住宅ローンの頭金・自己資金なしは危険?平均と目安【2026年最新】

(このコラムは住宅ローンの借り換えではなく、住宅ローンの新規借入時の住宅ローンの頭金・自己資金に関する特集記事です。すでに返済中の方は、記事後半の「自己資金は繰上返済と借り換えのどちらに使うべきか」からお読みください。)
目次
マイホームを購入、つまり、住宅ローンを利用するときに最初に考えるのが、「頭金・自己資金」をどの程度用意して差し入れるか、という点です。
【フラット35】などのように「頭金・自己資金」を一定割合以上準備できると住宅ローンの金利が低くなる住宅ローンが数多く存在しているので、住宅ローンの総返済額をできるだけ減らすためにも「頭金・自己資金」をどの程度用意するかは非常に重要なポイントです。
住宅ローンの借入額が少ないほうが返済負担や利息負担が小さくなるので、基本的には住宅ローンの頭金・自己資金はできるだけたくさん用意できる方が良いわけですが、実際、住宅ローン利用者はどれぐらいの金額を準備しているのでしょうか?
このコラムでは、そんな疑問に答えるべく、実際に住宅ローンを契約した人の統計データや、収入と支出(返済)のバランスなどの観点から住宅ローンの頭金・自己資金について特集しています。数値はいずれも2026年8月時点で確認できる最新のものに更新しています。
頭金・自己資金はいくら必要か?
一般的に住宅を購入するときには、頭金・自己資金をある程度準備するようにおすすめされています。
この特集を見ている人は、高額の自己資金が準備できている人ではなく、どの程度の頭金を準備しておくべきなの?と目安を知りたい人たちだと思います。「欲しい家」と「その値段」と「年収(返済負担率)」のバランスが1人1人で変わってくるため、「どの程度必要か?」という質問には「ケースバイケース」としか答えるしかないのですが、それだけでは何の解説にもなっていませんので、様々な角度から「住宅ローンの自己資金はいくら必要なのか?」「頭金なしは危険なのか?」について考えてみたいと思います。
なお、最近は頭金を準備するどころか、auじぶん銀行や住信SBIネット銀行(2026年8月に商号が変更され、個人向けのサービスブランドは「ドコモの銀行」になりました)・楽天銀行のように住宅ローンの諸費用まで借り入れることができる住宅ローンも増えてきていますので、頭金を準備しないで住宅ローンを利用する人も珍しくありません。なかにはSBI新生銀行のように、保証料が0円で、事務手数料や火災保険料などの諸費用も借入金額に含めて借りられる住宅ローンもあります。
住宅ローン利用者の頭金・自己資金の平均は?
まずは実際の利用者の自己資金の準備状況を確認しましょう。
これは住宅金融支援機構が毎年公表している【フラット35】利用者の実態調査で、実際に住宅ローンを利用した人がどの程度の頭金を用意しているのかがわかる統計データです。最新版は2026年7月24日に公表された「2025年度フラット35利用者調査」(2025年度の買取承認・付保承認案件のうち借換えを除く35,553件を集計)です。
| 住宅の種類 | 所要資金(住宅取得にかかった費用) | 手持金(頭金・自己資金) | 自己資金の割合 |
|---|---|---|---|
| 全国平均 | 4,203万円 | 551万円 | 13.1% |
| マンション | 5,882万円 | 1,379万円 | 23.5% |
| 注文住宅 | 4,262万円 | 840万円 | 19.7% |
| 中古マンション | 3,602万円 | 591万円 | 16.4% |
| 建売住宅 | 4,215万円 | 429万円 | 10.2% |
| 中古戸建 | 2,783万円 | 261万円 | 9.4% |
| 土地付注文住宅 | 5,313万円 | 481万円 | 9.1% |
※出典:住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」(2026年7月24日公表)。自己資金の割合は所要資金(注文住宅・土地付注文住宅は建設費+土地取得費)に占める手持金の構成比です。

