住宅ローンの頭金・自己資金なしは危険?いくら必要?平均値は?
(このコラムは住宅ローンの借り換えではなく、住宅ローンの新規借入時の住宅ローンの頭金・自己資金に関する特集記事です。)
目次
マイホームを購入、つまり、住宅ローンを利用するときに最初に考えるのが、「頭金・自己資金」をどの程度用意して差し入れるか、という点です。
フラット35などのように「頭金・自己資金」を一定割合以上準備できると住宅ローンの金利が低くなる住宅ローンが数多く存在しているので、住宅ローンの総返済額をできるだけ減らすためにも「頭金・自己資金」をどの程度用意するかは非常に重要なポイントです。
住宅ローンの借入額が少ないほうが返済負担や利息負担が小さくなるので、基本的には住宅ローンの頭金・自己資金はできるだけたくさん用意できる方が良いわけですが、実際、住宅ローン利用者はどれぐらいの金額を準備しているのでしょうか?
このコラムでは、そんな疑問に答えるべく、実際に住宅ローンを契約した人に対するアンケート結果や、収入と支出(返済)のバランスなどの観点から住宅ローンの頭金・自己資金について特集しています。
頭金・自己資金はいくら必要か?
一般的に住宅を購入するときには、頭金・自己資金をある程度準備するようにおすすめされています。
この特集を見ている人は、高額の自己資金が準備できている人ではなく、どの程度の頭金を準備しておくべきなの?と目安を知りたい人たちだと思います。「欲しい家」と「その値段」と「年収(返済負担率)」のバランスが1人1人で変わってくるため、「どの程度必要か?」という質問には「ケースバイケース」としか答えるしかないのですが、それだけでは何の解説にもなっていませんので、様々な角度から「住宅ローンの自己資金はいくら必要なのか?」「頭金なしは危険なのか?」について考えてみたいと思います。
なお、最近は頭金を準備するどころか、auじぶん銀行や住信SBIネット銀行・楽天銀行のように住宅ローンの諸費用まで借り入れることができる住宅ローンも増えてきていますので、最近は頭金を準備しないで住宅ローンを利用する人が増加傾向にあります。
住宅ローン利用者の頭金・自己資金の平均は?
まずは実際の利用者の自己資金の準備状況を確認しましょう。
これは住宅金融支援機構が毎年行っているフラット35利用者の実態調査の統計データで、実際に住宅ローンを利用した人がどの程度の頭金を用意しているのかがわかるアンケート調査の結果です。
住宅価格 |
頭金・自己資金 |
自己資金比率 |
|
2012年 | 3,257万円 | 476万円 | 14.6% |
2013年 | 3,318万円 | 576万円 | 17.3% |
2014年 | 3,332万円 | 552万円 | 16.5% |
2015年 | 3,462万円 | 534万円 | 15.4% |
2016年 | 3,495万円 | 472万円 | 13.5% |
この調査はフラット35を利用している人に限定されていますので、全ての住宅ローン利用者に拡大すると値は変わってくる可能性がありますが、①住宅価格が年々上昇していること、②住宅価格に対する頭金・自己資金比率が年々低下傾向にあるという2つの傾向は概ね全体トレンドに合致していると考えてよいでしょう。
なお、上記の金額は平均値なので、全員が400万円を超える頭金・自己資金を準備していることを示しているわけではありません。あくまでも参考データとしてみておくぐらいが適切と言えるでしょう。
実際に用意している頭金・自己資金の金額は?
