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離婚したら住宅ローンはどうなる?名義変更・借り換え・売却の進め方

離婚時に住宅ローンの名義と返済義務を整理するイメージ

 

離婚した夫婦は年間およそ18万組

厚生労働省の人口動態統計月報年計(2025年・概数)によると、2025年に離婚した夫婦は17万9,068組でした。前年の18万5,904組から6,836組減り、人口千人あたりの離婚率も1.55から1.50へ下がっています。同じ年の婚姻件数は48万9,119組で、こちらは前年より4,027組増えました。

 

年間の離婚件数がもっとも多かったのは2002年の約28万9,000組で、近年はそのピークよりは少ない水準が続いています。

ネットニュースや記事で、日本人の夫婦の30%以上が離婚すると言われたりすることがありますが、この計算式にはカラクリがあります。

2025年に離婚した件数(=結婚した年を問わない)17万9,068組を、その年に結婚した件数(48万9,119組)で割ると約36.6%になります。

この計算式で“日本人夫婦の3組に1組が離婚している!”と報道されるため、正しくない認識が独り歩きしています。その年に結婚した人と、別の年に結婚して離婚した人の割合を比べても、実際の「離婚しやすさ」を表す数字にはなりません。

 

さて、それでも毎年たくさんの夫婦が離婚を決断しているので、その中には離婚時に住宅ローンを抱えている夫婦もたくさん存在しています。

 

そういったケースでは、離婚後の「マイホームの所有者」と「そのマイホームに住む人」と「住宅ローンの返済義務者」の関係性がややこしくなるため、住宅ローンが残っている場合、マイホームをさっさと売却して現金にしてから離婚する方が手続きは簡単です。

 

すべての離婚のケースでマイホームをすんなり売却して、住宅ローンを上手に整理できるわけではありませんので、この特集ページでは、マイホームを夫婦のどちらかが維持しつつ離婚後の生活に利用する方法についても解説したいと思います。

 

2026年4月施行の改正民法で変わったこと・変わらなかったこと

離婚をめぐるルールは、2026年4月1日に施行された改正民法(令和6年法律第33号)で大きく見直されました。住宅ローンを抱えたまま離婚を考えている人が押さえておきたい変更点は、法務省の資料によると次のとおりです。

改正のポイント内容住宅ローンとの関係
離婚後の親権協議により父母双方を親権者と指定することもできるようになった(従来は必ず単独親権)親権と住宅ローンの返済義務は無関係。共同親権を選んでもローン契約は変わらない
財産分与の請求期間2年から5年へ伸長。婚姻中の財産の取得・維持への寄与割合は原則2分の1ずつと明確化マイホームや住宅ローンの分け方を話し合う時間的な余裕は広がった
養育費養育費債権に先取特権を付与(債務名義がなくても差押えが可能に)。取決めがない場合の法定養育費制度も導入「養育費の代わりにローンを払う」取り決めの位置づけを整理しやすくなった

 

ここで最も大切なのは、民法が変わっても、金融機関との住宅ローン契約は自動的には変わらないという点です。財産分与でマイホームの持分を移すことに夫婦が合意しても、誰が返済義務を負うかを決めるのは金融機関であり、名義変更や連帯保証からの離脱には金融機関の承諾が必要です。法律上の整理と、契約上の整理は別々に進める必要がある、と覚えておいてください。

 

名義人・居住者・住宅ローン契約者はできるだけ同一人物に

離婚することになったら、財産分与・養育費・慰謝料などの様々な経済的な条件について話し合いが必要になります。

それら交渉の中で取り扱いに困るのが「住宅ローンが残っているマイホーム」の扱いです。

 

ペアローンや夫婦で連帯債務(収入合算)を利用して住宅ローンを借りていると特に混乱します。住宅ローン付のマイホームを残す場合は、「マイホーム(土地を含む)の名義人」「マイホームに住む人」「住宅ローンの契約者」を同一の人物(つまり、夫婦のどちらか)に統一することが、混乱やもめごとを未然に防ぐ鉄則ですが、権利と義務が複雑化しているペアローンは処理に困ります。

 

