住宅ローンを変動金利から固定金利に乗り換える意味とは?
この特集記事では「変動金利から固定金利に借り換える意味」について解説したいと思います。
住宅ローンの金利は、基本的には「変動金利<固定金利」の式が成り立ちますので、変動金利の方が固定金利より金利が低いのが一般的です。にも関わらず、世の中には変動金利から固定金利に借り換える人が一定数存在しています。例えば、2018年7月末の日銀金融政策決定会合で長期金利の上限が緩和された時にすることが決定した時には、固定金利に借り換える人が増えているという報道をよく目にしました。
わざわざ金利が高い住宅ローンに借り換えるわけなので、当然、理由があります。続けて、どのような意味を持つのかを解説していきたいと思います。結論としては、「将来金利が上昇するから、金利が低い今のうちに固定しておく」、「今後、住宅ローンの金利があがるのではないかと気にしながら生活していくのが嫌だから金利を固定させておく」、「民間住宅ローンの審査に落ちたのでフラット35(固定金利)に借り換えた」のいずれかが理由で固定金利に借り換えている人が大半です。
変動金利の金利推移について
最初に、変動金利の金利推移を確認しておきましょう。以下は、カカクコムから引用させていただいた過去5年間の住宅ローン金利の推移グラフです。都市銀行もネット銀行も金利が低下傾向にあります。過去5年間の金利グラフでは伝わりませんが、今から10年ぐらい前は年2%ぐらいだったこともあるので、驚異的に低い金利が続いていることになります。
ここまで低金利が進めば、10年前に借り入れた変動金利の住宅ローンは、変動金利に借り換えれば月々の返済金額削減や総返済額削減効果はありますね。
変動金利の特徴について
変動金利は名前の通りで、金利が変動する、正確には「銀行が適用する金利を変動させる権利をもっている金利タイプ」です。国内の短期金利市場(無担保コールオーバーナイトもの・短期プライムレートなど)を参照しながら金融機関が適用する金利を決定することになるので、突然、銀行の判断で金利を引き上げることはほとんどありません。
市場金利・短期金利が上昇して、それに合わせて銀行が住宅ローンの金利を調整して変動金利の住宅ローンの金利が上昇することになります。
バブル経済崩壊後、日本の金利は低下を続けており、金利上昇局面はほとんどありませんでしし、限界に近いぐらいまで低下が進んだため、直近の10年でみると最初は低下していますがこの3年はほぼ変動がありません。銀行も収益はあげなければなりませんので、銀行の収益性の観点からもほぼ限界に近い水準まで金利が低下していると状況であり、住宅ローンの変動金利は現在のこの水準がほぼほぼ底に近いと考えることもできます。
変動金利から固定金利の乗り換えのメリット
変動金利は金利上昇リスクがあり住宅ローン完済までの月々の返済金額や総返済額が増加したり減少したりする可能性がある一方、固定金利を利用し住宅ローンの組んだ場合は月々の返済金額や総返済額を確定させることができます。固定金利を選ぶ理由は金利を固定できることなわけですが、低金利下においては金利を固定する期間を通じて、低金利のメリットを享受できることを意味します。
一方で、金利水準自体は変動金利よりも高い水準(メガバンクの変動金利よりも低い金利の10年固定金利を提示しているネット銀行はたくさんありますが)なので、変動金利が上昇しなかった場合は、変動金利で住宅ローンを借り続けた方が総返済額が少なくなるという点は理解しておく必要があります。
最後に
住宅ローンの借り換えを行う時に、今まで変動金利で借り入れていた住宅ローンを固定金利に変更することで、人為的・意図的に作り出されている今の低金利水準を金利を固定する期間に適用させることを確約できることが一番のメリットです。超長期固定金利の住宅ローンであれば住宅ローン完済までの返済金額を固定してしまうことができます。
変動金利よりは高い金利が適用されることを理解しつつ、金利を固定しておくことにメリットを感じる人は、このタイミングで金利を固定化しておくことは選択肢の1つであることは間違いありません。
数十年先の住宅ローン金利や日本の経済事情を正しく予測できる人はいません。特性上、変動金利はギャンブル性が高く、固定金利は堅実と言うことはできると思いますが、どちらが正解かは結果が出てみないとわかりません。それぞれの金利タイプのメリットやデメリットを理解したうえで、ご自分が納得できる住宅ローンの借り換えを行うことが何よりも重要なことです。