが現実的な選択肢になります。
Q. 変動金利が上がったら、毎月の返済額はすぐ増えますか?
A. 「5年ルール・125%ルール」が適用される住宅ローンなら、金利が上がっても5年間は毎月返済額が据え置かれ、見直し時も従来の1.25倍までしか上がりません。ただし返済額が据え置かれても利息は増えるため、元金の減り方が遅くなります。なお、一部のネット銀行などはこの2つのルールが適用されないため、申込前に必ず確認しましょう。
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