まず、ペアローンは「夫」と「妻」それぞれの名義で住宅ローンを契約し、互いに連帯保証人となっているのが一般的です。離婚した後にそのマイホームに住む場合、マイホームの名義を変更すると同時に住宅ローンもマイホームの名義に合わせる必要があります。そうしておかないと、「住まない方」が住宅ローンの返済をやめてしまった場合、金融機関から差し押さえになる可能性があるためです。

 

そもそもペアローンは「夫」一人では住宅ローンを十分借りることができないときに利用されることが多いので、「夫婦でこうしよう」と話し合っても金融機関から認めてもらえないケースが多くあります。そうなると離婚時の交渉はさらに複雑になります。

 

住宅ローンの名義変更は困難

夫単独名義でマイホームを持ち、住宅ローンも契約している場合であれば、比較的シンプルです。財産分与する中で「マイホームをどちらのものにするのか」ということを決めて、住宅ローンも「マイホームを持つ人」に変更すれば良いだけです。

 

ただ、妻の収入で住宅ローンを賄えない場合、住宅ローンの名義変更を金融機関が認めてくれない可能性があります。よく「元夫が養育費代わりに住宅ローンの返済を続けて、そこに元妻+子供が住み続ける」という形式をとれることがありますが、いつの間にか元夫が返済をやめてしまったり、数年たってから売却したくなったりして、マイホームから退去しなければならなくなったりしますので、住む人と返済者はできるだけ同じ人にしておくべきです。

 

また、抵当権が付いたマイホームの所有権を金融機関に無断で移すことは、住宅ローン契約上の禁止事項とされているのが一般的です。契約に違反すると「期限の利益」を失い、残債の一括返済を求められる可能性があります。名義を動かす前に、必ず契約書(金銭消費貸借契約証書)の条項を確認し、借入先の金融機関に相談してください。

 

一般的には、住宅ローンが残っているマイホームは売却して、住宅ローンを完済する方がその後のトラブルもなくおすすめです。世の中には賃貸物件はたくさんありますので。

 

離婚は住宅ローンの借り換えの1つのきっかけ

住宅ローンの契約形態としては、①安定的収入のある夫婦のいずれかの単独名義、②夫婦連帯債務、③夫婦ペアローンのいずれかの形式で契約していることが多いわけですが、名義・住宅ローン契約のどちらも単独名義でその名義人が1人で住み続ける場合を除けば、住宅ローンの整理が必要です。

 

ケースとして多いのが「妻と子供がマイホームに住み続けて、夫が退去するというパターン」ですが、その場合は妻が住宅ローンを契約する(妻名義で借り換える)のが理想的ということになります。

現状の契約 離婚後の名義・居住・住宅ローン契約 住宅ローンの借り換え
単独名義 現状通り(現状の名義人が住む) △(このタイミングである必要はない)
変更する
夫婦連帯債務 どちらかに統一
夫婦ペアローン どちらかに統一

※夫が単独名義でも妻が連帯保証人になっている場合は契約を見直す必要あり

 

離婚を機に住宅ローンを「住み続ける人」の単独名義へ借り換えると、相手が返済をやめるリスクや、連帯保証から抜けられないリスクを断ち切れます。借り換えの際は、金利差で総返済額がどれだけ変わるかも同時にチェックしておくと、離婚後の家計の見通しが立てやすくなります。金利の高い時期に組んだローンであれば、名義の整理とあわせて返済負担そのものを軽くできる可能性があります。

 

借り換え先によって、20年間の利息はいくら変わるのか

離婚後の家計は、収入も支出も1世帯分に切り替わります。「借り換えが必要」なのか「どこへ借り換えるか」まで踏み込むのかで、その後の負担は変わってきます。当編集部が各金融機関の公式サイトで実測した2026年8月適用金利をもとに、残高2,000万円・残り20年を変動金利へ借り換えた場合の返済額を試算すると、次のようになりました。

借り換え先(変動金利)実測金利(2026年8月)月々返済額利息総額(概算)
りそな銀行年0.950%91,533円約196.8万円
SBI新生銀行(SBIハイパー預金の金利引下げ適用)年0.990%91,889円約205.3万円
三菱UFJ銀行年0.995%91,934円約206.4万円
ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行/WEB申込コース)年1.200%93,774円約250.6万円
ソニー銀行年1.347%95,108円約282.6万円