この調査は【フラット35】を利用している人に限定されていますので、すべての住宅ローン利用者に拡大すると値は変わってくる可能性があります。それを踏まえたうえで、次の2点は押さえておきたいところです。
第一に、住宅取得費(所要資金)は明確に上昇しています。全国平均は2024年度の3,868万円から2025年度は4,203万円へと1年で335万円増えました。とくに中古マンションは3,033万円→3,602万円と569万円の上昇です。同じ「頭金2割」を目指すにしても、必要な金額そのものが年々重くなっています。
第二に、自己資金の割合は1割強で横ばい圏です。全国平均の手持金比率は2024年度12.6%→2025年度13.1%。実際の利用者の平均は「頭金2割」ではなく「1割強」で、住宅取得費の8割前後を住宅ローンでまかなっているのが実情です。
また、住宅の種類による差が非常に大きい点にも注目してください。マンションは23.5%と自己資金を厚く入れる一方、土地付注文住宅は9.1%、中古戸建は9.4%と1割を切ります。買い替えで前の住宅の売却代金を充てられるかどうか、利用者の年齢層が違うことなどが背景にあると考えられます。
なお、上記の金額は平均値なので、全員が500万円を超える頭金・自己資金を準備していることを示しているわけではありません。あくまでも参考データとしてみておくぐらいが適切と言えるでしょう。
頭金は「借入額」だけでなく「金利」も動かす|融資率9割の壁
頭金の効果は「借りる額が減る」だけではありません。多くの住宅ローンは、物件価格に対する借入額の割合(融資率)によって適用金利を変えています。
代表例が【フラット35】です。公式の利用条件でも、借入期間(20年以下・21年以上)と融資率(9割以下・9割超)、加入する団信の種類などに応じて借入金利が異なると明記されています。当編集部が2026年8月4日に確認した同月の最頻金利(買取型・団信込み)は次のとおりでした。
| 借入期間 | 融資率9割以下 (頭金1割以上) | 融資率9割超 (頭金1割未満) | 差 |
|---|---|---|---|
| 21〜35年 | 年3.290% | 年3.400% | 0.110ポイント |
| 20年以下 | 年2.970% | 年3.080% | 0.110ポイント |
※2026年8月適用分の最頻金利。取扱金融機関によって金利は異なります。最新の金利は【フラット35】公式サイトでご確認ください。
「たった0.110ポイント」と思うかもしれませんが、頭金を入れれば借入額そのものも減るので、両方の効果が重なります。4,000万円の住宅を35年・元利均等返済で購入する場合を比べてみましょう。

頭金400万円を入れて3,600万円を年3.290%で借りると、月々の返済は144,438円・総返済額は約6,066万円。頭金なしで4,000万円を年3.400%で借りると、月々163,007円・総返済額は約6,846万円です。頭金400万円を支払った分を足しても、生涯の支出は約380万円少なくなる計算になります(当編集部試算・諸費用は含みません)。
とはいえ、手元の現金をゼロにしてまで頭金に回すのは危険です。失業・病気・修繕といった不測の事態に備える生活防衛資金(生活費の6か月分程度が目安)は必ず残す。頭金は「残せる範囲で厚くする」が現実的な結論です。
返済負担率から考える住宅ローンの金額
次に、「返済負担率」(≒「年収に対する住宅ローンの返済金額の割合」)の観点から考えてみましょう。「返済負担率」は住宅ローンの審査基準としても用いられる指標で、【フラット35】の公式の利用条件では年収400万円未満なら30%以下、年収400万円以上なら35%以下と定められています(2026年4月1日現在)。この計算には住宅ローンだけでなく、自動車ローン・教育ローン・カードローン・クレジットカードの分割払いやリボ払いまで含まれます。
35%はあくまでも”審査基準”の話で、2025年度フラット35利用者調査における平均総返済負担率は22.8%(前年度比−0.4ポイント)でした。当サイトでも20%前後の返済負担率は無理なく返済を続けやすい妥当な水準と言えると考えていますが、この20%の返済負担率とはどういうことなのか、を考えてみましょう。