更に細かく統計データなどを参照すると、年収400万円未満の約50%が頭金200万円未満、年収400万円~600万円の約40%が頭金200万円未満という調査結果になっています。
さらに、頭金なしで住宅ローンを利用している人の割合は年収400万円未満で約25%程度、年収400万円~600万円で約17%程度とされています。
つまり、年収600万円であれば20%(5人に1人)程度は頭金・自己資金を用意せずにマイホームを購入していることになります。5人に1人であればレアケースではないですね。つまり、頭金・自己資金を用意しなくても十分住宅は購入可能ですし、実際に全額を住宅ローンにしている人の割合は高いことがわかります。
ここまでで、実際に住宅ローンを利用した人には、頭金・自己資金なしで住宅ローンを買っている人が多いということがわかりました。
返済負担率から考える住宅ローンの金額
次に、「返済負担率」(≒「年収に対する住宅ローンの返済金額の割合」)の観点から考えてみましょう。「返済負担率」は住宅ローンの審査基準としても用いられる指標で、年収に対するローンの返済額が35%を超えると住宅ローンの審査がかなり厳しくなります。35%はあくまでも”審査基準”の話で、住宅金融支援機構のフラット35を利用した人に対する実態調査では「返済負担率」の平均は約20%となっています。
当サイトでも20%の返済負担率は無理なく返済を続けやすい妥当な水準と言えると考えていますが、この20%の返済負担率とはどういうことなのか、を考えてみましょう。
まず、年収×20%で住宅ローンの年間の返済額を算出してみます。
<年収400万円の場合>
年間の住宅ローン返済額:80万円(6.7万円/月)
<年収500万円の場合>
年間の住宅ローン返済額:100万円(8.3万円/月)
<年収600万円の場合>
年間の住宅ローン返済額:120万円(10万円/月)
次に、上記の金額に住宅ローンを返済する期間(年)を掛けて住宅ローンの総返済額を計算してみましょう。ここでは返済期間を35年とします。
<年収400万円の場合>
住宅ローン返済額合計:80万円×35年=2800万円
<年収500万円の場合>
住宅ローン返済額合計:100万円×35年=3500万円
<年収600万円の場合>
住宅ローン返済額合計:120万円×35年=4200万円
この金額は”住宅ローンの借入金額”ではありませんので注意してください。この金額は住宅ローンの総返済額であり、元本+利息の合計金額です。
ですので、この金額を借入期間:35年・金利:年1.0%・返済方法:元利均等返済・ボーナス払い無しという条件で住宅ローンを組んだ時の返済額だったとして逆算してみましょう。
<年収400万円の場合>
住宅ローン借入金額:約2400万円
<年収500万円の場合>
住宅ローン借入金額:約3000万円
<年収600万円の場合>
住宅ローン借入金額:約3600万円
これで、各年収別の返済負担率を20%と定めた場合の住宅ローンの借入金額が算出されました。この金額が各年収ごとに返済負担率を20%前後で返済を続けることができる住宅ローンの金額の目安のになります。
※返済負担率の計算は、他のローンの借り入れも合算されますが、ここでは住宅ローン単体で考えています
※借入期間:35年・金利:年1.0%・返済方法:元利均等返済の場合
※借入期間を短くすれば年間返済金額が上昇しますし、金利の低い住宅ローンを選べば年間返済額が少なくなります。あくまでも参考値なのでご了承ください。
この金額に「頭金・自己資金」を足して算出される金額が「購入したいマイホームの金額」に合致するか、マイホームの金額が下回るようであれば、(一般的に)無理なく住宅ローンと付き合っていける水準に近いと考えることができます。もちろん余裕があれば返済期間を30年に短縮して返済を早めたり、繰上返済を進めるように努力すべきなのは当然です。
例えば、年収600万円の人が4000万円の住宅を購入したいのであれば頭金・自己資金は400万円以上、3600万円未満の住宅を購入したいのであれば頭金無しでも問題ない(※)水準と言える、というわけですね。
※ここでの問題ないとは前述の試算に基づいて年収に対する住宅ローンの返済負担率を20%程度に収めることを示しています。住宅ローンの返済負担が必ず問題ないと断定しているわけではありません。
皆さまの住宅ローン選びの参考になれば幸いです。
※この特集ページに記載している情報はあくまでも参考情報です。皆さまの考えのもと住宅ローンをご利用いただきますようにお願いします。
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