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年収800万円の住宅ローン|適正な借入額と住宅ローン控除【2026年】

年収800万円の世帯が住宅ローンの借入額を検討するイメージ

マイホームを購入するとき、住宅ローンの審査で金融機関が最も重視するのは「継続的で安定した収入があるか」です。年収800万円は、日本の金融機関が扱うほぼすべての住宅ローンに申し込める水準で、条件面でも有利に働きやすい層といえます。

国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」(2025年9月公表)によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円(4年連続の増加で過去最高)でした。年収800万円は、この平均を大きく上回る水準です。

ただし「借りられる額」と「無理なく返せる額」は別物です。とくに2026年に入って金利は上昇局面にあり、2026年8月17日の東京債券市場では長期金利(新発10年国債利回り)が一時2.930%と約30年ぶりの高水準を付けました。長期金利はフラット35など固定金利の基準になるため、借入額の決め方はこれまで以上に慎重さが求められます。

本ページでは、年収800万円・世帯年収800万円の方に向けて、適正な借入額の考え方、2026年8月時点の金利で比べた総返済額、令和8年度改正後の住宅ローン控除、そして「すでに借りている人」の借り換え判断までを整理します。

 

年収800万円で住宅ローンはいくら借りられる?限度額の考え方

金融機関が融資額の上限を決めるときに使うのが返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)です。年収が高いほど上限の率も高く設定されるのが一般的で、年収800万円なら審査上は35%前後まで見てもらえるケースがあります。

ただし、審査で使われるのは実際に適用される金利ではなく、金利上昇に備えた高めの審査金利であることが多く、上限額は各行の基準や時期によって変わります。まずは「返済負担率をいくらに置くか」で、月々いくらまでなら払えるのかを押さえておきましょう。

返済負担率年間返済額(年収800万円)月々の返済額
20%160万円約13.3万円
22.8%(利用者の平均水準)約182万円約15.2万円
25%200万円約16.7万円
30%240万円20.0万円
35%(審査上限の目安)280万円約23.3万円

※返済負担率は年収(税込)に対する年間返済額の割合。22.8%は住宅金融支援機構「2025年度 フラット35利用者調査」の平均総返済負担率です。

注意したいのは、審査上限いっぱいで借りると金利が上がったときの余力が残らないことです。変動金利は半年ごとに見直され、返済額そのものは5年ごとに変わる(いわゆる5年ルール)のが一般的ですが、ソニー銀行・SBI新生銀行・PayPay銀行など5年ルール・125%ルールを設けていない銀行もあり、その場合は金利改定が早く返済額に反映されます。契約前に必ず商品説明書で確認してください。

 

年収800万円の適正・平均的な借入額は?

適正額を考える手がかりになるのが、住宅金融支援機構が毎年公表している「フラット35利用者調査」です。2026年7月24日に公表された2025年度版(借換えを除く35,553件を集計)では、次の結果が出ています。

  • 平均世帯年収:716万円(前年度+47万円)
  • 平均総返済負担率:22.8%(前年度−0.4ポイント)
  • 平均年収倍率(所要資金÷世帯年収):6.6倍(首都圏7.1倍)
  • 1か月当たりの平均予定返済額:約12.4万円

この年収倍率をそのまま当てはめると、年収800万円なら所要資金でおよそ5,300万円(首都圏なら約5,700万円)が実際の利用者の平均的な水準ということになります。

ただし年収倍率は「借入額」ではなく「所要資金(物件価格+諸費用)」を年収で割った数値です。頭金を入れればその分だけ借入額は小さくなります。同調査では平均手持金が551万円ありました。年収800万円なら、借入額はおおむね4,500万〜5,000万円台に収め、月々の返済を15万円前後に置くのが現実的な着地点といえます。

 

借入希望額の判定/4,000万円・5,000万円・6,000万円は適正か

借入希望額判定コメント(2026年8月時点の金利水準を前提)
4,000万円変動なら返済負担率は17%台、全期間固定でも24%程度に収まり、金利が上がっても対応の余地が大きい
5,000万円変動金利なら月々15万円前後。ただし全期間固定にすると月20万円を超え、返済負担率が30%に近づく
6,000万円△〜×変動でも月17万〜18万円、金利が1%上昇すると負担が大きく増える。共働きの継続が前提になりやすい