まず、年収×20%で住宅ローンの年間の返済額を算出します。年収400万円なら年80万円(月6.7万円)、年収500万円なら年100万円(月8.3万円)、年収600万円なら年120万円(月10万円)です。
この月々の返済額から、35年・元利均等返済・ボーナス払いなしで借りられる元金を逆算すると次のようになります。選ぶ金利タイプによって、同じ返済額でも借りられる金額は大きく変わります。
| 年収(返済負担率20%) | 月々の返済額 | 変動金利 年1.000% の場合 | 全期間固定 年3.290% の場合 |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 66,666円 | 約2,360万円 | 約1,660万円 |
| 500万円 | 83,333円 | 約2,950万円 | 約2,070万円 |
| 600万円 | 100,000円 | 約3,540万円 | 約2,490万円 |
※返済期間35年・元利均等返済・ボーナス払いなし・住宅ローン単体で当編集部が試算した概算(万円未満切捨て)。変動金利は2026年8月時点で主要行の新規借入の最優遇金利がおおむね年0.945%〜1.543%だったことを踏まえ、切りのよい年1.000%を仮に置いたものです。全期間固定は同月の【フラット35】買取型(借入期間21〜35年・融資率9割以下)の最頻金利 年3.290%を用いました。
かつてこの試算は「年収600万円なら約3,600万円」と紹介されるのが一般的でしたが、それは全期間固定でも年1%台で借りられた時代の前提です。日本銀行が2026年6月16日に政策金利を年1.0%程度へ引き上げるなど金利が上がった現在、全期間固定で組むなら同じ返済負担率でも借りられる金額は1,000万円前後少なくなります。金利タイプを決めずに「借りられる額」を語ることはできません。
※借入期間を短くすれば年間返済金額が上昇しますし、金利の低い住宅ローンを選べば年間返済額が少なくなります。あくまでも参考値なのでご了承ください。
この金額に「頭金・自己資金」を足して算出される金額が「購入したいマイホームの金額」に合致するか、マイホームの金額が下回るようであれば、(一般的に)無理なく住宅ローンと付き合っていける水準に近いと考えることができます。もちろん余裕があれば返済期間を30年に短縮して返済を早めたり、繰上返済を進めるように努力すべきなのは当然です。
例えば、年収600万円の人が変動金利で4,000万円の住宅を購入したいのであれば頭金・自己資金は約460万円以上、3,540万円未満の住宅を購入したいのであれば頭金なしでも問題ない(※)水準と言える、というわけですね。
※ここでの問題ないとは前述の試算に基づいて年収に対する住宅ローンの返済負担率を20%程度に収めることを示しています。住宅ローンの返済負担が必ず問題ないと断定しているわけではありません。
すでに返済中の方へ|自己資金は繰上返済と借り換えのどちらに使うべきか
ここからは、すでに住宅ローンを返済中の方に向けた話です。手元に貯まった資金の使い道は、大きく「繰上返済」「借り換えの諸費用に充てる」「手元に残す」の3つに分かれます。
判断の順番は「借り換えの損得を先に計算する」
結論から言うと、先に借り換えの損得を計算し、そのうえで残った資金を繰上返済に回すのが効率的なことが多いです。借り換えは金利差が残りの返済期間すべてに効くのに対し、繰上返済は返済した元金にかかる利息だけを消す効果だからです。
借り換えの判断はシンプルで、金利差で減る利息の総額が、借り換えにかかる諸費用を上回るかどうかです。諸費用には主に次のものがあります。
- 新しい借入先の融資事務手数料(定率型なら借入額の2.20%〈税込〉が一般的)
- 抵当権の設定・抹消にかかる登録免許税と司法書士報酬
- 印紙税(電子契約なら不要になる場合があります)
- 元の借入先の全額繰上返済手数料
一般に、残債が多い・残りの返済期間が長い・金利差が大きいほどメリットが出ます。逆に残債が少なく残期間も短い段階では、諸費用を回収できないことがあります。