※当編集部が各行公式サイトで実測した2026年8月適用金利にもとづく当社試算です(2026年8月4日確認)。元利均等・毎月返済のみ(ボーナス返済なし)、事務手数料・保証料・団信の上乗せ金利・登記費用などの諸費用は含みません。変動金利の総返済額は全期間にわたり金利が変わらないと仮定した概算で、実際には半年ごとに金利が見直されます。最新の適用金利と適用条件は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

 

借り換え先の金利による利息総額の差を示す棒グラフ
金利が年0.950%か年1.347%かで、20年間の利息は約85万円変わる(元利均等・ボーナス返済なし・諸費用は含まない・変動は全期間一定と仮定した概算)

同じ「残高2,000万円・残り20年」でも、借り換え先の金利が年0.950%か年1.347%かで、20年間の利息は約85万円違うという結果になりました。月々の返済額の差は3,575円と小さく見えますが、残期間が長いほど累積の差は大きくなります。離婚後の名義整理という「やらなければならない手続き」を、返済負担を見直す機会としても使うのが、この記事でいちばんお伝えしたい考え方です。

 

諸費用を引いて「実際にいくら得か」を出す

借り換えには初期費用がかかるため、利息の減少額から諸費用を引いた金額が、実際の効果になります。

 

借り換えの効果 =(借り換え前の残り利息)-(借り換え後の残り利息)-(諸費用)

 

諸費用の中心は融資事務手数料です。事務手数料には定率型(借入額×2.20%〈税込〉など)定額型(数万円程度+別途保証料)があり、方式によって初期費用が大きく変わります。定率型で2,000万円を借り換えるなら、事務手数料だけで44万円(税込)です。これに抵当権の抹消・設定にかかる登録免許税と司法書士報酬、印紙税などが加わります。

 

つまり、金利差が小さい・残高が少ない・残期間が短いケースでは、諸費用のほうが上回って「借り換えても得しない」ことがあります。離婚に伴う借り換えは名義と返済義務を切り離すこと自体が目的なので損得だけでは判断できませんが、どこへ借り換えるかを比べる価値は十分にあるということです。実際の金額は金融機関・商品によって異なるため、必ず借換先の公式サイトや見積りで確認してください。

 

オーバーローン状態の場合は売却・ローン完済が難しい

例えば残りの住宅ローンの残高が3000万円あって、マイホームの売値が2500万円だった場合、マイホームを売却しても500万円のローン返済が残ってしまいます(オーバーローン)。現金を持っていてそれで処理できれば良いのですが、マイホームを売却することで現金を減らすのは勇気がいる行動です。

このような場合は、住み替えローンや任意売却など、専門家(弁護士・不動産会社・金融機関)に早めに相談して、残債の整理方法を検討する必要があります。

 

なお、オーバーローンかどうかは、住宅ローンの残高証明書と不動産会社の査定価格を突き合わせれば把握できます。話し合いの前提が変わってしまうため、財産分与の協議を始める前に、この2つの数字だけは必ず確認しておきましょう。

 

離婚時の住宅ローンには対応したくない銀行が多い

離婚して新しい生活を歩みだすと、今までは同一の家計だったものが2つにわかれ、居住費・光熱費が増えます。離婚することで収入が増えることはあまりありません。家計の状況が変わり住宅ローンの返済が難しくなるケースもありますので、金融機関は離婚後の住宅ローンの整理の相談に前向きではないところが多いのが実情です。

 

事情が複雑なケースでは、対面で相談しにくいネット銀行だけで進めるのは難しいことがあります。店舗で相談できるSBI新生銀行やSBIアルヒ(旧ARUHI)のように、対面とオンラインの両方に対応している金融機関に相談しながら借り換えを検討すると、書類や手続きの不安を解消しやすくなります。SBI新生銀行は保証料・一部繰上返済手数料が0円で、一般団信の保険料も上乗せ0円と、諸費用の内訳が把握しやすい点も、離婚後の家計を組み立て直す局面では扱いやすい特徴です(融資事務手数料は借入金額×2.20%〈税込〉の定率型)。