※判定は返済期間35年・元利均等返済を前提とした目安です。実際の可否は物件・勤務先・他の借入状況などで変わります。

金利が上がっている局面では、「今の金利で返せるか」だけでなく「1%上がっても返せるか」で判断するのが安全です。

 

年収800万円で購入できる住宅の目安

近年は住宅価格の上昇が続いています。2025年度のフラット35利用者調査では、融資区分別の平均所要資金は次のとおりで、いずれの区分も前年度より上昇しました。

融資区分別の平均所要資金を比較した棒グラフ
土地付注文住宅は建設費と土地取得費の合計。いずれの区分も前年度より上昇しています。

マンション(新築)の平均所要資金は5,882万円、中古マンションは3,602万円、中古戸建は2,783万円です。年収800万円であれば、新築マンションは頭金次第、中古マンションや中古戸建・建売住宅なら比較的余裕をもって狙える水準といえます。

なお同調査では、中古マンションの平均築後年数は28.7年、中古戸建は22.7年でした。築年数が古い物件は、修繕積立金の水準や大規模修繕の履歴、耐震基準への適合状況もあわせて確認しておきましょう。※価格相場は地域差が大きく、最新の相場は各種調査や不動産情報でご確認ください。

 

年収800万円で頭金なしの住宅ローンは組める?

諸費用まで含めて借りられる住宅ローンが増えているため、頭金なしで購入できるケース自体は珍しくありません。ただしフラット35は融資率(物件価格に対する借入額の割合)が9割を超えると金利が上がります。2026年8月の買取型・最頻金利(新機構団信付き・返済期間21年以上35年以下)は、融資率9割以下が年3.290%、9割超は年3.400%で、その差は0.110%です。

また、契約の段階では次の現金が必要になります。

手付金物件価格の5%程度
仲介手数料の半金物件価格の1.5%程度

5,000万円の物件なら、契約時点で300万円以上を用意する計算です。つまり「頭金なしで住宅ローンを組む」ことはできても、手元資金ゼロでマイホームを購入するのは現実には難しいということになります。手元資金が不足する場合は、親族からの一時的な立替(融資実行時に返済)などの方法が検討されます。

 

世帯年収800万円で借りるときの落とし穴

共働き世帯では、ペアローンや収入合算で世帯年収800万円を前提に借りるケースが増えています。この場合の注意点は次の5つです。

産休・育休期間の収入減を返済計画に織り込んでいるか

完済のめどが立つまで共働きを続けられるか(片方の収入だけでも当面しのげるか)

どちらかに万一のことがあった場合の備え。ペアローンでは団信もそれぞれの持分にしか効かないため、片方に万一のことがあってももう一方のローンは残ります

離婚時のマイホームの処分。共有名義は売却も借り換えも双方の合意が必要になります

住宅ローン控除は2人それぞれが使える一方、事務手数料や登記費用も2契約分かかります。手数料まで含めた総額で比較しましょう

 

年収800万円の住宅ローンは総額で比べる(2026年8月時点)

住宅ローンは団体信用生命保険(団信)が付くため、生命保険に近い役割も果たします。5,000万円のローンを組めば、万一のときに残高が保険で完済される=実質的に5,000万円分の保障を持つことに近くなります。※団信の保障内容・上乗せ金利は商品により異なります。

次の表は、当編集部が2026年8月に各行の公式サイトで実測した適用金利をもとに、5,000万円・35年・元利均等返済で試算したものです。

 SBI新生銀行(変動)PayPay銀行(全期間引下型)ソニー銀行(変動セレクト)楽天銀行(金利選択型)
適用金利(2026年8月)1.060%1.330%1.347%1.543%
月々の返済額約142,545円約148,962円約149,372円約154,147円
総返済額(概算)約59,868,900円約62,564,040円約62,736,240円約64,741,740円
事務手数料1,100,000円(税込)1,100,000円(税込)1,100,000円(税込)330,000円(税込)
総額約60,968,900円約63,664,040円約63,836,240円約65,071,740円