自己資金を入れると借り換えの金利条件も良くなることがある
借り換えでは「現在の残債」と「物件の担保評価」が見られます。物件評価に対する残債の割合(融資率)が低いほうが、金利の優遇条件を満たしやすくなります。新規借入で「融資率9割以下なら金利が下がる」のと同じ考え方が、借り換えでも働くわけです。借り換え時にまとまった資金を入れて残債を圧縮できると、適用金利と総返済額の両面で有利になることがあります。
逆に注意したいのが、諸費用まで借入額に上乗せすると、住宅ローン控除の対象額が按分で目減りする点です。国税庁の取扱いでは、借り換え直前の残高をA、新しいローンの借入金額をBとすると、A<B(借換前の残高より多く借りた)場合、控除の対象となる年末残高は「年末残高×A÷B」に圧縮されます。控除期間が残っている方は、諸費用を手元資金で払うか上乗せするかで実質的な手取りが変わります。
借り換え先を選ぶときは、金利そのものだけでなく諸費用と団信の内容まで含めて比べたいところです。たとえばSBI新生銀行は保証料と一部繰上返済手数料が0円で、一般団信の上乗せ金利も0円。融資事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型に一本化されており、費用の構成が見通しやすいのが特徴です。2026年3月からは上乗せ0円の全疾病保障付団信も選べるようになりました。店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しているので、借り換えの試算を対面で詰めたい方にも検討しやすい選択肢です(最新の金利・商品内容は公式サイトでご確認ください)。
皆さまの住宅ローン選びの参考になれば幸いです。
※この特集ページに記載している情報はあくまでも参考情報です。皆さまの考えのもと住宅ローンをご利用いただきますようにお願いします。
頭金・自己資金に関するよくある質問(FAQ)
Q. 頭金なしで住宅ローンを組むのは危険ですか?
A. 「危険」と一律には言えません。ただし2026年8月時点では金利が上昇局面にあり、頭金なし(融資率9割超)だと適用金利まで不利になる商品が多い点は押さえておきたいところです。危険度が上がるのは「頭金なし」そのものより、手元の現金を使い切って予備資金がない状態や、返済負担率が25%を超える状態です。
Q. 実際の平均はどれくらいですか?
A. 2025年度フラット35利用者調査では、住宅取得費(所要資金)の全国平均が4,203万円、手持金(自己資金)が551万円で、自己資金の割合は13.1%でした。よく言われる「頭金2割」より、実態はかなり低い水準です。
Q. 頭金を貯めてから買うのと、今すぐ買うのはどちらが得ですか?
A. 一概には言えません。頭金を厚くすれば利息負担は減りますが、待っている間に住宅価格や金利が上がれば効果は相殺されます(住宅取得費の全国平均は2024年度から2025年度の1年で335万円上昇しました)。逆に家賃を払い続けるコストもかかります。「いつまでにいくら貯まるか」を具体的に置いて、両方の総支出を比べて判断してください。
Q. すでに住宅ローンを返済中ですが、貯まった自己資金は繰上返済と借り換えのどちらに使うべき?
A. まず借り換えの損得を試算してください。「諸費用 < 金利差で減る利息」になるなら借り換えを優先し、残った資金を繰上返済(または手元の予備資金)に回すのが効率的なことが多いです。残債・残りの返済期間・金利差の3つを入れて試算してから判断しましょう。
Q. 頭金が少ないと借り換えで不利になりますか?
A. 借り換えでは「現在の残債」と「物件の担保評価」が見られます。物件評価に対する残債の割合が低いほうが金利の優遇条件を満たしやすく、低い金利を引き出しやすくなります。ただし、手元資金を借り換えの諸費用に充てるのか、残債の圧縮に充てるのかで結果が変わるため、両方のパターンで試算するのが確実です。
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