共働き家庭だった場合、あっさりと単独名義で借り換えできるかもしれませんが、専業主婦(夫)の期間が長いと大きなハードルになることもありますので、複数の金融機関に相談するようにしましょう。

 

離婚にともなう住宅ローン整理の進め方

実務の順番を間違えると、話し合いのやり直しになります。次の順で進めると手戻りが少なくなります。

 

①ローン残高と査定価格を確認する……残高証明書(または返済予定表)と、複数の不動産会社の査定価格をそろえます。オーバーローンかどうかで取れる選択肢が変わります。

②契約形態を確認する……単独名義か、連帯債務か、ペアローンか。連帯保証人になっていないかも契約書で確認します。

③借入先の金融機関に相談する……名義変更・連帯保証からの離脱が可能かを先に確認します。ここで「不可」と分かるケースが多く、その場合は借り換えか売却に絞られます。

④借り換えの事前審査を複数行に出す……住み続ける側の収入だけで借りられるかを確かめます。否決される可能性もあるため、1行だけで判断しないことが大切です。

⑤財産分与の内容を協議書(できれば公正証書)にする……誰が住み、誰が返済し、いつまでに名義を移すのかを明記します。

⑥借り換え・名義変更・登記を実行する……抵当権の抹消と設定、所有権移転登記を司法書士に依頼します。

 

③と④は離婚が成立する前に着手しておくと、選択肢を残したまま条件を決められます。離婚後は収入や住所の状況が変わり、審査のハードルが上がることもあるためです。

 

よくある質問(FAQ)

Q. 連帯保証人や連帯債務から外れることはできますか?
A. 自動では外れません。金融機関の承諾が必要で、多くの場合「住み続ける人の単独名義への借り換え」か「別の保証人・担保の差し入れ」が条件になります。返済を続けられる収入があるかが審査されるため、収入が少ない側が名義を引き継ぐ場合はハードルが高くなります。離婚協議書に「相手が返済する」と書いても、金融機関に対する返済義務はなくならない点に注意してください。

Q. 養育費代わりに元配偶者が住宅ローンを払い続けるのは安全ですか?
A. リスクがあります。返済が滞れば、住んでいる側が退去を求められる恐れがあります。可能であれば、住み続ける人の名義に借り換えて返済義務と居住を一致させるのが安全です。難しい場合は、公正証書で取り決めるなど、専門家に相談して備えておきましょう。なお2026年4月施行の改正民法で養育費債権には先取特権が付与されましたが、これは養育費そのものの回収を助ける仕組みであり、住宅ローンの返済義務を移す効果はありません。

Q. 2026年4月から共同親権を選べるようになりましたが、住宅ローンの扱いは変わりますか?
A. 変わりません。親権は子の養育に関する権利義務であり、住宅ローンの返済義務や不動産の名義とは別の話です。共同親権を選んでも、ローン契約者・連帯保証人・所有名義はそれぞれ個別に整理する必要があります。

Q. 財産分与の請求期間が5年に延びたので、住宅ローンの整理も後回しにできますか?
A. 請求できる期間は延びましたが、住宅ローンの返済は毎月続きます。放置している間に相手が返済を止めれば延滞となり、住み続けている側の生活が脅かされます。また期間が空くほど当時の合意内容の証明も難しくなるため、ローンが残っているケースは早めに整理するのが現実的です。

Q. 離婚を機に借り換えると、どんなメリットがありますか?
A. ①名義・返済義務を整理して将来のトラブルを防げる、②金利の高い時期に組んだローンなら金利を下げて総返済額を減らせる可能性がある、という2つのメリットがあります。借り換えには事務手数料・登記費用などの諸費用がかかるため、金利差・残高・残期間と諸費用を並べて損得を試算してから判断しましょう。

 

※本文の制度・各社のサービス内容は2026年8月時点の情報です。金利は毎月見直されるため、最新の適用金利・適用条件は各金融機関の公式サイトでご確認ください。離婚にともなう住宅ローンの整理は個別事情で取り扱いが大きく変わるため、最終的には金融機関・弁護士など専門家に確認してください。

 

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