※当編集部が2026年8月に各行公式サイトで確認した適用金利による当社試算です(元利均等・毎月返済のみ・ボーナス返済なし)。変動金利の総返済額は全期間金利が変わらないと仮定した概算で、実際は半年ごとに見直されます。保証料・団信の上乗せ金利・登記費用などは含みません。SBI新生銀行の1.060%は自己資金10%以上の場合の金利です。金利・手数料は改定されるため、最新の条件は各行公式サイトでご確認ください。

変動金利の違いによる利息総額の差を比較した棒グラフ
全期間金利が変わらないと仮定した概算です。事務手数料・保証料・団信の上乗せ金利は含みません。

この試算では、金利差0.483%(1.060%と1.543%)で利息総額に約487万円の差が出ました。事務手数料は楽天銀行が定額330,000円(税込)と割安な一方、借入額が大きいほど金利差の影響が上回ることが分かります。金利だけ、手数料だけで選ばず、必ず「総額」で比べてください。

諸費用の分かりやすさという点では、SBI新生銀行も年収800万円層の検討候補になります。保証料0円・一部繰上返済手数料0円(1円から何度でも)で、事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型に一本化されています。団信は一般団信のほか、上乗せ金利0円の全疾病保障付団信(2026年3月開始)を選べます。店舗相談とオンライン手続きの両方に対応している点も、はじめての借入で相談したい方には使いやすいところです。※SBI新生銀行は原則として事前審査を行わず本審査のみで完結します。他行と併願する場合は、他行側の事前審査を先に済ませておくとスムーズです。なお、ステップダウン金利タイプ・自動繰上返済(スマート返済)・介護保障付団信は新規の取り扱いを終了しています。

 

年収800万円の住宅ローン控除(令和8年度改正で5年延長)

住宅ローン控除は、年末時点の住宅ローン残高の0.7%を所得税(控除しきれない分は翌年の住民税の一部)から差し引ける制度です。

令和8年度税制改正で適用期限が5年間延長され、令和8年(2026年)1月1日から令和12年(2030年)12月31日までに入居した場合が対象になりました(関連税制法は2026年3月31日に成立)。あわせて、省エネ性能の高い既存(中古)住宅について借入限度額が引き上げられ、控除期間も13年に拡充されています。

住宅の区分(令和8年入居)借入限度額
(子育て世帯・若者夫婦世帯)
控除期間年間の控除上限
新築・長期優良住宅/低炭素住宅4,500万円(5,000万円)13年31.5万円(35万円)
新築・ZEH水準省エネ住宅3,500万円(4,500万円)13年24.5万円(31.5万円)
新築・省エネ基準適合住宅2,000万円(3,000万円)13年14万円(21万円)
既存・長期優良/低炭素/ZEH水準3,500万円(4,500万円)13年24.5万円(31.5万円)
既存・省エネ基準適合住宅2,000万円(3,000万円)13年14万円(21万円)
既存・その他住宅2,000万円10年14万円

※年間の控除上限は借入限度額×0.7%。「子育て世帯・若者夫婦世帯」は、19歳未満の扶養親族がいる方、または40歳未満で配偶者がいる方(もしくは40歳未満の配偶者がいる40歳以上の方)を指し、入居した年の12月31日時点で判定します。

そのほかの主な要件は次のとおりです。

  • 合計所得金額2,000万円以下(年収800万円であれば問題なくクリアできます)
  • 床面積40㎡以上。令和8年度改正で新築・既存とも40㎡以上に緩和されました。ただし合計所得金額1,000万円超の方と、子育て世帯等の上乗せ措置を使う方は50㎡以上が必要です
  • 借入金の償還期間が10年以上であること/引き渡し・工事完了から6か月以内に入居すること
  • 新築は省エネ基準への適合が必須(省エネ基準を満たさない新築住宅は原則として対象外)

たとえば長期優良住宅を新築し、年末残高が4,500万円あった場合の控除額は「4,500万円×0.7%=31.5万円」です。年収800万円の方は所得税・住民税を一定額納めているため、この控除枠を使い切りやすい層といえます。ただし残高は返済とともに減るため、控除の総額は理論上の最大値より少なくなります。

金利が上がっている今は、「控除率0.7%と支払う金利のどちらが大きいか」も変わってきています。変動金利1.060%で借りれば支払う金利のほうが大きく、控除があるからといって繰上返済をむやみに遅らせるのが得とは限りません。ご自身の借入条件で確認しましょう。

※住宅ローン控除は改正が多い制度です。最新の要件は国土交通省(住宅ローン減税)・国税庁(https://www.nta.go.jp/)でご確認ください。

 

すでに借りている年収800万円の方へ:借り換えで見直せるか

年収800万円は、借り換え審査でも通りやすく、金利の引下げ幅を大きく取りやすい層です。数年前に借りた住宅ローンをそのままにしている場合は、一度点検する価値があります。

借り換えの判断は「金利差でどれだけ利息が減るか」と「諸費用がいくらかかるか」の損益分岐で決まります。目安として次の3条件がよく使われます。

チェック項目目安見るポイント
残高1,000万円以上残高が小さいと諸費用を金利差で回収しきれない
残り返済期間10年以上期間が短いほど利息の削減余地が小さい
金利差0.3%以上現在の適用金利は返済予定表・残高証明書で確認

借り換えにかかる主な費用は、新しい銀行の事務手数料(定率型なら借入額×2.20%前後・税込)、抵当権の設定と抹消の登記費用、印紙代などです。残高3,000万円なら事務手数料だけで66万円程度かかる計算になるため、この金額を金利差で何年で取り返せるかを必ず確認してください。

また、2026年は金利が上がっている局面です。変動から固定へ移す借り換えは「今より月々の返済額が増える」ケースがほとんどで、返済額を減らす目的では成立しません。フラット35の借換融資は2026年8月時点で年3.290%(返済期間21年以上35年以下・新機構団信付き)です。「金利上昇が不安だから固定へ」という判断は、返済額が増えることを受け入れられるかどうかで決めましょう。

なお、変動金利の引き上げが返済額に反映される時期は銀行によって異なります。たとえばみずほ銀行は基準金利の見直し基準日を4月1日・10月1日としており、三菱UFJ銀行は2026年9月1日から毎月見直しに変更し、変動金利(毎月型)は2026年11月の約定返済分から新利率が適用されると案内しています。ご自身の契約の見直し基準日と反映時期は、返済予定表や各行の公式サイトで確認してください。

 

年収800万円の住宅ローンでよくある質問

Q. 年収800万円で6,000万円を借りても大丈夫ですか?

審査上は通る可能性がありますが、変動金利でも月々の返済は17万〜18万円、返済負担率は26%前後になります。2026年は金利が上昇している局面のため、1%上昇したときの返済額でシミュレーションして、それでも家計が回るかを先に確認してください。教育費が重くなる時期と重なるなら、借入額を抑える判断も十分に合理的です。

Q. 本人年収800万円と、夫婦合算で世帯年収800万円では審査の扱いが違いますか?

違います。単独で800万円あれば1人の収入で審査が完結しますが、収入合算やペアローンでは合算する側の勤続年数・雇用形態・借入状況も審査対象になります。また将来どちらかが働き方を変えると返済力が下がるため、金融機関は継続性を重く見ます。

Q. 年収800万円なら住宅ローン控除は使い切れますか?

合計所得金額2,000万円以下という所得要件は問題なくクリアします。控除しきれない分は翌年の住民税からも一部控除されるため、年収800万円であれば長期優良住宅の上限31.5万円(子育て世帯等は35万円)も使い切りやすい水準です。ただし実際の控除額は年末残高・住宅の性能区分・扶養状況で変わるため、正確な金額は税務署や専門家にご確認ください。

Q. 頭金を多く入れるのと、繰上返済に回すのはどちらが得ですか?

金利だけで見れば、借入額を減らす頭金のほうが利息の削減効果は大きくなります。一方で住宅ローン控除は年末残高が基準なので、控除期間中は残高を残しておいたほうが控除額は増えます。「支払う金利」と「0.7%の控除」のどちらが大きいかで判断が変わるため、金利が1%を超える現在は、手元資金を非常時の備えとして残しつつ控除期間終了後にまとめて繰上返済する、という考え方も選択肢になります。

Q. すでに借りていますが、いま借り換えるべきですか?

「金利が上がっているから今のうちに」と急ぐ必要はありません。判断の基準は残高・残り期間・金利差の3点と、諸費用を何年で回収できるかです。現在の適用金利が今の相場より明らかに高い場合は検討の価値がありますが、数年前の低い変動金利で借りているなら、そのまま返済を続けたほうが有利なケースも多くあります。

 

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